私が女風ユーザーとなったのは、2019年11月のこと。あれから5年弱──。
その間お世話になったセラピストさんで、今もセラピ業を続けている人はごくわずかです。実に多くの“お気に入りセラピストさん”たちが各お店を辞めていったけれど、時を経て&何らかの事情で、女風業界に戻ってくる方もいたりいなかったり。
私の経験をお話ししますと、これまでにトータル5人のセラピストさんより「復帰したので、よければまたご贔屓に」的な連絡をもらいました。うち2人を再び指名してみたのですが、1人はブランクがあるとは思えないほど(いろんな意味で)心地良〜い時間を過ごさせてくれたっけ♡ 復帰するにあたって、最新のおもちゃを複数用意したり、マッサージの腕を上げていたりと、「できる努力を自分なりにした」ことが本当によく分かる施術内容でした。
そしてもう1人がAさん(仮名)。まず、約束の場所で待つ彼を遠くから発見した時、どういうわけか違和感を覚えました。体型やファッションは聞違いなくAさんなのに、どことなく“知らない人っぽい雰囲気”を纏っていたからです。こちらに気付き、「久しぶり〜!」と駆け寄ってくる彼のお顔を見て理由が判明。
〈なるほど、手を加えたのかぁ〉 ←心の声
前々職が雑誌記者だったこともあり、天然の美男美女をはじめ、人工的につくられた美男美女とお目にかかる機会もそこそこ多かった私。それゆえかどうか不明ですけれども、“何らかの手を加えられたお顔”の持ち主は対面すればすぐに分かります。ただ、相手が芸能人・著名人の場合は何事もなかったように接すればいいだけですが、知り合いとなると多少動揺するというか、「どう反応するのが正解なのかな?」と迷ってしまうんですよねぇ。
とりあえず、当たり障りのない会話をしてホテルへ向かいます。部屋に入り、お茶を飲みつつソファーでまったり。するとAさん、「結構空いたけど全然変わんないね〜。前と同じで服もセンスいいし、変わったってば髪の長さくらいじゃない?」と頭を撫でながら囁きます。そして、私の顔をキラキラした瞳で覗き込み一言。
「俺は?」
ほほ〜ぅ。つまり、あなたは今「ぜひとも指摘してほしい」と願っているわけでございますねと察した私は、ストレートに言いました。
「目と鼻、あと髭脱毛もだよね。いつやったの?」
「やっぱ分かるんだ! 半年前かな。もっと(お金)貯まったら、輪郭もやろうと思ってる」
「えっ? 輪郭⁉︎」
「うん。エラ削りたい」
「う~ん…それって必要かなぁ。今のままで…っていうか、元から十分カッコよかったと思うけど」
「ありがと♪ でも、目と鼻やったら他も気になってきちゃったんだよね。昔は輪郭なんて気にしたことなかったのにさ」
あくまで私見ですが、人間の顔というのは“全体のバランス”が非常に大切だと感じています。ぱっちり二重、高い鼻、ふっくらした唇等々に憧れる気持ちも分からないではないけれど、切れ長の目だったり、控えめな鼻だったり、薄い唇だったりするほうが似合う顔、映える顔というのは絶対にある。ボディー(骨格や身長等)も含め、全てはバランスと組み合わせだと思います。加えて、内面から滲み出る美しさや豊かな表情は、造形美と同じくらい素敵だし、何よりとっても魅力的です。
Aさんの目元はもともと大変涼やかで、それが全体の雰囲気ともよく合っていました。涼やかさがチャームポイントの一つだったのに、思いきり切開してクリクリお目目に…。これでエラまで削ってしまったら、よくいる“量産型イケメン”が出来上がり、どんどん無個性へと近づいてしまいます。嗚呼、残念。
もちろん、Aさんの肉体はAさんのものだから、何をどう変えようと彼の自由です。他人からはチャームポイントと捉えられていても、本人にとってはコンプレックスというケースも少なくありませんし。でも、“顔に異物を入れることのリスク”“健康な体にメスを入れることのリスク”は決してゼロではないと、私は思います。
