女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

心の変遷

 

 

ここからは、日記を抜粋する形で振り返ってみたいと思います。今自分で読んでみても、諸々の流れと“心の変遷”がよく分かり、なかなか興味深いです。日記(22歳の時から続いている習慣です)は誰にも見せない前提で書いてきたけれど、こうしてたまに引っ張り出してみるのもいいですね。“知っているつもり”になっている、自分の内面を見つめ直すきっかけにもなります。

 

2018

11月某日

カフェでお茶。どうして“彼女”ではなく“結婚相手”を探そうと思ったのかを訊く。一つは「不惑を過ぎて、『人生の折り返し地点』を意識した。1人でもまぁまぁ楽しいけれど、今後は隣にパートナーがいたほうが“選択肢”が増えてもっと楽しいかなと思った」とのこと。もう一つは、「恋愛→結婚だと踏むステップが多い。一度失敗しているので、最初から条件の合う人を見つけたいと思った。それには結婚を前提に話を進めるのが効率的かと」だそう。「選択肢が増える」というのは、例えばこういうこと。「女性はいろんなことの楽しみ方をよく知っている。旅でもカフェでも趣味でも、1人であろうと友達と一緒であろうと、老いも若きも楽しそう。一方男性は、年を重ねると行動範囲が狭くなるし限られる。中高年男性が1人または男同士で旅やカフェには行きづらい。僕はカフェめぐりが好きだけど、これから先は女性とのほうがいろんなカフェに行けるし、美味しいケーキのシェアも出来て楽しいと思った」。うん、めっちゃ納得。

 

Yさんは26歳の時に1つ下の女性と結婚し、34歳で離婚している。結婚する際「子供は望んでいない」と伝え彼女も了承済みだったけれど、彼女が30歳を過ぎたあたりから「やっぱり子供が欲しい」と言うように。専業主婦だった彼女は「あなたは仕事、私は子育ての完全分業でいいから子供を作ろう」と主張。「そういう問題じゃない」「大丈夫、子作り以外は何も協力しなくていいから」と話し合いは平行線を辿り、数年後に離婚が成立。離婚後、お付き合いする女性は何人かいたものの、交際前から「僕は子供を作る気がない」とは打ち明けられず、仲が深まるにつれてそのことを伝える結果になった。女性達はみな子供を望んでいたので、自分の元を去っていった。「僕には再婚は無理かもしれない」と思い直属の上司にチラッと話したところ、「なら子供欲しくないって最初から分かってる女性と結婚すれば? 俺ん家子供いないけど、奥さんも俺も望んでその道選んでるから上手くいってるよ」と言われた。そういう手もあるのか、と思い「なるほど、いいですね」と返したら「ちょうどいい人いるけど」と紹介されたのが君だった、との話。私も育ってきた家庭環境や、「結婚がしたいというか、安定した関係を築ける相手を探している。これからの人生を共に生きるパートナーが欲しい」というようなことを話す。興味を持って聴いてくれていたと思う。

 

12月某日

Yさんの会社近くのレストランでディナー。「結婚したらどういう家庭にしたいか」をかなり具体的に話す。共通していたのは「共働きで、家事もお金も折半。基本、自分のことは自分でやる。話し合いを大事にする。『言わなくても分かるだろう』はナシ。歩み寄ることは大切だが、“違う人間同士だ”ということを認識する」という点。プラス、Yさんの希望=①お互いの生活時間軸が違う場合、無理に合わせることはしたくない。例えば、僕は朝が早いけど、その時間に合わせて起きなくていいし「朝ご飯用意しなくちゃ」とか思わなくていい。②たばこは止められないから家で吸うことを認めてほしい。③隣に誰かいると寝付けないし、いびきがひどいため寝室は別にしたい。④社交的な性格ではないから、君の友達や仕事仲間が集まる場は出来れば遠慮したい。ホームパーティーとかも、もし開くなら僕がいない時にやってほしい。私の希望=①仕事的にも体質的にも完全に夜型。今から朝型に変えるのは難しいと思う。②仕事上、帰りが遅くなったり男性と2人で食事に行ったりすることもある。それを咎めないでほしい。③結婚しても1人の時間が必要だと思うから、お互い自室を確保できる間取りの家に住みたい。④年に1~2回は一緒に旅行を楽しみたい。もし旅が好きじゃなかったら、私が1人もしくは友達と旅に出掛けるのを快く送り出してほしい。

