いつぞやのプレイ後、お気に入りセラピストさんと雑談していた時のことです。彼が「女風の仕事を始めてから、結婚するのがどんどん怖くなってきてる」と呟きました(*ちなみに彼はセラピスト歴約1年、『時々合体あり』のBタイプです)。
「へぇ、何で?」
「俺のお客さんって、半分くらいは彼氏とか旦那さんがいる人なんだよね。セックスレスの人も多いけど、普通に(パートナーと)セックスしてる人も結構いる。なのにみんな、ガンガン俺を呼ぶじゃん? しかも『バレないように気を付けてるから大丈夫。っていうか、旦那は疑ってもないと思う。自分の妻が風俗利用してるとは、微塵も思ってないはず』とか平気で言うわけ」
「まぁそうだろうね(笑)。私も墓場まで持ってくつもりだよ。当然、バレない自信もある」
「やっぱそうかぁ。俺さ、もし将来自分の奥さんに同じことされたら、多分耐えられないと思うんだよね。他の男と散々エロいことした後で、(夫である)俺と一緒に飯食ったりするわけでしょ? いや想像しただけで怖いわ~。無理だわ~」
彼の言い分はよく分かります。通常&経験上、嘘をつくのも嘘を見破るのも、男性より女性のほうが断然上手いと思う。でも私は、騙すより騙されるほうが幸せだろうなと考えています。「知らないほうがいい事実」「知らなくてもいい情報」を、自ら取りに行く必要が、一体どこにあるというのでしょうか(笑)?
私を含め、彼のお客さんたちは皆、根底に「夫への想い」があって嘘をついています。相手を傷付けたくないとか、“気付かれないようにするのが最低限のマナー”とか。私見ですが、墓場まで持っていけば嘘が嘘ではなくなるし、少なくとも私は「一生隠し通す覚悟」を持って女風を利用しているつもりです。
「じゃあさ、仮に結婚した後、奥さんが女風ユーザーになったとして、“夫にバレるような利用の仕方”をしてほしいってことなの?」
「えっ⁉︎」
「だってそうでしょ。セラピストさんとめーっちゃエロいことした後、涼しい顔で一緒にご飯食べるのが無理ってことは、“バレるような顔”でいてほしいってことじゃん。『私、さっきまで別の男性とエロいことしてました』っていう顔」
「うげぇ、何かエグいなそれ…(泣)」
「だよね〜。でもさ、結果そういうことになるんだよ。世の女性たちは…私も元カレの嘘とかにすぐ気付いちゃったけど(笑)、バレるような顔されたほうがキツイって経験、一度はあると思う。『知りたくなかった』『完璧に隠してほしかった』って」
「そっかぁ、なるほどね。考えたことなかったけど、確かに『どっちが幸せか?』って訊かれたら、涼しい顔してくれてたほうがいいかもしれない」
「でしょ? それに、女性がつく“ボロの出ない嘘”を、男性が見抜くのはかなり難しいと思うから、単に気付いてないだけで、今までもいっぱいつかれてるんじゃないかなぁ(笑)」
「えーっ‼︎ だったらショックだけど、『知らないほうが幸せ』ってこともあるのは、今の説明でちょっと分かった気がする」
人間は誰しも、いくつもの顔や面を持っていると思います。学校や会社で見せる顔、公共の場で見せる顔、家庭内で見せる顔、全幅の信頼を寄せる人の前でだけ見せる顔…等々。たとえ周りの目からは違う姿に映っていても、本人にとっては各々全てが「本当の姿」であり「仮の姿」でもあるのだと思います。私たちは俳優じゃないけれど、少なからず日々“その人”を演じながら生きていると感じます。素の自分でいられる時間は、一日の中でそんなに多くないと思う。
私で言えば、音楽を聴いている時、ライブに参戦している時、本・漫画・映画の世界に没頭している時、日記やブログを書いている時、そしてセラピストさんに会っている時──自分らしくいられるのは、例えばそういう時です。
夫と過ごす時間も楽しいし落ち着きますが、彼といても「自分を解放している感覚」になったことは一度もありません。それは多分、お互いに気遣い合い、“見せている面”や“見せている顔”が、全体の6割くらいだからじゃなかろうかと予想しています。双方、「性の部分」はほとんど見せていないし、今後見せる予定もない。
一般的な“夫婦の定義”からは大きく外れるでしょうが、私は結婚して良かったと思っているし、「心穏やかに暮らしたい」という希望が叶って概ね満足しています。家庭内での“エロいこと”は本っ当に何一つ起こらないけれど(笑)、それはセラピストさん達と存分にすれば済む話。私はそう割り切れているので、性の悩みはほぼ無くなりました。結婚当初、夫と体の関係がない…すなわち「性欲を解消できない」という現実が、ストレス要因としてかなりの割合を占めていたことを考えると、今は女風のおかけでフィジカル・メンタル両面が安定しておりありがたい限りです♪
書いているうちにだいぶ話が広がってしまい、大変失礼致しました(汗)。ではでは、夕食の買い出しに行ってまいります!