中には上手く改造できている方もいらっしゃるけれど、そうでない方ともお付き合いがあった者の一人としましては、「“表現者として本来やりたい仕事”に影響が出る場合だってあるのに、なぜ躊躇なくお顔に手を加えられるんだろう?」と不思議で仕方ありませんでした。
例えば。インタビューの最中、どんなに話が盛り上がったとしても、それはもう不気味なくらい表情筋が固まったまま動かない俳優さん。既に何十年と歌い続けてきたはずの、自身の大ヒット曲を披露しているにもかかわらず、終始顎がカクカクしてきちんと発声できていない歌手…。そういう姿を近くで見る度、自ら才能を潰しているというか破滅の道へ向かっているというか、とにかく「勿体無いことするよなぁ」と感じていました。当然、その件について彼らに進言したことは一度もないけれど、Aさんの場合は“第三者の意見を求めている感じ”が見て取れたので、やんわりではありますが「ここでストップする手もある」「己を磨く方法は他にも存在する」ことを伝えました。再指名したのはその時一度きりだし、今は連絡も取っていないため、彼が最終的にどういう結論を出したのかは分かりませんけどね。
さてさて。今回の本題は、実はここからです。「トータル5人のセラピストさんより復帰の連絡をもらった」と先述しましたが、うち2人から嘘の発言がありました。
私は時には大胆だけれど、基本的にはかなり慎重な性格です。よって、過去にリピート指名していた馴染みのセラピストさんであっても、①お店のHPで「現在確実に在籍しているか?」を確認、②再度指名するのであれば、“セラピストさんとのダイレクトなやり取り”は避け、必ずお店を通して予約を入れる…この二つを徹底しました。そうでないと、“復帰したフリ”をしているだけのしょうもない輩(笑)と会うことになってしまう可能性があるからです。
事実、5人の中の1人は「前いたお店に復帰した」と言っていたのですが、これは完全なる出まかせで、実際には籍を置いていませんでした。もう1人からは「別の店に移って源氏名変えたんだ」と説明を受けたけれど、なんと!全く無関係のセラピストさんを指して「これが新しい俺」と堂々と言っていただけだった(笑)。まぁ、顔出し写真を載せているセラピストさんのほうが珍しいので、顔以外…髪型や体格、それとプロフィールが似通っていれば、誤魔化せてしまったりもする…のかもしれません。これには、腹が立つというより「へぇ、そういうやり口もあるのか」とちょっと感心してしまった。「その方法いつ思い付いたの? それとも誰かの入れ知恵?」「今までに何回使った手なの? 成功率はどれくらい?」などと次々質問をぶつけ、最終的に“あちらからブロックされる”という予想外の結末を迎えたのでありました(笑)。
私はこの体験以降、辞めたセラピストさん、及び縁が切れたセラピストさんの連絡先は、すぐさま削除するようになりました。それまでは放置主義といいましょうか、「もう連絡しない相手=消去」という発想自体があまりなかったんですよね。セラピストさんに限らず、友人や知人、仕事関係者に関しても同じなのですが、長い人生、いつ誰とどう繋がっていくか分からないし、「やがて再会する日が来るかもしれない」と思っておりますゆえ。なれど、この件があって「セラピストさんはそこから外そう」と考えを改めた次第です。
そんなわけで、昔指名していたセラピストさんから「復帰しました」という連絡があった場合、全面的に信じることはおすすめしないと言いますか、確認のため、一応お店に訊いてみたほうが安全かもしれません。もし在籍していなかった時、トラブル等に巻き込まれでもしたら厄介だし、第一、そういう嘘を平気で吐くような人間はロクな奴じゃないですからねぇ(笑)。ろくでなしには近付かないこと、関わらないことが、一番のリスク管理だと思っております、ハイ。