女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

綺麗事

7月8日、奈良県安倍晋三元首相が銃撃され、残念なことに命を落とされました。心よりご冥福をお祈り致します。

 

逮捕された山上徹也容疑者(41)の犯行は、断じて許されることではありません。ただ、我が国で政治家が襲撃されたり暗殺されたりする事件は、「これが初めて」というわけでもない。

真っ先に思い浮かぶのは、やはり犬養毅氏と高橋是清氏です。少し調べたところ、これまで首相を務めたのは合計64人で、そのうち7人が現職或いは退任後に暗殺されているそう。首相以外にも、刃物で刺されたり殴打されたりした政治家を含めると、被害は相当数にのぼることでしょう。政治家というのは、文字通り“命懸けの仕事”だということを再認識した次第です。

 

そして今、大変恐怖を覚えています。理由は、事件を詳細に伝える生々しい映像や画像が、大した加工も配慮もなされないまま世界中に配信・拡散されてしまっているからです。

私は専門家でも何でもないけれど、一連の報道を見る限り、安倍さんの後方がガラ空きで狙い放題だったり、1発目の銃声(発砲音)がしても誰一人反応できていない警護陣の様子だったりはよく分かりました。仮に私が敵国の人間だとしたら、「日本での要人暗殺は拍子抜けするほど簡単。明日にでも実行可能」と感じるだろうと思います。

 

我が国では、まず“駅前で銃声がする”“街中で人が撃たれる”なんてことを想定して暮らしていませんからね、警察官もわれわれ一般市民も。大体、本物の銃声を聞いたことのある人のほうが少ないのだから、花火か爆竹、はたまた何らかのパフォーマンスの音だと勘違いしてしまっても無理はないと思う。

昔、外国人の友達と公園を歩いていた時、突如彼が私の頭を掴み、「伏せろ!」と地面に膝をつかせたことがありました。何かと思えば、大道芸人さんが持っていた風船が幾つか割れ、その「パパンパーン」という音が銃声に聞こえたのだそうです。彼の国では銃の所持が許可されているため、第一に発砲を疑ったんだとか。その後「ごめんごめん、ここは日本だったね」と笑顔で立ち上がらせてくれたけれど、「治安が悪い国では、咄嗟に伏せるものなんだなぁ」と肌で感じた出来事でした。

 

さて。私は過去に、異国でガンシューティングをした経験が2度あります(実弾です)。初めて海外へ行った2010年、「日本以外の国では何が起こるか本当に分からないな…。意図せず犯罪に巻き込まれる可能性だって大いにある。最悪のケースを考えて、“銃の基本の扱い方”ぐらいは知っておいたほうがいいかもしれない」と思いました。それで初海外旅行の翌年に1人で、3年後には妹と2人で、ガンシューティングを体験したのです。

 

射撃場は屋外。2箇所ともインストラクターさんがマンツーマンで教えてくれるシステムで、彼らの指導後、10~20メートル先に設置された人型のターゲット(的)を狙って実弾を放ちます。弾は全部で30発、銃は22口径のハンドガンでした(*2度目の時は、38口径リボルバー、及びショットガンも撃ちました)。

 

射撃場へ足を踏み入れると、耳をつんざくような轟音にも驚いたけれど(※シューティング中はイヤーマフを装着)、何より面食らったのは、トリガー(引き金)を引いた時の反動です。

指導中、屈強なインストラクターさんより「君みたいなお嬢さんでは反動に耐えられない。最初は後ろからしっかり(体を)支えといてあげるよ!笑」的な、本気ともジョークともつかない発言があったのですが、実際、1発目は彼のフォローなしでは体ごと吹っ飛ばされていたんじゃないかと思います。「私の骨、砕け散ってないですかね…⁉︎」と心配になるほどの衝撃と振動が、手首や骨等をビリビリと走りました。何発か撃つと慣れてきて、1人でも大丈夫になったものの、30発撃ち終わる頃には指も腕も骨もめちゃくちゃ痛い。「弾のおかわりも出来るよ。どうする?」と訊かれましたが、とてもじゃないけどもう撃てない。利き手はもちろん、利き手を支えていただけの左手さえもプルプルしています。

 

けれど3年後、妹と一緒に別の国で撃った時は、体が覚えていたのかそこまでの痛みはありませんでした。妹は初体験&怖がりなので、1発放つごとにどんどん腰が引けていってしまい、何と途中でギブアップ。インストラクターさんも、「彼女、危なっかしいからもう止めたほうがいい」と賛同。「残りは君が撃ちなよ。姉妹だから特別オッケー」と、妹が残した弾を横流し(笑)してくれます。無心で延々撃ち続けていたら、「君、もうちょいイケそうだね。ショットガンも試してみない?」と銃の追加を提案されました。なかなかに商売上手です。

 

ショットガンはサイズもかなり立派ゆえ、体に触れる面積自体が広く、ハンドガンの比ではない衝撃が上半身全体を駆け抜けました。ストック(銃床)を肩の付け根で固定しながら撃つせいか、知らぬ間に大きな&くっきりした青痣が出来ていてびっくり。その夜、ホテルの大浴場で妹が気付き、「お姉ちゃん! 右肩めっちゃ青いぃぃぃぃ(泣)‼︎」と慌てふためいていたっけ。痣はジンジン痛み続け、しばらく右肩に鞄、かけられなかったな…。それでも、自分の手で撃ってみないと反動の強さや薬莢の匂い・熱さ等は分からないし、そもそも“拳銃に触る”“銃声を聞く”という機会がないから、大変有意義な経験でした。

 

この経験が“活きないこと”を願っているけれど、海外を旅するならば、諸々のリスクとは常に隣り合わせ。日本だって、今後「100%銃社会にならない」とは言い切れないと思います。


今回の事件、安倍さんは本当にお気の毒でしたが、他に犠牲者が出なかったのは不幸中の幸いだと感じました。いくら元自衛官といえど、海自に籍があったのはだいぶ前(2002〜2005年)みたいだし、しかも“手製の銃で狙撃して命中させる”なんて、普通に考えて容易とは思えない。「犯人宅から押収された」というその他の自作銃も、暴発等がなくて良かったです。

個人的には、「自力で銃を作れる頭脳があるなら、他に出来ることがあったのでは?」と考えずにはいられません。それとも、そんなものは大いなる綺麗事、絵空事なのかな…。

自分らしく生きていくって、平穏無事に人生を全うするって、思ったより難しいことなのかもしれませんね…。