女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

あなたが◯◯してくれなくても

4月スタートのドラマ「あなたがしてくれなくても」(木曜22時~/フジテレビ)を、第5回目の放送にして初視聴致しました。

同名の原作漫画(ハルノ晴著)が人気を集めていること、そしてセックスレスを題材にしていることも何となく知っていたのですが、今までは「読もう」「観よう」という気にならなかった。なぜなら、作品タイトルを「あなたがセックスしてくれなくても」へと勝手に脳内変換していたからです。

 

原作漫画「あなたがしてくれなくても」第1巻の表紙です。中央に描かれている女性が主人公・吉野みち。ドラマでは奈緒さんが演じておられます

 

何を隠そう、私は「セックスは互いに求め合うもの、相手と一緒に楽しむもの」だと考えています。だから、セックスを“してもらうもの”だと思っていそうな主人公には共感しづらいというか、「ちょっと苦手かも…」と自然に拒否反応が出てしまっていたんですよね。でも、先日の放送を偶然目にした際「想像してたのと違うな」と感じて最後まで視聴。内容を知らないうちから憶測で判断していたことを反省し、過去の放送分も追ってみました。

 

まずは主要な登場人物のご紹介をば。

◎吉野みち(奈緒さん)/32歳。結婚歴5年、レス歴2年で子なし。「昔のように夫と体を重ねたい」と願うも、夫・陽一にその気はあまりない。フタバ建設勤務。

◎吉野陽一(永山瑛太さん)/37歳。カフェの雇われ店長。妻・みちのことは“家族”として大切に思っているが、近年は“女性”として欲情することが難しい様子。

◎新名誠(岩田剛典さん)/36歳。フタバ建設勤務で、みちの上司。仕事も家事も完璧にこなして妻・楓に尽くすものの、夜の営みは拒否され続けている。子なし。

◎新名楓(田中みな実さん)/36歳。有名ファッション誌の副編集長。自身のキャリアを第一に考えており、プライベートは後回し。夫・誠への対応はかなり塩。

 

ドラマは、上記2組の夫婦を軸に展開していきます。あらすじは以下のような感じ。

ふとしたきっかけで、みちと誠はお互いの家庭がセックスレスであることを知り、その苦しみや悲しみ、やるせなさ等を共有。やがて2人は必然的に惹かれ合い…というストーリーです(*ちなみに原作は未完。現在10巻まで発売中)。

 

さて。4人の中で、私が一番同情したのは吉野みち。「32歳でレス2年はキツイだろうなぁ。しかも夫への愛情は昔と変わらないのに、他ならぬ陽一から『そんなにしたいの? みち、性欲強くない?』なんていう配慮の欠片もない言葉をぶつけられたら相当傷付く」と感じました。

 

 

私自身は現夫と交わったことが一度もないけれど、“大好きな相手”とセックスレスに陥った経験というのも同じくありません。

結婚したのが37歳と遅めだったこともあって、独身時代は恋愛や同棲をそれなりにしてきました。我が人生における最長交際期間は8年強(うち7年半は同棲)ですが、その時もセックスレスとは無縁だったし、歴代の彼氏と“性行為をしない選択肢”はなかったといいますか、喧嘩中や生理中を除いて「いつでも抱き合いたい」と思っていた。

自分の性欲が旺盛なのかそうでもないのかはよく分からないけど(笑)、「毎日したい」と望む彼氏にも、「隔週くらいが理想かな」という彼氏にも別段不満はナシ。自分から求めることも結構ありましたが、例えば「今日は調子悪いからまた今度にしよう」と言われたとて、「その『今度』ってもんのすごいことするのかしら♡ 楽しみ〜♪」と妄想で楽しめてしまう性分ゆえ、断られてもあまり気にならないんですよね。

ただし、仮に「また今度」が一度じゃなく延々続いたらば話は別。彼氏と2年もレスだなんて考えられないし、耐えられる気がしない。そんな相手とは、早い段階でお別れする道を選ぶでしょう。私は好きな人とイチャつきたい・ハグしたい・キスしたい・セックスしたいという欲求が、今も昔も強いほうだろうと思います。それは多分本能なので、自分では変えようがありません。だから、夫と暮らし始めた当初は本当に辛かった。

 

