女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

時が来た

このところ、実にさまざまなことを感じたり考えたりしていました。コロナ以降はそういう日々がずーっと続いていたけれど、諸々について、より一層深く考えた。

 

7月上旬、エンタメ業界に身を置く人間にとって、一番恐れていた事態が起こってしまいました。舞台クラスターの発生です。6/30~7/5に、東京・新宿シアターモリエールで開催された、とある舞台。出演者、スタッフ、観客含め多くの方がコロナウイルスに感染、濃厚接触者は計850人以上と報じられました。責任のほとんどは、ガイドラインを遵守していなかった主催者側にあると思います。でも、ニュースを見た人々の目にまず飛び込んでくるのは「舞台クラスター」という文字ではないでしょうか。ライブハウスの時もそうだったけれど、ひとたび文字になってしまうと大変印象が悪く、風当たりは一気に強くなる。同業者への影響は計り知れません。

 

私が取材させていただくのは、俳優さんの舞台よりも歌手のステージのほうが断然多いです(*長年、エンタメ系雑誌の記者をしております)。音楽業界でも、配信ライブや無観客ライブからスタートして、徐々に「少人数のお客さんを入れていこうか?」という流れになってきていたところで舞台クラスターの発生。振り出し…いえ、振り出し以上に戻ってしまい、演者もスタッフも意気消沈&疲弊しきっている。先が見えない中で何度も立ち上がろうとするのは、精神的にも金銭的にも相当しんどいと予想します。ただ、私見では「生のライブ、生の舞台は時期尚早」と感じていたので、中止や延期などは正直言って賛成です。ここまでウイルスが蔓延している以上、感染の危険に身をさらしてまで決行する必要はないと思うし、そもそも“今までと同じステージ”を観られるとも思っていない。これを契機として、発想の転換をしたり、別の収入減を確保したり、或いは職自体を変えたり──。何かしらの変化や対応をしなければ、今後生き残っていくのは難しいと思います。もちろん私もその一人です。

 

ライブやコンサートの取材は、もう何ヶ月もしていません。インタビューはポツポツあるけれど、これだって以前のものとは異なります。相手と一定の距離を保って話したり写真を撮ったり、もしくはリモートで取材したり。これはこれで新しい体験ですが、やはり物足りなさや消化不良感は残る。それと、「この仕事、なくなるかもしれないな」と感じています。

 

というのも、今は個人で発信できるツールが豊富にある時代。表に立つ人はなおさらで、SNSYouTubeでいくらでもアピールできます。画像だって加工しまくれるし(笑)、“100%自分の言葉”での発言も思うがまま。紙媒体に頼らずとも、「これ言いたい!」「◯◯を宣伝したい」と思った瞬間、それこそ秒で世界中に発信可能です。今まで「SNSはやらない主義」だった方々の中にも、コロナでファンとも記者とも非対面を余儀なくされ、「遂に始めました」という方も結構おられます。それは全然いいと思うし、伴って紙媒体が消失するとも思わない。けれど、今の会社において“私がしたい仕事”は出来なくなる可能性がある。

 

私には、出世欲や野心というものが全くありません。偉くなったら現場に出る数が減ってしまうし、きちんとした服装もしないといけないし(笑)、その上、編集部だけでなく全体のことも考慮した言動が求められるでしょう。私にそこまでの能力はないし、“自分が望まない仕事”を毎日やっていく自信もない。されど先日、うっすら「これ…もうすぐ昇進しちゃうやつじゃない⁉︎」と思われる発言があったのです(上司から非公式に)。

 

我が編集部は、雑誌の方向性や存続を含め、今まさに過渡期を迎えています。私はそこそこのキャリアもあるし、職場でも「子供をもうけるつもりはない」と公言しているため、産休を取る可能性はゼロ。「会社にとってちょうどいい存在というか、何かと都合がいいのかもしれないなぁ。もし本当に昇進させられたらどうしよう…」と悶々。正式な発表があったわけではないけれど、良い機会なので真剣に考えてみることに。熟考した結果、一つの結論に達しました。

 

「単に『時が来た』ってことなのかな。よし! 会社辞めよう」。

 

     - 次回へつづく-