女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

朗読劇

昨年ラストの記事で綴った通り、2022年は「朗読劇」に初参戦致しました。

 

私の趣味の一つに、音楽・映画・ライブ・舞台鑑賞があります。その中で、舞台といえば、いわゆる正統派の作品ばかりを観てきたのですが、2021年に初めて「2.5次元舞台」を鑑賞。いろいろと先入観があったものの、いざ劇場に足を運び生で観てみると、正統派とはまた違う魅力や面白さがあって、心から楽しめたしワクワクしました。その時、「2.5次元だから」という理由で…つまり単なる“食わず嫌い”によって鑑賞候補から外してきたことを激しく後悔。何事も、「己の五感」で確かめる前に判断してはいけませんね。

 

それとは少し異なるけれど、声優さん達による「朗読劇」も、長年鑑賞を避けてきたジャンルの一つです。私は大の声フェチだし、“生の芝居”を観るのも大好きなので、朗読劇には随分前から興味があった。俳優さんによる朗読劇は何度か観たことがあるのですが、声優さんとは根本的に異なるんですよね…。なぜかと言うと、私が「出来れば声優さんのビジュアルを認識したくない」と望んでいるからです(*理由は過去記事「うっかりトラップ」をご参照ください)。

 

昨今は顔出しでの露出が爆発的に増えましたし、アイドル的な活動をされる(或いはせざるを得ない)方々も大勢おられますから、もはや「声優=裏方」とは言えないのかもしれません。私のように、「なるべく裏方であってほしい」と願うファンにとっては、なかなか悩ましい状況です。実際、ビジュアルを目にしないよう努力し続けても、ここ数年で何十人もの“推し声優”の姿形を意図せず知ってしまった。ある日、「だったら一旦抗うのをやめて、朗読劇に参戦してみようか?」と思い立ちました。

 

なれど、参戦するにしても、場内モニターが設置されているような大きい会場は避けたい(お顔が大写しになったりしますゆえ)。モニターなし、且つ肉眼ではお顔が判別できないくらいの、でも声や息遣いはしっかり届くサイズ感のホール(500~800人収容くらいが理想)で行われる作品を探し、チケットを購入。ドキドキしながら、開演15分前に会場へと到着しました。

 

私は最後列に近い席。着席して周囲を見渡しますれば、7対3くらいで女性客が多いように感じました。舞台の内容としては、「大人気小説を4人の声優が朗読する」というもの。会場内は恐らく、作品のファン、執筆した作家のファン、そして声優さん達のファン等々が混在(オペラグラスを持参しているお客さんも多数)。

 

開演時刻になると、声優さんたちが登壇します。静かなる拍手で迎えられた4人は、揃って一礼。所定の位置につくと、一呼吸置いて台本を開き、第一声が放たれました。その瞬間、「うわぁ、生きてる!」と思いました。声優さんが、ではなく、登場人物が、です。

私は小説を読まずに参戦したのですが、彼らの声を聴いていると、自分の頭の中で、「彼は・彼女はこんな感じの人じゃないかな?」という想像&妄想が膨らみまくります。最初は朧げだった主人公の輪郭が、時間(ちなみに公演は2時間弱)を追うごとにどんどんはっきりしてくる。主人公の声色や表情はもちろん、髪型、姿勢、服装、過ごしている部屋までも──。俳優さんによる朗読劇は、俳優自身の表情や身振り手振り等も「芝居」に加味されていた気がするけれど、声優さんのそれは全く違いました。“声そのもの”に命が宿っているから、時折目を閉じながら聴いても十分すぎるほどに伝わってきた。

 

これまで鑑賞してきた、数々の煌びやかな舞台に比べたら、セットは簡素だし照明もピンスポのみだし、音もたま〜にSEが流れるくらいで、BGMも主題歌もない。衣装だって、率直に言えばかなり地味。でも、だからこそ「己の五感」で補えるというか、自由に想像することが叶います。声フェチ&妄想好きの私(笑)としては、とんでもなく楽しいわけです、グフ♡ 多分、観客一人ひとりが、“それぞれに思う主人公”を頭の中で動かしているんじゃないかなぁと感じました。

ライブやミュージカルもそうですが、舞台というのは「観客が参加してこそ完成する」ようなところがあると思います。役者をやっている友人も、「配信もいいけど、俺は目の前にお客さんがいてくれる舞台が一番好き。(歌や芝居が)良くても悪くてもすぐ反応してくれるし、“直接エネルギーを交換し合ってる”ことを実感できて最高!」と言っていたけれど、その気持ちはすっごく分かります。生の舞台で味わえる感動や興奮、そして“同じ時間、同じ空間にいられる喜び”って、観客側にとっても最高&めちゃくちゃ刺激的ですからね~♪

そんなわけで、今後も条件が合えば“声優による朗読劇”に参戦しようと思っています。

 

ただ、予想外にキツかったことがあります。上記の朗読劇には1ヶ所、ゴリッゴリに泣かせるシーンが用意してありました。私もまんまと号泣してしまったのですが、何せ客席で物音を立てている人が誰もいない…。

声優さんの台詞や息遣いを聞き逃すまいとしてなのか、はたまたこのご時世だからなのか、観客の誰一人、鼻をかまないしすすりもしません。明らかに泣いているのに、「決して音を出すまい」と必死に堪えている様子が空気感でビシビシ伝わってきます。映画でもミュージカルでも、“全くの無音”ということは滅多にないため、日頃はBGM等にまぎれ、感涙シーンで鼻をかんでいる私…。「どうしよう。涙も鼻水もめっちゃ出てるんですけどー!」と思いつつも、「マスクで隠れてるし、終演後まで我慢するか〜」と放置し続けたのでありました。

あれは意外にキツかったですねぇ。終わる頃には顔中カッピカピでございました、お恥ずかしい(笑)。