女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

《小噺 二十九. お姫様抱っこ》

誰かに“お姫様抱っこ”をしてもらった経験、ごさいますか? 私は筋肉フェチゆえ、過去にマッチョな彼氏が数人いたんですけれども、彼らは全員が全員、頼まずとも自らやってくれました。イイ雰囲気になると、お姫様抱っこでベッドまで優し〜く連れていってくれたっけ。嗚呼、懐かしや。

 

さてさて。これまでお世話になった女風セラピストさんの中にも、お姫様抱っこをしてくれた方が1人だけいます。彼は日常的に「本気の筋トレ」をしており、ビルダー的な、いわゆる“ムキムキボディー”の持ち主。プロフィールにも「鍛えてますので体重制限ございません。ご希望とあらば、何キロのお客様でもお姫様抱っこ致します!」とありました。だから、プロフを読んだ時点で「おぉ、頼もしい♡ 私もやってもらおうかな〜」とワクワク。

 

そして迎えた予約日。カウンセリングでは別の話題で盛り上がってしまい、抱っこの話は全く出来ず…(笑)。「まぁ『どうしても』ってわけじゃないし、今回はいっか」と思いバスルームへ向かおうとすると、「シャワーを浴びたら、ソファーで待っていてもらえますか?」との指示が。私はソファーじゃなくベッドで待っていることが多いので若干戸惑いましたが、シャワー後に納得。テーブルの四角にキャンドル、中央に5種類のオイルを並べて待機してくれていたのです。

「どれがいいか、こちらに座ってゆっくり選んでくださいね。どのオイルも、めちゃくちゃいい香りですから♪」

 

シャワーを終えた彼は、真っ直ぐソファーに向かってきて「お待たせしました」と片膝をつきます。私の手を取り甲にキス&ソファーから立たせると、流れるようにそのままお姫様抱っこ。前触れがなかったため驚いて、思わず「きゃっ!」という声が出てしまいました。

「あ、もしかして嫌でした?」

「ううん、全然。してもらえると思わなかったから、ちょっとびっくりしちゃって」

「すいません、急で(笑)」

「いえいえ(笑)」

「じゃあこのままベッド行きますね」

「はい、お願いします♡」

 

プレイ後。今度は2人で一緒にシャワーを浴びたのですが、その際も、ベッド→バスルームへとお姫様抱っこで移動。この日、計2回の抱っこをしてもらって私が気付いたことは──

「彼氏にやってもらうのと違う」

 

いえね、もちろん嬉しいは嬉しいんですよ。でも、“彼氏=好きな人”にしてもらうお姫様抱っこは、胸が高鳴ったり幸福感に包まれたりするのに、セラピストさんにしてもらうそれは、何と言いましょうか…「単なる移動手段」という感じがしたんですよね。もっと言えば、「ソファーからベッドまで運搬されている」「ベッドからバスルームまで運搬されている」という感覚に近かった。

 

何だか不思議だなぁ、と思いました。セックスは、“別段恋しているわけじゃない人=セラピストさん”が相手でもすんごく気持ちいいし幸せや満足感を得られるのに、お姫様抱っこは“好きな人”にしてもらわないと「移動手段」としか感じられず、気分も高揚しない…。これって、私サイドの気持ちの問題なのかしら? う~ん、分からない。

 

とりあえず、セラピストさんにお姫様抱っこをしてもらうのは、当分の間遠慮することに致しまーす(笑)。