 

ありがたいことに、かなりの割合で一致している。やっぱりあの直感は間違っていなかった。私はNさんに、彼は会社の上司に「『正式にお付き合いしたいと思います』と伝えましょう」と言って帰宅。

 

Nさんへ「大変良い人をご紹介くださり、本当にありがとうございます。結婚を前提に、Yさんとお付き合いさせて頂くことになりました」と報告する。すると、「それは良かった! じゃあ最後の仕上げするから待ってて」と彼女。仕上げって何だろうと思っていたら、翌日「追加情報」のタイトルでメールが。開くと、彼のおおよその年収やら家族構成やら借金の有無やら、訊きにくいけれども知りたい情報が並んでいる。「こういうことは、早い段階で当事者以外が確認するのが一番いいの。あなたのデータも送りたいから、質問事項に答えて返信しといてね」。お膳立てからフォローまで完璧すぎるNさん、あなたは一体何者なのですか? そしてどうお礼をしたらいいでしょうか。御礼の品は何がいいか、今度ゆっくりお聞きしよう。

 

2019

◇1月某日

まだ数回しか会っていないけれど、Yさんと2泊3日で正月旅行へ。出発の前日、彼にLINE。「結婚前提&宿泊ありの旅行だと、“いろいろなこと込み”と思われるかもしれませんが、私は今回の旅、そのようには考えていません。ちょっと早いかなと…。Yさんはいかがですか?」と直球の内容を送る。彼からのレスは「僕もその点は特に焦っていないです。せっかくだから観光を楽しみたいし、どちらかというと“3日間一緒に過ごすこと”が目的かな。あと、そういうことをはっきりと言ってくれるところ、好きです」。初めて「好き」という単語が出てきて少し驚いた。訊いてみて良かった。

 

◇1月某日

旅先から帰宅。食の好み、休憩したいタイミングなどが合うため、3日間一緒にいて楽だった。かと言ってお互い気を使わないわけではなく、適度に相手を尊重しながら過ごしていたと思う。Yさんは本当に早寝早起きで、連日23時前には就寝していた。普段喋る声は小さいのに、いびきはだいぶ豪快だった(笑)。あと、彼は観光スポットに行っても写真を撮らない上、カメラを向けても全然笑わない。あんまり楽しくないのかな?と思い尋ねたら「すごく楽しい。でも写真を撮られることに慣れてないし、もともと感情が顔に出ないタイプだから気にしないで」とのこと。なるほど、了解。

 

◇2月某日

予想外のことを2つ、告げられた。「旅行の時は言い出せなかったんだけど、実はある理由で今は性行為が出来ないんだ。いつ出来るようになるのかは、僕も医者も分からない。それを踏まえた上で今後も付き合ってもらえるかな」だそうだ。へぇ、そうなのか…。でも一生出来ないってわけじゃないだろうし、長いスパンで考えれば別に構わない気がする。「そうなんだ、分かった」と言ったら、「いいの? ありがとう」とホッとした表情。「いつ言おうか?」とか、言って「じゃあ別れる」とならないだろうかとか、気にしてたのかな。まぁ、そりゃ気にして当たり前か。

 

もう一つは“秘密の趣味”について。「昔から仮面ライダーとか戦隊ヒーローとかが大好きで、フィギュアや玩具をたくさん集めている。女性はそういうの興味ないだろうし、結構な額のお金も掛かるんだけど、出来ればその趣味を否定しないでほしい」と言われる。本当は「いやいや、1つ目との落差(笑)!」と突っ込みたかったけれど、割と真剣な顔だったから控える。「人の趣味をとやかく言う気はないし、自分で稼いだお金を好きなものに使って何が悪いのか?と思う。私だってライブとか旅とかにガツンとお金使うよ。っていうか、ライダー割と好きだよ」と答えたら、パァッと表情が明るくなって、出会ってから一番大きい声で「本当⁉」と嬉しそう。「じゃあ『フィギュア捨てて』とか言わない? 年2回公開されるライダー映画、一緒に行ってくれる?」と畳みかけてきた。かわいいな、オイ(笑)。「あなたが大事にしてるものを捨てろなんて言わないし、映画も一緒に行くよ」と言ったら「ありがとう! ライダー映画一緒に観てくれる彼女って、長年の夢だったんだ~♪」とこれまた出会ってから一番の笑顔。ふむふむ、趣味に理解ある人と付き合ってこなかったのね。ギャンブルとかじゃない限り、相手の趣味に口を出す気なんて全然ない。好きなもの、熱中できるものがあるのは良いことだ。それだけで人生に潤いがプラスされる。しっかし、1つ目と2つ目の告白、内容に落差ありすぎ(笑)。

