女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

退職記念日

昨日は、16年間勤めた出版社へ、文字通り“最後の出社”をしてきました。退職したい旨を会社に伝えてから、約2ヶ月。出社・リモートワーク・現場への直行・諸々の引き継ぎ・クライアントや担当歌手へのご挨拶・デスク周りの片付け…etcをこなす中で時間はあっという間に過ぎ去り、18日付けで無事退社致しました。


「このご時世だから送別会は出来ない」と事前に言われていたにも関わらず、編集長が気を遣ってくれ「メシでも行ってきたら?」とポケットマネーをポン。同じく出社していた後輩記者2人と一緒に、少しお高めのランチを頂きました。食後には、入社以来初めてとなるスリーショット写真の撮影も(笑)。


さてさて、今の率直な気持ちを述べますと、寂しい=10%、達成感+開放感=90%という感じです。望んで就いた職とはいえ、16年間〆切に追われ続ける生活を送ってきたため「もう〆切を気にしなくていいんだ」「徹夜で書いたりしなくていいんだ」という開放感がものすごい。正直、めーっちゃ嬉しいです!


私が所属していたのは、エンタメ系月刊誌の編集部。発売日の関係で、毎月1〜2日あたりが最終〆切日なのですが、これが本当にキツイ。友達から「1ヶ月もあるんでしょ? その間にゆっくり書けそうじゃん」と言われた時は「ワレゴラァァァ‼︎   東京湾に沈めたろかい!」と思ったけれど(笑)、異業種の人からはそういうふうに見えてるのか…と勉強にもなりましたね。


軽く説明しますと、巻頭やグラビアなど頁数を割くものや、特集や密着取材など入念な準備が必要なものは編集会議できっちり決めますが、それ以外は基本、流動的です。1ヶ月あれば世の中のいろいろな流れが変わるし、誰かの不祥事があったりCDの発売日・映画の公開日が延期になったりと、突発的な変更も結構ある。だから、どの記事をどのくらいのボリュームでどこに載せるか、カラーにするかモノクロにするか…などは「これ以上待てない」というギリギリのタイミングになってようやく決めるのです。よって、1ヶ月間取材してきた膨大な量の素材を、〆切期間中(何と!大抵1週間以内)に一気に書き切らないといけない。しかも我が編集部は少人数で回しているので、エディター・ライター・時にカメラマンと、履いているのは二足の草鞋ならぬ三足の草鞋。大手であれば記者は執筆に専念できるのでしょうが、我々のような弱小出版社では、まず編集としての仕事をする必要があります。


最初にやるべきは、プロカメラマンに撮影してもらった写真(表紙や特集など)のセレクトです。スタジオでの写真はそこまで枚数は多くないけれど、ライブ写真となると1000枚以上ということもザラ。目をショボつかせつつ(笑)全カットをチェックし、その中から自分が「最適だ」と思うものを選ぶ。渾身の1枚を(歌手が所属する)事務所に否定され、「これじゃないやつありますか」と言われることもあるので一応差し替え用も選んでおきますが、そうならないよう上手く説得するのも仕事のうちです。ここだけの話、事務所は「なるべくパブリックイメージに近いカットを」と言いがち。それも分からなくはないけれど、私は「せっかく撮り下ろすんだから、ファンの人もご本人も“今まで見たことがない”と感じる表情を捉えたい」という考えです。「無難な写真でいいなら、わざわざ時間とお金をかけて撮る必要はない。宣材かアー写でいい」と思います。ここはある意味、闘いですね。


そしてそれに付随する原稿を書くのはもちろん、デザイナーへの指示(ページのどこに、どういうサイズでどの写真を配置するか…等の細かいラフを提出)、自分が撮った写真の処理及びセレクト、写真チェック&原稿チェック(先方に送る)、インタビューテープ起こしに次号の準備(企画書作成、アポ取り、日程調整、取材場所探し、質問事項準備、カメラマン手配等々)ほか、同時進行でやらなければいけないことが山積み。これを春夏秋冬12回繰り返すと「あぁ、今年ももう終わりか〜」と知らないうちに1年が過ぎ、同じくそれを16回繰り返して気が付いたら今日に至っていたわけですねぇ。恐ろしいですねぇ(笑)。


このような環境下に置かれたことで、私の“旅行好き”に拍車が掛かりました。いや、単なる旅行というよりは、現実からの逃避、異世界への憧れ、未知なる国や体験への強い渇望…と表現したほうがよいかもしれません。


入社して5年目以降くらいから、年に一度は「自分、そろそろ無理っす。今すぐ逃亡しないと爆発しそうっす」というタイミングが必ず訪れます。そのサインを周りに出すと、ありがたいことに「◯◯日とかなら大丈夫だよ」「僕は◯◯日なら代われます」と言ってくれることが多かったため、よく弾丸で海外へ行っていました。異文化に触れ、知らない人と話したり遊んだりし、美味しかったり劇的にマズかったりする(笑)料理を食べ、いい意味での適当さやユルさを学び、だいぶクセ強めのノンネイティブ英語を、相手に聞き返さずとも理解できる耳を育てる。


そして旅行明けの出社日には、お土産・おもしろエピソード・現地の写真の3点セットを手に編集部スタッフをランチに誘い、感謝の言葉とともに渡すのです。もちろんランチ代も出します。その流れが早い段階から完成していたこともあって、旅行の際は割とスムーズに休みを取らせてもらえました(有休ではなく代休ですけどね・笑)。時間がなくて会社→空港、空港→会社ということも多々あり、「余計疲れない?」と訊かれることもあったけれど、なんのなんの。旅好きにとっては、空港から直接出社することぐらい朝飯前というか、そんなの苦でも何でもありません。忙しさにかまけて全然旅できないことのほうが、よっぽど辛いです。


改めまして、本日より晴れて自由の身となったワタクシ。コロナがなければすぐにでも旅に出たいところですが、そういうわけにもいきませんので、しばらく自宅や近所でのんびりしようかなぁと思っています。


〆切に追われない毎日って、一体どんなだろう? 担当歌手や俳優のSNSを常にチェックしなくてもいい日々って、どんなだろう? とてつもなく楽しみです、ウフフフフ♡