女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

才能の枯渇

皆さまは、今クールのドラマ、何本くらいご覧になっていますか? 私は「おじさまと猫」(水曜深夜:テレビ東京)、「その女、ジルバ」(土曜:フジ)、「天国と地獄 〜サイコな2人〜」(日曜:TBS)の3つを中心に観ています。


「おじさまと猫」は、もともと原作漫画の大ファン。おじさまを草刈正雄さんが演じられると聞いた時は、「ダンディーかつ哀愁もあって、原作に負けないくらいイケオジ♡   ナイスキャスティング!」と思いました。ふくまる(←愛猫の名前)役は本物の猫じゃないけれど、仮に本物で撮ると、出番が多い分、ネコちゃんにも相当負担&ストレスが掛かることでしょう。本物であろうとぬいぐるみであろうとカワイイものはカワイイし、物語にもすんなり入り込めるので、何の問題もありません。セリフや世界観も原作に忠実に作ってくれているし、多少手を加えている箇所も、すご〜く素敵に変えてくれています。漫画が原作の作品を実写化すると、「あぁ…」と溜め息がもれてしまうというか、残念な仕上がりになる割合が高いですが、そのあたり、テレ東は本当に上手いなと感じます。「孤独のグルメ」の井之頭五郎なんて、原作とは似ても似つかない容姿なのに、随分前から井之頭五郎松重豊さんとしか思えない域に来ちゃってますもんね(笑)。


それで言うと、昨年末にNHKで放送された「岸辺露伴は動かない」もすごかった。本当にものすごかった。「岸辺露伴が実在するとしたら、それは100%高橋一生さん。他の人では絶対にありえない」と言いたくなるほど、露伴そのものでした。俳優からも制作陣からも、“岸辺露伴への愛”しか感じないといいますか、ディテールへのこだわりや脚本、衣装、小道具等の素晴らしさに、心の底から感動しました。ジョジョシリーズの大・大・大ファンである我が夫も、「どこからどう見ても岸辺露伴だった、すごく良かった!」と珍しく興奮気味に語り、録画したものを今も度々見返しています。視聴後、私も夫から原作漫画&小説を借りて再度読みましたが、そのまま生かしている部分と、上手にアレンジしている部分のバランスが絶妙だなぁと感心しきり。全3回だったけれど、ぜひとも続編の制作をお願いしたいドラマです。


「その女、ジルバ」は、タイトルに惹かれて初回を観たら、すぐさまどハマり(ちなみに原作漫画は未読)。面白いし、考えさせられるし、感動するし、いろんな要素が詰まった、まさに「オトナの土ドラ」の名にふさわしい内容です。キャストも魅力的で、主人公を演じる池脇千鶴さんはもちろん、脇を固める面々が素晴らしく個性的で、人間味に溢れまくっている。酸いも甘いも噛み分けた先輩ホステス達(草笛光子さん、中田喜子さん、草村礼子さん、久本雅美さん)がとにかく明るくて、日々輝いているのです。過去には辛いこともたくさんあったでしょうに、明るく楽しくカッコよく“今を生きる姿”を見せてくれるから、自然と「あんなふうに歳を重ねたいな」と思える。職場の同僚(江口のりこさん、真飛聖さん)と主人公が、40歳にして、だんだん真の友情を育んでいく様子も微笑ましいです。


日本は“若さ”に価値を見出しがちなので、特に女性の40歳は生きづらい部分も多い国だと思います。私も来年不惑を迎えますが、友達の中には「もうすぐ40だよ。どうしよう…」的なことを、暗いトーンで語る人もチラホラいる。私の返答はいつも同じで、「どうもこうも、40年間無事に生きてこれただけでスゴイじゃん! でもやっと折り返したぐらいだから、まだまだ先は長いよ。ひと息ついてる場合?」と言います。「もう40」という思考の人には、ですけどね。私自身は「まだ40」くらいの考えで、「40歳、それがどうした?」と思っています。正直、実年齢なんてどうでもいいです(笑)。何歳であろうが、“いつでも好きな生き方をしている人”でありたい。


そして、一番楽しみにしているのが「天国と地獄」です。脚本=森下佳子さん、主演=綾瀬はるかさん、高橋一生さんという時点で期待に胸を膨らませていましたが、放送が始まったら予想以上に面白く、日曜の夜が待ち遠しくて、毎週ワクワクしっぱなし。男女が入れ替わるという、既に手垢のついた題材で、あそこまで面白いオリジナル脚本を書けるのは純粋にスゴイ。もちろん、脚本が素晴らしいだけではドラマは成功しません。主演2人の高い演技力があってこそ、初めて成立します。私は高橋一生さんも好きですが、綾瀬はるかさんも大好き。「ホタルノヒカリ」のようなほんわか系も似合うけれど、個人的には「奥様は、取り扱い注意」(キレッキレのアクションが見事だった)や「義母と娘のブルース」(不器用ながら、義理の娘を全身全霊で愛する姿に感涙)のような役どころのほうが好きです。綾瀬さんは、その天然っぷりや容姿の良さが話題になることも多いですが、一番の魅力は演技の上手さだと思います。だから今回、同じく演技力抜群の高橋さんとガッツリ組んでの連ドラ、めちゃくちゃ嬉しい! 永遠に終わらないでもらいたいくらいです(笑)。


余談ですが先日、「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼︎」(水曜:日本テレビ)を初めて試聴しました。あまりに悪評なのと、ドラマフリークの友人から「ヒドイ。キャストが気の毒」と毎週のようにLINEが届くので、逆に気になって観てしまった次第。感想は──


本当にヒドイ。


「このドラマ、好みじゃないな」と思うことはままあるけれど、観ていて寒気がしたドラマは初めてかもしれません。時代に合っていないというか、世の中をとらえられていないというか…。脚本は北川悦吏子さん。「愛していると言ってくれ」ファンの私としては、「あの作品を生み出した人が、今はこれを書いているのか〜」と悲しい気持ちになりましたが、あれから26年も経っているのだから、仕方ないといえば仕方ない。


大好きな作家やシンガーソングライターが、突如路線変更をすることがあります。急に社会派になったり、ラブソングを一切書かなくなったり。それは“その人自身が望んだ変化”だと思うので別にいいのですが、明らかにそうでない…つまり“才能の枯渇”による変化の場合は、本人もファンもだいぶ辛い。「もう書けないんだ」も「もう読めないんだ」も、両方辛い。スポーツ選手でも、“まだやれるうちに、輝いているうちに引退する”方と、“満足いくプレーが出来なくなっても、ボロボロになるまで現役を続ける”方とがいらっしゃいます。どちらを選ぶのも自由だけれど、私はどちらかと言えば前者派。長年応援していた選手が、思うように動けなくなっていく過程や姿を見るのは辛いです。もちろん、「最後まで応援して。ファンでいて」と言われればそうするけれど、心から試合を楽しむことは難しいかもしれません。


ファン心理って、結構複雑ですよね。書きながら「残酷なこと言ってるかも…」と思いますが、やはり何事においても潮時というのはあると考えています。“引き際の美学”というのでしょうか。私も還暦を迎える頃になったら、そういうことに思いを馳せるのかな。まぁ、再就職もしていないうちからそんなこと想像しても、全くもって意味ないですけどね〜(笑)。