 

◇3月某日

Yさんと休日デート。映画を観て、買い物をして、昭和レトロな喫茶店へ。ボーッとカフェオレを飲んでいたら、「会社の同僚が海外行ったんだって。そのお土産」と謎のお菓子をくれた。「それと…コレ」と小さな箱を差し出される。開けようとすると、「あ、待って。僕が開ける」とゆっくりオープン。中身は何と、一粒のダイヤ。「婚約指輪を買おうと思ったんだけど、店員さんが『こちらの商品でしたら指輪にもネックレスにもお仕立て可能ですので、どちらがいいか奥さまに選んでもらうお客様も多いんですよ』って言うからダイヤだけ買ったんだ。あらためて、僕と結婚してください」。婚約指輪なんて考えてもいなかったから驚いたけど、すごく嬉しかった。思わず泣いてしまった。涙が引っ込んだ後「さっき、何で箱開けてくれたの?」と訊いたら、「君おっちょこちょいでしょ? 平らな道で転んだり、持ってるもの急に落としたり(笑)。これダイヤしか入ってないから(※要は加工前なので留め具が何もない)、勢いよく開けてポーンってどっかに飛ばして、店中を探すことになるんじゃないかと思って」との返事。ごもっとも(笑)。

 

◇4月某日

Yさんと一緒に、ダイヤを購入したお店(銀座の有名宝飾店!)へ。指輪だと、それこそどこかに引っ掛けて石を落としてしまいそうなので(笑)、ネックレスに加工してもらうことに。チェーンの種類や長さなど、かなり豊富な種類の中からセレクト出来るそう。大量のサンプルを見ながら店員さんとあれこれ相談している間、彼はとてつもなく暇そう&興味なさげに待ってくれていた。なのにわざわざ宝石を選びに店へ足を運んで、私のためにいろいろ考えてくれたんだなぁ。優しい人だ。

 

GW

5月3日、お義兄さんのご自宅へ。義兄家族に結婚のご挨拶。小さいお子さんがいるから、賑やか過ぎて大人の話し声はあまり聞こえない(笑)。そんな中でも、「子供を持たない夫婦として生きていくつもりです」というのはきちんと伝えられて良かった。Yさんの考え方を既に知っているせいか、割と肯定的で助かる。それと、不謹慎かもしれないけれどご両親とも他界されているので気が楽。お墓もお義兄さんが守ってくれると言うし、ありがたい限り。

 

5月5日、私の実家へ。「両親への挨拶は要らない」と言ったのに、Yさんが「そこは筋を通さなくちゃダメ。君がよくてもご両親と僕がよくない。だって僕は再婚、君は初婚、子供は作らない。そんなの、結婚を反対されたっておかしくない条件だよ」と言うので仕方ない。4人だけだと息が詰まるから援軍を要請した。妹家族にも来てもらい、姪っ子に場の空気を和ませてもらう作戦。

 

