女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

悪意がなくても

先週に引き続き、再放送中のドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る」(NHK)を観ました。今日(7/4 23:30~)は第4話。だいぶ重めの内容でした。

 

主人公・ジュンにはSNS上の友達・ファーレンハイトがいます。同世代且つゲイ、一回り以上年上の恋人がいる、Queenファンと共通点が多く、2人はいろいろな相談や報告をし合う仲。そのファーレンハイトの恋人が、不幸にもエイズで他界してしまいます。そしてファーレンハイト自身も、「彼の後を追う」という遺書メールを残し、自ら命を絶ってしまう。ファーレンハイトは、自分が死んだ後でジュンにメールが届くようあらかじめ設定していたのでしょう。その文面…いえ、遺書には「彼の葬儀に行ったが追い返された。好きな人の死に目にも会えない。僕たちのような人間は、どうして生まれてくると思う?」とありました。

 

ファーレンハイトの心の中は分からないし、今の私は、率直に「何も死ぬことはないだろうに」と思います。でも、思春期の頃だったら理解できたかもしれないというか、実際、衝動的に「死にたい」と思うことは何度かあった。大人や他人が気にも留めないようなことで深く傷付いたり、“生きている意味”を知りたくて悩んだり、自分と誰かを比べて絶望したり。脆くて儚いかと思ったら、突然攻撃的な面が顔を出したりすることもあって、精神が非常に不安定でした。当然といえば当然ですよね、生まれてまだ十数年しか経っていないんだから。成長したはずの今だって、いろんなことに動揺したり迷ったりしながら“日々を生きる”ことで精一杯。思春期の少年・少女が不安定なのは当たり前です。

 

そしてもう一つ心に引っ掛かったのは、「僕たちのような人間」という言い回し。それってどういう人たちのことだろう。ゲイ? それともマイノリティ全般?

 

私の周りには、仕事でもプライベートでも、ジェンダーレスの方が割といます。普段一緒にいる時は特に何も気にしておらず、「あ」と思うのはトイレに行く時くらい(目立つ容姿の場合、ガン見されるケースもあるので)。彼らから、苦労話だとか辛い思いをした話だとかはほとんど聞いたことがないため、今日の第4話はかなり衝撃的でした。「え、ゲイってこんなに大変なの? こんなに生きづらいの?」と。でもそうか、ジュンはまだ高校生。私は大人だから気にしないだけで、10代だと周りの人…というか本人さえも、“何が何だかよく分からない状態”の渦中にいるのかもしれない。私の友人たちも、昔の苦労話を口にしないだけで、本当は辛い時期があったのかもしれません。自分に置き換えると…私だって毒親のことなんか、わざわざ友達に話そうと思わないもんなぁ。

 

前にも書いたと思いますが、私たち夫婦は、お互いに「子供をもうける意志がない」という点が決め手(←もちろん他にもありますけどね)となって結婚しました。その事実を伝えた途端、目を見開いて「じゃあ何で結婚したの⁉」と訊いてくる人がいます。諸々面倒くさいので「ラブラブだから♡」などと適当に答えますが(笑)、結婚って、子供を作るためだけの制度なんだろうか。だとしたら狭すぎやしませんかね? 私はもっと広い意味に捉えていて、一組一組が“したい結婚”を各々すればいいと思っています。例えば「専業主婦・主夫を極めたいから結婚する」でもいいし、「家賃がもったいないから仲の良い友達と結婚しちゃおう」でもいいし、「名字を変えたくないから事実婚する」でもいい。もちろん結婚しなくてもいいし、たくさん子供を作ってもいいし、同性同士で籍を入れてもいい。

 

自分がそうだから言うわけじゃないけれど、将来的には「性生活ゼロの夫婦」って増えるんじゃないかなと予想しています。段々セックスレスになるんじゃなく、最初から“性生活はナシの方向で”と選択する夫婦の意です。若年層の性欲は年々低下しているとのデータがあるし、子供を育てやすい環境が整っているとは言えないしで、今後出生率は下がる一方でしょう。だったら恋愛感情は抜きにして、気の合う人や旧知の友と結婚するのが合理的だと考える人が増えてもおかしくないと思います。

 

現状、マイノリティに分類されるであろう私たち夫婦も、近い将来マジョリティになる可能性があります。個人的にはそんなのどっちだっていいけれど、今日の第4話を観て少し考えが変わりました。「自分がマイノリティだと否応なく意識させられて、それを『すごく辛い』と感じる人もいる」ことが具体的にイメージできた。他人や家族から何かを言われた時、聞き流すことが出来なかったり、適当にあしらうことが出来なかったり…。そういう人にとっては、先述の「じゃあ何で結婚したの⁉」という一言も、結構辛いものとして響いてしまうのかもしれない。

 

かつて不妊治療をしていた友人が、「『お子さんは?』とか『きっとすぐ出来ますよ』とか、相手にとっては何気ない言葉とか、励まそうとして出た言葉にも苦しめられた。誰とも会いたくないし話したくない時期があった」と言っていました。彼女は、「だから既婚女性に対して、自分からは子供のことを絶対訊かないと決めている」そうです。私もそれまで何の気なしに「お子さんは?」と尋ねたりしていたけれど、この話を聴いて「知らない間に、悪意なく傷付けてしまった人がいるかも」と思いました。彼女に倣い、私もお相手から話してくれた時以外、子供のことは訊かないようにしています。