女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

反面教師

数日後、夫の誕生日がやって来ます。「欲しいものもあるし、新しいカフェも開拓したいし、買い物がてらゆっくり過ごしたい」というリクエストがあったため、何軒かのお店をリサーチ(←主に私ではなく夫が・笑)。その結果、「10日に出掛けようか?」と相成りました。我が家は事前の約束がない限り「休日も別行動」なので、「◯日は空けといてね」の申請がないと誕生日プレゼントも買いに行けないシステム(笑)。でもこのシステム、お互い快適だから変更する気はゼロ。ごくたま〜にガッツリ時間を共有すると、新鮮な上、会話も弾むし結構オススメですよ♪


ところで、今年の誕生日は、夫にとって特別な意味があります。彼のご両親は既に他界されているのですが、お父さんは数年前に70代で、お母さんは随分前に40代の若さで亡くなっている。当時、夫はまだ中学生。反抗期を迎えることも出来ないまま、「病気であっけなく逝ってしまった母」を見送ったのだそう。その年齢に今年、彼が追いついてしまうので「例年とは違う気持ち」なんだとか。先日も「『親と同い年になる』っていうのは、何とも言えない違和感がある」と複雑な表情で語っていました。


夫は、お兄さんと2人兄弟。お父さんは亡くなるまでの三十数年間、再婚もせずに働き続け、男手1つで子育てをしてくれたそうです。ただし、知り合った当初「幸せな家庭だったか?と訊かれたら、決して『うん』とは言えないと思う」と話していたので、相当いろいろあったのでしょう。お父さんの死後、「亡くなって初めて知った」という借金も発覚したようで、その返済に、お兄さんとともに苦しんだみたいです。


夫が子供を望まない理由は「お父さんとの関係性にあるんだろうなぁ」と予想できるけれど、彼はそのあたりについて詳しく語ろうとしません。もともと饒舌なタイプではないですが、詳細を話さない=言いたくない、知られたくないんだろうと判断。今後も、私から尋ねたりする気は全然ないです。話したくなったら話せばいいし、別に一生話さなくたっていい。私は、「夫婦だからって、“心の内側”を全部見せる必要はない」という考えです。現に、私だって夫に見せていない面や感情は山ほどある。それこそ“お互いさま”だと思います。


夫は、「40代で母親が亡くなった」という事実に、かなりショックを受けたようです。当時思春期だったわけですし、そりゃそうですよね…。その影響か、私のこともすごく心配してくれます。「貧血はどう?」「子宮筋腫の治療法、決めたの?」「少しでも体調悪かったら無理しちゃダメだよ。すぐに病院へ行って」等々。「君の生活に口を出すつもりは全くない。でも、身体のことについて言うのだけは許してほしい。母の病気は、驚くほど早く進行したんだ。診断されてから亡くなるまで、あっという間だった。その怖さが、今もずっと残ってるから…」。


お母さんは、来る日も来る日も「亭主関白型の父」に合わせて暮らし、「苦労を重ねた挙句、病に倒れて早死にしてしまった」と夫は言います。お母さんのことを語る夫の目には翳りがあるというか、いつもすごく悲しそうです。


結婚してから、もうすぐ1年。共に暮らしていく中で、夫が私に要求することといえば「家計も家事も折半」「何事も平等に」「自分のことは自分で」という点くらい。改めて、「本当に良い人と出会えたなぁ」と実感しています。そして、お父さんを反面教師とし、“全く別の生き方”を選んだ夫のことを尊敬しています。


夫との間にセックスは一度もなく、最近ではキスさえしないけれど、逆に言うと、それ以外での不満はほとんどありません。性的欲求は女風で解消できますから、慣れれば案外潔く割り切れます。もちろん、「最初からスパッと」ではなく「徐々に段階を踏んで」ですけどね。


「人間というのは、“起きてしまった出来事”や“どうしようもない現実”に対して、自分達が思うよりもずっと柔軟に対応できる生き物なのかもしれない」と日々感じています。大抵のことは解決できるし、たとえ解決できなくてもどうにかなる。もしくは「どうでもよくなる」時が来る(笑)。そのくらい適当に生きたほうが人生はラクだし、毎日楽しく過ごせます。突き詰めて考えるのは、時々でいいと思います。


考えすぎると脳が疲れるし、真面目な人ほど精神的にも追い込まれる…というか、自ら追い込んでしまう気がします。夫にもよく言うのですが、悪い意味の“いい加減”ではなく、ほどほどで手を打つ“良い加減”で生きていけばよいと思う。以前、「全部100%を目指す必要はないんじゃない? 得意なこと、好きなことには全力注いで、残りは2とかでいいと思うけど」と言ったら、「え、2⁉︎   2でいいの⁉︎   せめて60〜70くらいは…」と返ってきて驚愕。「そうか、この人は不得手なこと、好きじゃないことにもたくさんエネルギー注いじゃうから、その分疲弊しちゃうんだろうなぁ。大変だなぁ」と思いました。それからしばらく「2…。100のうち2…」と小さい声で呟いていて面白かったけれど(笑)、“2で暮していても、特に支障がないモデルケース”がすぐ側にいるのだから、もっと気楽に生きてくれたらいいのになぁと思います。