女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

文字霊

前にも書いたかと思いますが、我が夫はドラマ「ブラッディ・マンデイ」(2008年及び2010年)での演技に魅了されて以来、三浦春馬さんの作品を好んで観てきたそうです。私自身も好きな俳優さんの一人なので、全部ではないけど彼の出演作は割と観てきました。ここ最近で一番好きだったのは、紀行番組「世界はほしいモノにあふれてる」(※以降「せかほし」/2018年4月〜)でのMCぶり。木曜の夜にまったり観られる&自分も旅している気分になれるし、もう一人のMC・JUJUさんとのやり取りも微笑ましくて好きでした。三浦さんの素敵さやおちゃめ加減もさることながら、番組全体の雰囲気が素敵なんですよね。温かくて穏やかで、且ついろんな意味でとってもカラフル。神尾晋一郎さんの、落ち着きつつも心がワクワクするようなナレーションも好みです。


正直に言えば、番組開始当初から視聴していたこともあり、“三浦さんのいない「せかほし」”をきちんと受け止められる自信がありませんでした。だから、三浦さんに代わって「新MCに鈴木亮平さんが就任」との記事を読んだ時は、今までに感じたことのない気持ちになった。鈴木さんも大好きな俳優さんだし、番組の雰囲気にも合っているし、人選として素晴らしいと思う。ただ、「リアルタイムで観るのはまだキツイかもしれない」と思い、JUJUさん・鈴木さんコンビでのスタートとなる10/8、2回目となる10/15放送分は視聴せず、ひとまず録画しておくことに。けれど、三浦さんが亡くなってから今日(10/18)でちょうど3ヶ月。意を決し、追悼の想いも込めて本日、彼の出演作品をまとめて観ることにしました。


まずはドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」(私ではなく夫が録画していました)。普段なら、テーマや出演者層などから「観なくていいや」と判断するタイプのドラマなのですが、全4話だし、三浦さんの遺作となった作品なので観ることに。内容の感想云々より先に、「三浦さんってあんなにガリガリだったっけ?」と感じたのが第一印象です。特に、ジャケットを脱いでTシャツ姿になった時は驚きました。細い。細すぎる。設定的に高級料理を食べまくっているであろうお金持ちのボンボンには、とても見えません。続いて「これ、本当に彼がやらなくちゃいけない役柄なの?」という疑問。私だけかな?と思い夫に訊いたら「僕もそう思う。だから1話の途中で観るのやめた。あ、観たら消していいよ」と返ってきました。そうですか…。


私は一応全4話を観ましたが、最後の最後に強烈な違和感を覚えました。最終回終了後、「春馬くん ずっと大好きだよ キャスト・スタッフ一同」という馬鹿デカイ文字のテロップが表示されたのです。ものすごい違和感。全4話(しかも三浦さんの出演シーンは実質3話までに等しい)ということは、撮影期間は通常の連ドラの1/3程度と思われます。スタッフとの関係性だって、そこまで深くは築けていないと予想できる。にも関わらず、「春馬くん」や「大好きだよ」という呼びかけ…。彼に直接話しかけるならまだしも、公共の電波に乗せ、大人の男性(その上主演俳優。芸歴だって長い)に向かって「春馬くん」と呼び、タメ口でのメッセージを送る。ちょっと信じられず、思わず巻き戻して確認したほどです。私の目には、「ほら、親しげでしょ? 僕たちは現場で仲良くやってたんですよ」というアピールにしか映りませんでした。愛情など、微塵も感じられなかったなぁ…。


一方「せかほし」は、三浦さんが亡くなった数日後の放送で、視聴者及び彼へのメッセージとして「三浦春馬さんが7月18日にお亡くなりになりました。番組を応援してくださった多くの皆さんとともに、心より感謝と哀悼の意を表します。三浦さん、2年半ありがとうございます」と表示(かなりの秒数を使って)。「ありがとうございました」という過去形ではなく、「ありがとうございます」という現在進行形の言葉です。加えて、これまでの総集編を放送する際も、「追悼SP」等ではなく「感謝祭SP」というタイトルを付けていた。普通、「愛」というのは目に見えないことが多いけれど、「せかほし」の“三浦さんへの愛”は、はっきりと見えたように思います。それくらい、2番組の差が激しかった。どちらの番組も同時期に撮影しているはずなのに、三浦さんの顔色や表情が全く違うように見え、観ていて胸が苦しくなりました。


そして鈴木亮平さんに代わってからの「せかほし」。いえ、「代わって」というのは少し違うかな。番組全体の空気感はそのままだし、MC2人がごく自然に三浦さんの名前を出し、彼の話をサラッとしてくれるため、“三浦さんも一緒に”という感じがすごくします。初回の生放送で、鈴木さんは「大切な友人から受け取った大切なバトンなので、皆さんと一緒に思いきって楽しんでいきたい。春馬くんとおんなじものは、自分はもちろん出来ないんですけど、番組の良さだったり、彼が愛したこの『せかほし』を引き継いでいけるように楽しんでいきたいと思います」と緊張しながら挨拶。鈴木さんの大変誠実な挨拶を聞いた時点で、「次回からリアルタイムで観よう」と心に決めました。


JUJUさんも、自分のことを姉のように慕ってくれていた三浦さんが旅立ってしまいお辛いでしょうし、鈴木さんも並々ならぬプレッシャーを感じておられるかもしれません。でも、だんだん、時間を掛けてゆっくりと“お二人の番組”にしていけばよいと思います。三浦さんと神尾さんは、いわば“縁の下の力持ち”ってところでしょうか。いつもニコニコ、控えめだけど、裏でしっかり支えてくれている感じ。やっぱり「せかほし」は良質な番組だなぁと思います。これからも楽しみにしています。


最後に一つ。今回のことで、“口から発する言葉の力”と同じくらい、“文字の力”(人の手で書いた文字であれ、テロップやネットへの書き込み等であれ)も大きいことを再確認したような気がします。私は“言霊(ことだま)”って本当にあると思っていますが、「実は“文字霊(もじだま)”もあるんじゃないか?」と考えています。今日、2つのテロップを連続して見たことで、そのことをより強く感じました。もちろん、あくまで私見に過ぎませんし、異なる意見があるのも承知しています。いろいろな意見があって当然です。ただ、「実際に差を感じた」というのは紛れもない事実。よって「言葉や文字は、自分も含めて慎重に扱わなければいけない」と改めて思いました。これまでにも書いてきたことだけれど、言葉の力、文字の力は本当に偉大です。先人達がせっかく「言葉」や「文字」を編み出してくれたのだから、出来るだけ正しく&思いやりを持って使いたいものですね。