女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

巻き添え御免

人は誰しも、“生まれる家”を自分では選べない──。

だから、同情の余地は多少あります。されど30年近く生きてきて、しかも特別な立場にありながら“見極める目”をまるで持っていない、或いは“不都合な真実”を見ようとしないのは、本人にも責任があると思う。星の数ほどいる男性の中で、よりによってなぜその人なのか?


お世話になった方との会話を無断で録音し、それを脅しに使うような人間。「感謝」「謝罪」という、ごく当たり前の概念が欠落している人間。あなたが「結婚したい」と強く望んでいるのは、そういう男です。もし、どうあっても家を出ずに結婚を強行するなら、この国に“明るい未来”など訪れるはずがありません。誰が見たって、もしや子供が見たって「あの人物は危険」と本能的に分かるのではないだろうか。“恋は盲目”とは言うけれど、ちょっと盲目過ぎます。それとも、『日本国家滅亡プロジェクト』的なものが水面下で進行しているとか? 皇族に“ああいう血”を混ぜていって、最終的には…想像しただけで恐ろしい。


何度か書いている通り、私は前職で16年間、雑誌記者をしておりました。連日インタビューやコメント録り、ライブ取材等があったため、ICレコーダーは必需品。365日、いつでもどこでも持ち歩いていました。使用頻度が高いので劣化も早く、16年の間に合計何台潰したか覚えていないほどです。その“取り扱いに相当慣れている”私でさえ、「咄嗟に録音」なんていう芸当は出来ません。レコーダー(またはそれに該当する録音機器)を、鞄ではなく例えばポケットに忍ばせていたとしても、“RECボタンを咄嗟に、且つ正確に押す”ことは難しいと思います。あくまで私見ですが、最初から…つまり会話が始まる前から、ずーっと録音状態のまま所持していたのではないか?と予想します。


数年前の話ですが、私は一度だけ、相手に黙って録音をしたことがあります。仕事ではなくプライベートで、対象者は、怪しい投資話を持ち掛けてきた男性。異業種交流会で知り合ったその人は、当時36歳の若さで自分の会社を経営し、いつも高価なブランド品を身につけ、博識で容姿も素敵、おまけに語学(4ヶ国語)が堪能でした。率直に「マンガみたい。現実世界にこんな人存在してるんだなぁ」と思いました。交流会では毎回分かりやすくモテていて、女性参加者たちはほぼ全員、彼に興味もしくは好意を持っていた。私もその時期彼氏がいなかったし、真剣に英語を勉強中だったこともあり、食事のお誘いに喜んで乗りました。


一度目の食事は、都心の高級イタリアン。所作から会話からお会計から全てがスマートで、いかにも“女慣れ”している印象です。彼女が何人もいそうな予感。でもすごく楽しかったし、丁寧に英語を教えてくれたし、「ラッキー♪」くらいに思っていた。けれど二度目の食事で、「この人、詐欺目的かもしれない」と感じました。終盤になって、突如投資話(どう考えても信用しづらい内容)を持ち掛けられたのです。「うわぁ…せっかくの頭脳と容姿、なんでこんな使い方するのかな〜。もったいない。もう彼と関わるのはやめよう」。


数日後、同じくその交流会で知り合った女性に、「この前◯◯さんとゴハン行ったんだけど、めちゃくちゃ怪しい投資すすめられちゃった。彼のスペックなら、真っ当な生き方で十分稼げるだろうに残念だよね〜」と笑い話のつもりで言ったら、彼女は笑うどころかみるみる青ざめていきました。


「え…? もしかして、◯◯さんにお金預けちゃったとか?」

「ううん、まだ。でも預ける約束はしちゃった…」

「言いたくなかったら言わなくていいけど、彼とその〜…」

「うん。この前、男女の仲になった。彼、『みんなにはまだ内緒ね』って…」


なるほど。「これ、彼女だけじゃないだろうな」と思いました。探りを入れた結果、他にも声を掛けられている女性、既に関係を持ってしまった女性が数名存在する模様。


証拠固めの手段として、私たちは“黙って録音する”ことを選択したのですが、まず事前にリハーサルを行いました。普段の取材では、①会議室やインタビュールーム等、遮るものがない状態で大変クリアに録音出来る(もちろん、レコーダーは安定したテーブルの上に堂々と置ける)、②お互い立ったままでのコメント録りや、周囲が騒がしい場所でのコメント録りの場合、「失礼します」と断れば、レコーダーを相手の口元付近まで持っていくことが可能。けれど無断で録音するとなれば、レコーダーは鞄もしくはポケットの中ということになる。計画実行の前に、「そういう状態できちんと音声が録れるのか?」を確認する必要がありました。


先の女性に協力を仰ぎ実験したところ、なかなか上手くいきませんでした。いざやってみると、衣服が擦れる“ガサガサ音”で肝心の話し声が聞き取りにくかったり、内蔵マイクの性能が良すぎるのか、周囲(店員さんや他のお客さん等)の声までしっかり拾ってしまい、会話の内容が分からなかったり。何よりも、“ちょうどいいタイミングでRECボタンを押す”というのが非常に難しかった。そこで私は、三度目の食事の際、彼との待ち合わせ場所に着く前からレコーダーをREC状態にし、解散して電車に乗った後で停止ボタンを押しました。以上が、「咄嗟に録音なんて出来ない」と思った具体的根拠です。


さて。人間というのは、強くもあり弱くもある、そして美しくもあり醜くもある生き物ですね。もしも私が◯◯さんだったら、あれだけの頭脳と容姿を、もっともっと有効に使って生きていくことに力を尽くすと思います。せっかく色々と恵まれているのに…。現在どんな暮らしをしているのか知りませんが、彼は本当の意味で“頭がいい”わけではなかったのかもしれません。


才能、美貌、言葉、薬、権力、お金、その他諸々。活かし方や使い方を間違えると、身を滅ぼしてしまうものは世の中にたくさんあります。本来は、便利だったり有り難かったりするはずなのに、“使う側”がしっかりしていないせいで、いとも簡単に足をすくわれる。驚くほど脆いです、本当に。


最後にあらためて。これは、単なる一家族の問題ではありません。国家の問題です。判断を誤った場合、崩れ去るのはあなたの家だけではなく“この国ごと”なのです。だから、よくよく考えた上で発言・行動することを切望します。私は、あなた方と心中するなど絶対に御免です。国全体が巻き添えを食うなんて、馬鹿馬鹿しいにも程がある。


今ならまだ、引き返せます。間違えたのなら、きちんと正せばいい。それだけのことだと思います。

 

negibrocco.hateblo.jp