女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

男のプライド

突然ですが、皆さまは「配偶者の正確な年収」ってご存知でしょうか? 私はつい先日、思いがけず知ることとなりました。

 

私たち夫婦が出会ったのは、2018年10月。共通の知人の紹介でした。お互いの出身地や家族構成、仕事内容、おおよその年収、趣味、借金やギャンブル癖及び持病の有無等、“結婚前に知っておきたい情報”は、その知人を介してあらかじめ交換。結婚を決めてからも、双方「家計も家事も折半で」と考えていたため、お金関連で揉めたことはほとんどありません。ただ、夫婦となって以降、年1回すっごくモヤモヤすることが…。それは、夫の勤務先に“妻の源泉徴収票のコピー”を提出しなければならない点です。

 

そのコピーは、私→夫→夫の会社の労務部もしくは総務部へと渡るわけで、つまり、私は夫の年収を知らないけれど、夫は私の年収を1円単位まで把握している…ということになります。「夫婦になっても、大体の年収を知っていればそれでいい」とお互い思っていたのに、予定が大きく狂ってしまった。片方だけが詳細な情報を得るのは、何やらとーっても不公平な感じがします。その旨を夫に伝えると、彼は「僕も知りたくて知ってるんじゃなくて、会社から言われて仕方なくやってるんだ。確かに不公平だと思うけど、社会のシステムに従わざるを得ないし、自ら給料を知らせるのは抵抗がある」と答えました。私は無性に腹が立ち、不満と本音をぶちまけます。

「我慢するのは、いっつも私のほうだよね。苗字だって、本当は変えたくなかったのに私が折れて、あなたの姓に変えたでしょ?(※私は夫婦別姓希望者です)  今度は年収も私だけが教えなきゃいけないなんて、やっぱりおかしいと思う。毎回私が我慢して、あなたは何の犠牲も払ってないじゃん。それでも『社会の仕組みがそうなってるんだからしょうがない、僕は教えたくない』って言うの? 結婚前にあなたが言ってた『何事も平等に』は、一体どこ行っちゃったわけ?」

 

夫は謝ったり、私をなだめたりしていましたが、最後まで「自分も年収を開示する」とは言いませんでした。結局、私が根負けするような形で「もういい!」と言い放ち有耶無耶になってしまったけれど、過日、“教えたくない(であろう)理由”が偶然判明。

 

ゴミ当番だったその日、夫は所用で不在でした。家中の可燃ゴミを一つにまとめる際、夫の部屋に(もちろん許可を得て)入ったのですが、そのとき昨年度の源泉徴収票を見つけてしまったのです。私は「ラッキー♪」とばかりに、一切躊躇うことなくガン見致しました(笑)。さすれば──

 

何ということでありましょうか。印字されていたのは、2018年に聞いていた“おおよその年収”とは程遠い金額だったのです。2020年に「配属先が変わって、給料もダウンする予定」という話は聞いていたものの、それにしたって予想外の数字。私も昨年、人生初の転職をして、稼ぎはガクンと減りました。その金額をも、夫の年収は下回っていたんですよね…。「なるほど」と、思いきり合点がいった次第。だから、あれほどまでに開示を拒んでいたのかぁ…。

 

私は私で、“ガッカリしている自分”に気付いてちょっと驚きました。それが「私より稼いでいてほしかった」という感情なのか、「もしかしたら、彼は最初の時点で嘘をついていたのかもしれない」という疑いの気持ちなのかは分かりませんが、とにかくガッカリ。そしてすぐに、「ライフプランを練り直すべきでは?」と思いました。

 

今住んでいる賃貸マンションは、“私と同じくらい、或いはそれ以上に稼いでいる配偶者”を想定し、結婚前に探した物件です。でも、夫の現在の収入を考慮すれば、もう少し家賃を抑えるのが妥当と言えるでしょう。まだ若干動揺しておりますゆえ(汗)、頭の中を整理しきれていないけれど、同時に「数年後じゃなく、“今”事実を知れて良かったな」とも感じています。我が家は夫45歳・妻40歳の夫婦なので、ライフプランを修正するなら少しでも早いほうがいい。いわゆる“男のプライド”的なものを持つこと自体は否定しませんが、お金の面で必要以上に見栄を張っても、そんなに良いことはない気がしています。(年金以外の)収入が途絶えると思われる“定年後の暮らし”だって、45歳という年齢を考えた場合「果てしなく遠い未来の話」でもないですからねぇ。

 

夫の勤務先は、そこそこ名の知れた大手企業だけれど、だからといって、社員全員が高いお給料をもらっているわけではないんですよね。外資系で年俸制ゆえ“賞与”という概念も無いし、夫の性格上、計画的な貯蓄が出来ているとも思えない。う~む、これは想像以上に由々しき事態なのかもしれません。さてさて、一体どうしたものか…。