女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

共存共栄

先週末、数ヶ月ぶりにコンサートを観てきました。仕事は抜きで、純粋に観客としてです。「好きな歌手がステージに立つ姿を拝める、生歌が聴ける!」という喜びに満ち溢れ、チケットを買った瞬間からワクワクと興奮が止まりませんでした。その方とは現場で会えば普通に「おはようございます」と挨拶して取材も冷静に出来るのですが、ステージ上で歌っている彼は別次元の存在というか、尊すぎて私の中ではもはや神に近い。もともとファンだったわけではないのに、偶然担当となってステージを観続けるうち、唯一無二の素晴らしい歌声や仕事に対する姿勢、お客さまへの接し方などにすっかり&ガッツリ心を奪われてしまったのです。


これはあくまで私見ですが、身近な人間(私のような担当記者をはじめ、所属事務所のマネージャーやレコード会社スタッフ他)さえ魅了できない歌手は、大勢のファンを夢中にさせたり、長きにわたって音楽シーンで活躍するのは難しいんじゃないかと思います。その人自身やパフォーマンスに大いなる魅力があれば、周りの人間は「何とかして彼・彼女を世に出したい」と必死になるし、自分ができうる協力は惜しまない。実際、売れている方や長年トップにいる方というのは、“誰よりもその人に惚れ込んでいるマネージャーさん”が付いていることが多いです。また、たとえまだ売れていなくとも、担当歌手の才能を信じて疑わないマネージャーさんが側にいると、その後ブレイクする確率も上がる気がします。もちろん現実問題として、事務所の力が強いかどうかも大きく影響してしまいますけれど…。


前置きが長くなりました(汗)。


私が足を運んだコンサートは、ごく一般的なホール&着席スタイルで、1000人強のキャパ。会場に入ってまず驚いたのは、その座席です。「こちらの席にはお座り頂けません」と明記された紙が、市松模様に規則正しく貼ってある。つまり、約500枚をスタッフさんが手作業で貼ったということです。本当にお疲れさまです。そして開演までの間、「出演者へのご声援はお控えください。その分盛大な拍手をお願い致します」と書かれたプラカードを持って歩き、スタッフさん達が観客に目で訴えかけている。その他、おしゃべりも全面禁止ではないけど必要最小限にとどめてほしい、出演者へのプレゼントやファンレターはお気持ちだけ頂戴する(仮に持参しても受け取らない)等々、注意事項のアナウンスもいろいろありました。


ここへは16年前から何十回も来ているのに、まるで見知らぬ会場へ迷い込んでしまったような感覚…。お客さんは入っていても、全員マスクをしていて表情が分からないし、無駄なことを喋らないからものすごく静か(例えて言うなら美術館くらいの静寂)。“熱気”というものがほとんど感じられません。


ところが、です。徐々に客電が落ちて場内が暗くなると──。真っ暗で声援もないのに、お客さんの全神経がステージに集中しているのが分かります。見えずとも聞こえずとも、肌でビンビン感じる。そして1曲目のイントロが流れ始めた途端、通常の半分しか収容していないとは思えないほど大きな、そして熱い拍手が、会場いっぱいに響き渡りました。「熱気がない」なんて言ったの、一体誰でしょう(笑)? カッコイイ衣装と眩い笑顔で登場したその人の名を、みんなが呼びたい、「会いたかったよ〜!」と叫びたい気持ちをぐっと堪えてより盛大な拍手を送ります。


「嗚呼、コール&レスポンスしたい‼︎  『もっと!』と煽られたいぃぃ〜‼︎‼︎‼︎」


…とそりゃあ思ったけれど、目の前で大好きな歌手が歌っている。「ありがとう」「最高」「愛してる」と言ってくれて、貴重な時間を共有できている。そのことが本当に嬉しかったし、歌もMCもめちゃくちゃ良かった。彼が全身全霊で“歌”と向き合っているのが、「届けよう」と努めているのが、改めてよく分かったステージでした。


なお、私はスピーカーに近い席だったこともあり、まさに“体中で音を浴び続ける2時間”を過ごしたのですが、控え目に言って最高でした〜♡♡♡   中でもベース音が心臓や背中にドスドス響いて、「今私、コンサートを観てるんだわ♪」と激しく実感。と同時に、「やっぱりどうしようもなく音楽が好きだ」と再認識しました。私は将来もずっと、“音楽のある世界”で生きていきたい。


そのためには、生のコンサートのみならず、配信ライブでもきちんと収益をあげられるシステムを構築して頂かないといけません。一部の大御所やトップアイドル等は十分やっていけるでしょうが、私が担当する歌手の多くは「食べていくには程遠い」というのが現状です。配信ライブはまだまだ課題や改善点も多いけれど、コロナ前と同じ状態に戻すのは無理なのだから、ただ手をこまねいていても仕方ない。音楽業界を取り巻く状況は厳しくとも、そういう気概を持ちながら「試行錯誤を繰り返している」との話を現場(というか電話やLINE等)でもよく伺います。


自粛以降、結構な数の配信ライブを観たけれど、生には生の、配信には配信の良さがあるなと感じました。細かい部分まで観られたり、リアルタイムで、しかもいろんな人が同時にコメントや感想を送れたりするのは配信ならではだし、どこからでも視聴可能なのは大変魅力的。ファン層だって、予想外の方向にまで拡がるかもしれない。私は圧倒的に生歌が好きだけれど、かといって「配信ライブはちょっとなぁ…」というわけでもありません。よく言われる「紙媒体vs電子書籍」もそうですが、「生のライブvs配信ライブ」も、バーサス形式ではなく共存共栄形式で捉えればよいと思います。互いを認め合い、“共に繁栄する道”を目指すのです! ユーザー側も選択肢が増えるし、むしろメリットだらけではないでしょうか。