女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

映像が持つ力

夜ごはんを食べながら、何とはなしにテレビ(TBS)を観ていた時のこと。本編→CMへ移行すると、もうじき始まる新ドラマの宣伝映像が流れてきました。私はそのわずか15秒の映像に動揺し、箸を持つ手…いえ、手のみならず全身が硬直してしまった。


走行中の電車が急停車し、バランスを崩した乗客たちは立っていられず次々膝をつく──そのシーンは冒頭の数秒間だけだったのに、12年前の3月11日が鮮明にフラッシュバックし、あの日の恐怖と記憶が一瞬で蘇った。東京にいた私(*震災発生時刻、私は地下鉄に乗っていました。詳細を知りたい方は3/24アップの記事「喉元過ぎても熱さを忘れず」を参照願います)でさえそうなのだから、被災地でいろいろなものを目にし、そして体験した方々が、地震津波の映像を見る度に心をえぐられたり、PTSDを発症したりするのは当然なのかもしれません。


震災後、テレビ番組で大災害のことを扱う場合、「このあと津波の映像が流れます」「ショッキングな映像が流れますのでご注意ください」等予めテロップで知らせてくれるようになりました。ありがたいとは思いつつも、これまではどこか他人事というか、当事者意識に欠けていたような気がします。

でも、フィクションとはいえ実体験に似た映像を予期せず見てしまい、「怖い」「嫌だ」「見たくない」という感情がぶわっと溢れてきた。災害に限らず、事件や事故、いじめ、虐待、性犯罪等も同じだろうなと予想します。やはり、“目から入る情報量&インパクト”というのは物凄いですからね…。時間を要さずトラウマを呼び起こすというか、“過去のその地点”まで一気に引き戻してしまう力がある。

 

もちろん、事実をありのままに伝えることは必要だし、報道機関に課せられた役割の一つだろうと思います。原爆や阪神大震災だって、写真及び映像に残してくれた人、記録してくれた人がいるから、どれほどの惨状だったかを詳しく知ることができ、そこから多くを学ぶことができます。

ただ、3.11については「振り返るのは今じゃなくてもっと先のことだ」と個人的には感じています。たった12年では傷が癒えていない人のほうが多いだろうし、まだまだ生々しく思い出してしんどくなる。実際私も、以降TBSを視聴していません。新ドラマの宣伝というのはいつ流れるか分からないので、見たくなくても見てしまう可能性が結構あります。であれば、“その局には当面チャンネルを合わせない”という選択をするのが一番安全です。それくらい、あの映像を偶然見てしまうことを心も体も拒否している…。

なお、ドラマは「ペンディングトレイン」というタイトルだったと思います。もし視聴予定の方がいましたら、その点ご留意くださいませ。