今は「最適な結婚相手」や「生活を共にする人」として完全に割り切れていますが、出会った頃の夫は、私にとって“そこそこ好きな男性”でした。つまり、彼に対して全く欲情していないわけではなかったのです。だからこそ、メンタル的にもフィジカル的にもしんどかったなぁ…。密かに涙したり悩んだりした末に「定期的な女性用風俗の利用」へと辿り着き、おかげさまで現在は日々穏やかに過ごせているけれど、もし“すごく好きな人”と結婚していたらこうはいかなかったでしょう。みちが漫画内で発した台詞で、それを象徴するものがあります。

「私はセックスがしたいわけじゃない。陽ちゃんとセックスがしたいんだ」

単なる性欲じゃなくて、他の誰でもない“あなた”とのセックスがしたいんだよ。「愛されてる」って実感したいんだよ。2年もしてないのに、どうして平気でいられるの? 私のこと、もう好きじゃなくなったの?──

これは、至極当然の“心の叫び”だと思います。

 

一方、今の私は真逆です。「夫と交わりたい」的な思いは全然なくて、あるのは「好きなタイプの男性と触れ合いたい。時々はセックスだってしたい、思いきり乱れたい」気持ちのみ(*女風での本番行為は固く禁止されています、念のため)。

現状、メンタル面は夫や友達との会話だったり、趣味に費やす時間だったりで満たされているから、フィジカル面を女風でカバーすればいいだけなので、単純と言えば単純です。でも、通常は「心と体の両方を満たし合いたい」と願って夫婦になるカップルのほうが多いことと思います。私も、結婚するまでは漠然と「そういうものなんだろうな~」とイメージしていました。まぁ、私たち夫婦は“出会ってから一度も交わったことがない”という特殊な例だから参考にしづらいでしょうけども(汗)、今辛い思い、苦しい思いをしている方々も、心と体を切り離して考えると多少は楽になれる…かもしれません。


私は「セックスレスの解決策=風俗を活用すること」という考えでは決してありませんが、実際に利用している身として言えるのは、「“心から好きな相手”とじゃなくても、気持ちいいことやエロいことは普通に出来る」ということ。

ただ、約3年半利用する中で「女風って向き不向きがあるよなぁ」とも感じています。聞いた話では、上手く割り切ることが出来ずに、罪悪感や虚無感を抱いてしまったり、はたまたセラピストさんにガチ恋してしまい、“沼る”ケースも少なくないみたいなんですよね。よって、試してみて「自分には向かない」と思ったら、別の方法に切り替えることをおすすめ致します、ハイ。

 


最後に。当初「あなたが『セックス』してくれなくても」へと脳内変換していた作品タイトルですが、今は違う文字が浮かんでいます。

「自由に結末を決めてOK」という謎の許可が出たと想定したらば(笑)、私なら「あなたが『愛』してくれなくても」、もしくは「あなたが『許』してくれなくても」の一文字を加えて最終章を書きたいですね。誰か1人に絞るのではなく、みち、陽一、誠、楓、4人それぞれの立場から、各自の心情を事細かに綴ってみたい。

ドラマ内では、陽一や楓に対して「今のはヒドイ。もうちょっと相手に寄り添った言動を取れるんじゃない?」と感じる場面が多いけれど、彼らにも事情だったり思うところだったりはあるはず。陽一の「夫婦ってそれ(セックス)だけじゃない。仲いいし楽しいし、夫婦として十分成立してると思う」という主張にも、個人的には賛同できます。そういう一つひとつを理解しようとせず、どちらか一方に肩入れして諸々を決めつけるのはフェアじゃない気がしています(*原作漫画はさわりしか読んでいないため、各登場人物を掘り下げる描写が既にあったらすみません・汗)。


若い頃の私であれば、この作品を観たり読んだりした瞬間「陽一、最低!」とただただ怒り狂った可能性が非常に高いですが(笑)、様々な経験を重ね、視野が広がった今は「陽一にも良いところはきっとあるし、恐らく彼なりの言い分だってある。物事は、一面ではなくいろんな角度から見ることが大切だ」と考えられるようになりました。

こういう時、「長く生きるのって面白いな、素敵だな」と感じます。「たかだか約40年の人生でこんなふうに思えるんだから、70歳とかになったら予想もできない域に達したりしてるのかな。もしや仙人レベル?」と想像するとワクワクします。それとも、一周回って後退しちゃってたりして…(笑)。まぁ、それならそれで、事実を潔く受け入れることと致しましょう♪