久しぶりに会う両親は昔と何も変わっておらず、思わずため息が出そうになる。偉そうに「おう、元気か?」と言う父に、無表情で「見ての通り」と返す。やっぱりこの人、大嫌い。帰り際、「これからはちょくちょく顔出せよ」と言われて「どの口が言うんだ!」と殴り掛からなかった自分を褒めたい(*家庭環境について詳しく知りたい方は、カテゴリー「生い立ち」をご参照ください)。新居はどこだ、結婚式は?等々うるさいため「あなたに関係ないでしょ。忙しいからもう帰る」と途中で切り上げた。妹よ、後処理を押し付けて申し訳ない。それと「家庭環境の話は聞いていたけど、君のご両親への態度に少し驚いたよ。本当に大変だったんだね」とYさんに言われた。「だから挨拶なんて要らないって言ったのに…」という言葉が出かかったけれど、「筋を通す」ことを大事にしている人は好きだから引っ込めた。それに裏を返せば、最低限の筋は通したわけで、以降は何の報告も入れる必要はないってこと。そう考えたら気が楽になった。

 

◇7月某日

「ダイヤのお返しがしたい」と、Yさんに国内旅行をプレゼント。少し値の張る老舗旅館と、美味しいパン屋さんのハシゴに「嬉しい、ありがとう」と喜んでくれた。彼はパンが大好きで、朝に限らずパンを食べる比率が高い。この旅行では、(パン屋さん以外)ほとんど私が「行ってみたい」と言ったところに足を運んだけれど、地図が読めない私に代わって全部連れていってくれて助かった。「都内でも行きたい場所があれば、先に言っといてくれれば調べるよ。僕は『あそこに行きたい』とかがあまりないから、調べるの楽しい。これからも一緒にいろんな場所へ行きたい」だって。やっぱり優しい。

 

◇9月某日

「結婚指輪が完成しました」とのことで、注文していたお店へ2人で出向く。若干のサイズ直しは必要だけれど、デザインも色も希望通りに仕上がっていて大満足。人気のジュエリーショップやマリッジリング専門店を結構見て回ったけれど、残念ながら「着けたい」と思う指輪が一つもなかった。お願いしたお店は完全オーダーだから少し予算オーバーだったけど、納得いくものが出来て良かった。一生身に着けるものだから、やっぱり気に入ったものがいい。彼は最初「シンプルなものにするよ」と言っていたのに、実際お店へ行ったら少し凝ったデザインを選んでいて面白かった。「男性の指輪も、こんなにいろいろ種類があるんだね~」と感心していた。

 

10月某日

区役所へ行き、婚姻届を提出。受理日は、1年前に出会った日付。名字が変わることへの抵抗はやはりあるけれど、それ以上に何とも言えない“安心感”みたいなものを得た気がする。時間外(夜間)に提出したため、職員の方は少人数で業務をこなしておられ、「おめでとうございます。あちらに“令和婚”の記念ボードがあるので、良かったらお写真撮っていってください」とサラッと案内される。すると、私たちの後ろに並んでいた外国人バックパッカーが、「今夜泊まる宿がどこにあるのか分からない」と困っていた。職員さんは誰も英語が聴き取れないらしく、あたふたしていたから私が質問を伝える。その答えを伝えてくれと言われ、「英語ペラペラなわけでもないのに、しかも記念すべき入籍日なのに、私はなぜに通訳をしているんかーい」と思いながらも最後までやる(笑)。私も海外一人旅をする時は、毎回地元の人に助けてもらう。恩返しするのは当然といえば当然だ。外国人が「ところで君たちはここで何してるの? っていうかここってどこ?」と訊くので「役所だよ。実はたった今結婚した」と答えたら「本当に⁉ おめでと~う!」と熱いハグ&馬鹿デカイ声で祝ってくれる。そして一緒に写真を撮った。いい記念になったけど、Yさんは全然笑ってない&棒立ちだし、外国人(30代男性)が満面の笑みで私の肩を抱いているしで、どの2人が結婚したのか非常に分かりづらい写真となってしまった。そしてYさんに「君は本当に社交的だね。仕事でもないのに初対面の人とあんなに話すなんて、僕にはハードルが高すぎる。海外旅行の時はよろしくね」と言われた。そうか、人見知りの彼にとっては、数分間のやり取りだけでもハードルが高いのか。「お安い御用! その代わり、ルート案内は任せたよ」「うん、分かってる(笑)」。

 

ないものを補い合って、この先も彼と楽しく生きていきたいな、と思った。

 

 

…とまぁ、入籍までの日記はこんな感じです(もちろんかいつまんで書いています。それでも結構な量になってしまいました・汗)。結婚してからのことは、改めてまた♪