女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

お作法いろいろ、カラオケ編

学生の頃、“部活外の友達”とカラオケに行って初めて気付いたこと──。それは、「みんながみんな、ハモったりコーラスを入れたりするわけじゃないんだ」という事実です。


私は中学・高校と吹奏楽部に所属していました。小学生の時も音楽クラブに入っていたので、“楽器を真剣に演奏していたトータル期間”はそこそこ長いと言えましょう。どちらもソロではなく合奏ゆえ、「大勢の部員たちと音を合わせる」「ハーモニーを大事にする」ことを前提としています。私はこれがと〜っても楽しかった。

幼少期、少しだけピアノを習っていた時期があるのですが、音楽は大好きなのにピアノはそこまで「楽しい」と思えなかったのは、もしや独奏というスタイルが性に合わなかったのかもしれません。

吹奏楽は、編成人数、楽器の種類ともに多い分呼吸を合わせるのが大変だし、個々のレベルに差があるため足並みを揃えるのもひと苦労。でも、個人→パートごと→セクションごと→全体…と練習に練習を重ねて、いざバチッと合った時の気持ち良さ、興奮、一体感といったらものすごかったなぁ♪ 心地よい鳥肌が全身にバババッと走っていく感覚は、四半世紀経った今でも鮮明に覚えているほどです。コンクールや演奏会等で、観客の皆さんから盛大な拍手を頂けることももちろん嬉しかったけど、私は多分、“仲間と音や呼吸を合わせること”自体が好きだったんだと思います。


だからというか何というか、吹奏楽部員たちとカラオケに行くと、誰かが歌い始めたらみんな当たり前のようにどんどんハモるんですよね。たとえ原曲にはハモリパートが存在しなくても勝手に作るし、「私上ハモ〜」「じゃあ俺下ハモ!」とダブルでハモることも珍しくない。面白いもので、主旋律を奏でることの多い楽器(クラリネットやトランペット等)の人はメロディーラインを、裏メロや陰で支えることの多い楽器(ホルンやチューバ等)の人はハモリやコーラスをやりたがる傾向にありました。

私も御多分に洩れず、即興でハモリパートを作るのがだ〜い好き(笑)。自分がハモるのも当然気持ちいいけれど、そのハモリによってメインボーカルが一層気持ちよさそうに歌っている姿を見ると嬉しくなるんですよね。そして吹奏楽と同じく、全員バチッと合った時が最高に幸せ♡ カラオケというのはこういうふうに楽しむものだと思っていたので、高校生になって部活外の友達とカラオケボックスに行った時、心の底から驚きました。


誰一人ハモってな〜い(焦)!!! 

 

それどころか、「勝手にハモると怒られたり、メインで歌ってる人の気分を害しちゃったりもする」そうな。まぁ、高校生のうちに知れて良かったとも言えるけれど(笑)、とにかくびっくりした。

不思議に思い、隣に座っていた友人に「ねぇ、何で誰もハモらないの?」と尋ねたら、「イヤイヤ、頼まれてもないのにハモんないでしょ。つーか、ハモるとしても一旦練習してからじゃない?」と返されて更にびっくり。そうか、その場でハモリを重ねていくのって一般的じゃなかったのか…。


以降、“部活の友達と行くカラオケ”と“それ以外の友達と行くカラオケ”をきっちり分け、後者の場合は「相手に望まれない限りハモらない」というルールを自分に課したのでありました。


ただ、社会人になった途端、打ち上げやら懇親会やらで「シメのラーメン」と同じくらい「シメのカラオケ」が急増することと相成ります(笑)。

私は最初の会社に入社した際、エンタメ系雑誌の編集部に配属されたため、芸能関係者…特に音楽関係者とのお付き合いが多かったのですが、周囲は生粋の音楽好きばかり。ステージ上で熱い歓声を浴び、日頃から十分すぎるほど歌っている歌手・バンドマンたちの中にもカラオケ好きは相当数いて、彼らとご一緒する機会も少なくなかった。

そういう場面では、ハモリやコーラスはむしろ歓迎されます。「ハモれるヤツはハモって♪」「ってか、みんなで一緒に歌おう!」みたいに盛り上がることが多くて楽しかったな〜。部活的なノリも、気兼ねなくハモり合えることもすごく嬉しかった。そういう遊び方&楽しみ方を、コロナ前までの16年間も続けられたこと、めちゃくちゃラッキーだったなと感じています。コロナによって、「私はライブを観るのも好きだけど、自分で歌うことも同じくらい好きだったんだなぁ」と認識することが出来ました。

 


さてさて。ライブへの参戦は少し前から復活させたものの、現状、カラオケはまだ解禁していない私。にもかかわらず、なぜ急にカラオケやらハモリやらの話を書いたかと言いますと、先日、とあるテレビ番組の切り抜き動画が送られてきたからです。送り主は親友(*高校の同級生で元吹奏楽部員)、番組名は「バナナサンド」。“ハモリ我慢ゲーム”というコーナーに推しが出たから観てほしい、という内容でした。


“ハモリ我慢ゲーム”とは、挑戦者(俳優さんや芸人さん、アイドル他)が、バックに従えたコーラス隊のハモリ(←だいぶ主張強めの歌い方・笑)につられないよう、有名曲の主旋律を歌い切る…的なバラエティーコーナーです。彼女の推しは、残念ながらコーラス隊の歌声=ハモリにつられまくって出鱈目なメロディーを歌ってしまい、「チャレンジ失敗!」みたいなところに着地しておりました。

私は普段バラエティー番組を観ないこともあり、これの何が面白いのか、出演したことによるメリットはあるのか等、諸々理解不能でした。「アナタの推しってアイドルだよね? 音源もいっぱい出してるよね? なのに『僕はハモリにつられるような歌しか歌えません』って発表してるようなもんじゃない? ファンとしてはそれでいいの?」とレス。すると「いいのいいの。どうせ音源はピッチ補正ありきだし、歌番組では基本口パクだから、“ちゃんと歌ってる”ってだけで逆に貴重よ♡」と返ってきました。な、なるほど…。

彼女のLINEは、「でもさ」と続きます。


「ウチらからすると、“ハモリにつられる”っていう感覚がよく分かんないよね。主旋律を歌えばいいだけなのに、何でわざわざ変なメロディー歌うんだろ? もしかして意図的に音外してんのかな?」

「それは知らないけど、だとしたらすごくない? 私なら不協和音に耐える自信ないわぁ」

「私も〜。歌ってて気持ち悪いもんね」

「うん、めっちゃ気持ち悪い。そう考えると、推し、頑張ってて偉いね…」

「褒められてる気が全くしないけども(笑)、一応お礼言っとくよ。ありがとう!」

「どういたしまして(笑)」


そんなわけで、上記のようなやり取りをしたことにより、“学生時代にカラオケで受けた衝撃”を突如思い出したのでありました。

 

最後に。考えてみれば、どんなジャンルの曲であれ、私の耳には“主旋律以外の音”もかなりクリアに届いてくれます。楽器の音色でも何十に重なった歌声でも、「どういう楽器が鳴っているかor誰が歌っているか、聴覚だけでは判断できない」ということは滅多にないし、「音が取れない」とか「惑わされる」とかいうこともない。いろんな意味で耳が良かったり、相対音感が鍛えられたりしたのは、学生時代、吹奏楽にとことん向き合い、毎日練習し続けた賜物なのかもしれませんね。

その結果授かったと思われる“良い耳”に感謝しつつ、これからも素敵な音楽を沢山沢山聴いていきたいと思います♪