女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

綻ぶ恋〈前編〉

Tさんから学んだことの一つに、“程よい筋トレの重要性”があります(Tさんとの物語は、「過去の恋愛」カテゴリー内「学びの恋」に掲載)。彼の見事なシックスパックと、どの部位もバランスよく鍛えられた“細マッチョボディー”は、マラソン・フットサル・自宅での適度な筋トレによる賜物でしょう。私もヨガは習慣化していましたが、「もっと筋肉量を増やして全身を引き締めたい」と考えていたので、Tさんと別れた後すぐ、彼を見習い筋トレを始めることに。ただ、今まで“筋肉は鑑賞する専門”だったのと(笑)、生涯文化部でほとんど運動をしてこなかったため、基礎知識が何もありません。プラス「いずれは一人でもトレーニング出来るようになりたい」と考え、思い切ってパーソナルトレーナーを付けることにしました。

 

いくつかの体験レッスンに参加し、一番説得力のあるトレーナー(ボディーが飛び抜けて素晴らしかった)が経営するジムに入会。目標は、週2回のトレーニングを2ヶ月間続け、全身の筋肉量を上げつつ体脂肪率は減らすこと。初回のレッスン時、担当トレーナーから「体重は3~4㎏落とせたら理想だけど、そもそも筋肉って重いから、鍛え始めは一時的にウエイトが増えることもある。たとえ体重が落ちなくても、筋肉量が増えて全身が引き締まれば痩せて見えるし体力もつく。正しい鍛え方を覚えて、自宅でもトレーニング出来るようにするのは大変良いことだ!」とのお言葉。計16回で結構な金額を支払うことになるため、気合いを入れて臨む2ヶ月間になりそうです。

 

レッスンは、基本的に1コマ1時間。自重トレーニング(自分の体重を負荷として利用するトレーニング。例/クランチ、プランク、スクワット等)を中心に、ダンベルやチューブを使ったトレーニング法をマンツーマンで指導してもらいます。指導後は、「(筋トレの後に)有酸素運動30分以上するとより脂肪が燃焼する」ため、時間が許す限り有酸素運動もしっかり行ってから「終了!」とするのを定番にしていました。

 

そんなに広くないジムだったけれど、私が行く時間帯は他の会員さんたち(2~3名)もそれぞれレッスンを受けていることが多く、人間観察をするのも楽しみでしたね。黙々と汗を流す人もいれば、「無理、もう無理! 鬼~っ‼」とトレーナーに悪態をつきながら(笑)鍛える人もいる。私はというと、最初の頃は慣れない&キツすぎて口もきけませんでしたが、回を重ねるごとに余裕が出てきて、徐々に雑談を交えながらトレーニング出来るようになっていきました。私が選んだ“短期集中コース”の場合、「普段の食事を全て記録し、写真かメモで担当トレーナーにメールする」という決まりがあったので、トレーナーさんとは割と頻繁に連絡を取ります。加えて週2回通うため、相性が合えばかなり仲良くなる。私と担当トレーナー・KIさんもそうでした。

 

ジムのHPには「トレーナー紹介」のコーナーがあり、全員のプロフィールが載っています。KIさんの欄には「34歳、身長168㎝・体重74㎏・体脂肪率9.2%。家族=妻、長男4歳、長女1歳」とありました。妻子持ちということで、時折頂く「ランチのお誘い」にも安心して応じ、筋肉に良い食材や、オススメのプロテイン等を教えてもらっていました。メールに書いてある褒め言葉(「キレイですね」とか「お話ししていて本当に楽しい」とか)も、顧客のモチベーションアップのためのリップサービスと解釈。「サービスにしてはちょっと行き過ぎだな」と感じたのは、レッスンが残り2回となった頃です。

 

KIさんに食事の写真を送る日、職場でショックな出来事がありました。夜、深い時間にメールのやり取りをしているうちポロッとそのことを書いてしまい、私を励ますべく、KIさんが“世にもくだらない画像集”を送ってくれました。「かなり落ち込んでたんですけど、クスッと笑えて元気が出ました。ありがとうございます」と送ったら、「あなたにそう言われると溶けます。何でもしてあげたいです。こんなこと言える立場にないのに、自分でもバカだなぁと思いますけど…」と返ってきたのです。ん? これはどういう意味だろう。ひょっとして、女性会員みんなに思わせぶりなことを言う人なのかな。そうは見えないけれど、誤解されても厄介なので「すごいこと言いますね。お気持ちだけ頂戴しておきます。こちらも、何でもして頂くような立場にありませんので」と冷静にレスしてやり取りを終えました。

 

レッスン最終日。普通にトレーニングをした後、諸々の数値を計測。当初の目標だった「筋肉量アップ&体脂肪率ダウン」は楽々クリア。体重は2.5㎏減でしたが、それより何より、全身の“健康的な引き締まり方”に大満足! 2ヶ月前とはシルエットが全然違います。また、体力がついた上に基礎代謝量も上がって、疲れにくく&太りにくい体へと変わったのも大きなメリットでした。地道に通い、きちんとトレーニングした甲斐があった~♪ 自分自身も頑張ったけれど、この成功はトレーナーによる正しい指導と叱咤激励のおかげです。KIさんに感謝の意を伝え、足取りも軽やかにジムを出ました。

 

数分後、信号待ちをしていると、KIさんが追い掛けてきました。走って来たのか、息が上がっています。「どうしたんですか?」と尋ねると、少し間があって「あなたのことが、大好きなんです」と言われました。「冗談だとしたら、全然笑えないですよ」「冗談とかじゃありません」「KIさん妻子持ちでしょう?」「はい」「ならやっぱり冗談じゃないですか。せっかく気分良くレッスンを終えたのに…。そういうセリフは独身になってから言ってください」。そう言って突っぱねました。いえ、“突っぱねたつもり”でした。

 

1ヶ月後、KIさんからメールが届きました。その内容に驚愕。我が目を疑いました。「ご無沙汰しています、お元気ですか? 先日、ご自宅に離婚届受理証明書を送りましたので、中身を確認してください。そして私とのことを真剣に考えてください」とあったのです。え…“離婚届受理証明書”って何? 離婚届を受理したことの証明書…ってことは、法的に別れたってこと⁉ この1ヶ月の間に離婚したの??? 私が「独身になってから言え」って言ったから? じゃあ奥さんと子供はどうなるわけ? え…どうしよう…。

 

   ー 後編へつづくー