女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

セクシュアリティ

過日、女風を利用した際のこと。セラピストさんと駅で待ち合わせをし、世間話をしながらホテルへ向かいますれば、私たちの数メートル前を歩いていた2人が、一足先にホテル内へ。後ろ姿しか見ていないものの、体型と筋肉の付き方からして20代のメンズ2人と予想できます。彼らはセンスの良い双子コーデだったし、寄り添いつつキャッキャと楽しそうに話していたので、私の目には“仲良しお洒落カップル”に映りました。何の気なしに「あのカップルに先越されちゃったね」と口にしたら、「あれってカップルなの?」と返ってきてびっくり。


「え⁉︎ 逆にカップルじゃないなら何なの?」

「俺は『後から女性が来て、3人で楽しむんだろうな』と思ったんだけど」

「なるほど! (女風の)ダブルセラピストってことか」

「いや違う。デリヘル嬢呼んでってことだよ」

「あぁ、そっか。数としては、きっとそっちのほうが断然多いよね」

「うん。普通はそっちを思い浮かべると思うよ」

「えっと…ゴメン、あなたの言う普通って何?」

「いやまぁ普通っていうか、『一般的には』って意味かな」


入室後、もう少し突っ込んだ話をして分かったのですが、そのセラピストさんは、全てにおいて割と保守的な考え方の持ち主でした。20代後半とまだ若いのに、諸々あまり柔軟ではなくて興味深かったです。「男同士がセックスするなんて気持ち悪い」「◯◯さん(←私の名前)は、そういうの全然平気な人なんだね。進んでるね」と言われ、エロい気持ちより「どうして気持ち悪いと思うのか、その点を詳しく知りたい」という好奇心が勝ってしまい、結局施術はそっちのけ(笑)。最終的には哲学の話にまで飛躍してしまいまして(汗)、ほとんどエロスなしで帰宅したのでありました。


私の周りには、夫を除いて“同性愛に嫌悪感を示す人”があまりいません。私自身も特段何も思わないし、LGBTQの友人が多いことも関係してか、そもそもなぜ気持ち悪いのかが理解できない。従って、あからさまに「嫌だ」と態度に出す人と久しぶりに接したのですが、正直「結構キツイな」と感じました。マスクをしていても、眉間に寄ったイヤ~な感じのシワはくっきり&はっきり見て取れます。プラス、声色や言葉尻などから“負”の感情がビンビン伝わってくる。“敵意”とまでは行かないものの、それに似た何かを感じるレベルでした。もしも私が同性愛者だとしたら、全員が全員ではないにせよ、こういう視線や感情を直接ぶつけられることもあるんだろうなぁ。自分のことじゃなくてもキツイんだから、当事者だったらかなり堪えるだろうなぁ。


その出来事の数日前に、ネット上でたまたま詩人・長谷忠さん(92歳)の記事を読んでいました。「自分はゲイだけれど差別が怖くて周囲に言えず、人と関わらずに独りで生きてきた。ずっとずっと孤独だった」そうで、彼が「ゲイだ」とカミングアウトしたのは89歳の時。小学生の頃には同性愛者だと自覚していたとのことですから、人生の大半、苦しい思いをされてきたのでしょう。現在は楽しく過ごされていて、「好きな人もできた」とあるため「本当に良かったなぁ」とこちらまで嬉しくなったけれど、ただ“異性愛者でない”というだけで、約80年も孤独感を味わわなくてはいけないなんて…。切ないというか、何ともやり切れない気持ちになりました。


セラピストさんの言動、そして長谷さんの記事によって、「セクシュアリティに関することは、私が思うよりも根深くて、ずっと複雑なのかもしれない」と感じました。今後は、もっと慎重に考えたほうがいいのかなぁと思い直したりしております。