先月初旬、劇場アニメ「ベルサイユのばら」(1/31公開)を鑑賞してきました。
原作は、池田理代子先生の名作漫画「ベルサイユのばら」(集英社刊)。アニメ化されたのは1979〜1980年で、以降何度か再放送されている模様です。何を隠そう、私も再放送にて「ベルばら」を知ったクチでして、漫画をきちんと読んだのはだいぶ後になってから。そのことも影響してか、「ベルばら」といえばアニメのイメージが非常に強く、此度の映画化を知った際も、自然と頭に浮かんできたのは“テレビアニメ版の「ベルばら」”でした。そして、映画を鑑賞した上で抱いた率直な感想は「アニメ版とは別もの」。
ここからは、今昔の相違点だったり、良かった点やそうでなかった点などを正直に綴ります。詳しい内容に触れておりますゆえ、知りたくない方はそっと閉じてくださいませね。

まずは事実からご紹介致しましょう。
【テレビアニメ「ベルサイユのばら」】
☆初放送/1979年〜1890年(日本テレビ系列)
☆尺/30分×全40話
☆制作/東京ムービー新社(現トムス・エンタテインメント)
☆キャスト/オスカル=田島令子、アンドレ=志垣太郎、アントワネット=上田みゆき、フェルゼン=野沢那智および堀勝之祐、語り=本山可久子
☆主題歌/OP「薔薇は美しく散る」(歌:鈴木宏子、作詞:山上路夫、作曲:馬飼野康二)、ED「愛の光と影」(歌:鈴木宏子、作詞:山上路夫、作曲:馬飼野康二)
☆音楽/馬飼野康二

【劇場アニメ「ベルサイユのばら」】
☆公開/2025年1月31日
☆尺/113分
☆制作/MAPPA
☆キャスト/オスカル=沢城みゆき、アンドレ=豊永利行、アントワネット=平野綾、フェルゼン=加藤和樹、ナレーション=黒木瞳
☆主題歌/「Versailles -ベルサイユー」(歌・作詞・作曲:絢香)
☆音楽/澤野弘之、KOHTA YAMAMOTO



続きまして、私の個人的な感想をば。
[良いと思った点]
・制作がMAPPAだし、キャラデザも若年層が好みそうな雰囲気のため、「ベルばら」を知らない世代でも映画館に足を運びやすい。
→結果、原作漫画や関連商品の売り上げ増が期待でき、「ベルばら」が後世に残り続ける確率がアップする
[良いとは思わなかった点]
・劇中歌が計15曲もあり、まるでミュージカル映画を観ているようだった。ミュージカル映画自体は全然いいが、不親切だったのは、それが伝わるような事前告知や予告等が用意されていなかったこと。そのため、急な展開に心がついていかず戸惑ったり、「また歌か…」という落胆や、歌が続くことによる“集中力の途切れ”だったりが生まれやすくなってしまった感がある。
・テレビアニメ版が劇画タッチで線が太かったのに対し、映画版は綺麗で色彩豊かだが、重厚さとメリハリに欠ける絵柄。尺も113分しかなく、ストーリー、登場人物、心理描写等、端折られた部分が多すぎて、全体的にかなり薄めの仕上がりだった。「ベルばら」の世界観としては少々軽すぎた。
・ナレーションのみ“声の素人”が担当しており、終始聞き苦しかった。“声のプロ”の中に結構な頻度で差し込まれるので、力量の違いが丸分かり。「こんなナレなら字幕で出すだけのほうがよっぽどマシ」と心底がっかりし、声優陣の表現力は素晴らしかったことさえも忘れてしまいそうな勢いだった。私としては、この映画最大の“残念ポイント”はここ。
・声優さん達による劇中歌を散々聴いてきたのに、EDで流れるのは別人の歌声。絢香さんの歌が好きじゃないとかではないけれど、「この映画の主題歌として相応しいか?」と問われたらば答えはNO。彼女の個性(というか個“声”)、および歌い方の癖みたいなものが強すぎて、詞の内容が全く入ってこない…。出演声優さんの歌、もしくはインストにしたほうが、それまでの世界観を崩さずに映画を終えられたんじゃないかと思う。


さて。私は舞台観劇が趣味の一つで、ミュージカルも普段から観ますゆえ、“ミュージカル調映画”にもすぐ馴染めました。加えて澤野弘之さんのファンだし、声優さんが“キャラとして歌う歌”も大好き。よって、キャラたちが突如歌い出しても「あぁ、そういう感じなのね。了解!」と即座に切り替えられるけれど、冷静に考えれば、オスカル様はあんなふうに己の気持ちを歌ったりされるお方ではないでしょう。幼き頃より、いろいろな思いや葛藤を、ご自分の胸の中だけに秘め続けてこられた方なので…。ですから、オスカルをはじめ、各キャラクターを推している方々の胸に、戸惑う気持ちだったり受け入れ難い気持ちだったりが湧き上がってきたとしても致し方ないと思います。それだけ長い間、多くの人々に愛されてきた作品ですからね。
ただ、名作をリメイクすること自体は大いに賛成です。今回の映画化によって「ベルサイユのばら」を知った方も大勢おられるでしょうし、原作漫画、およびテレビアニメ版の素晴らしさを広めるきっかけとしては十分すぎる働きと言えましょう。映画単体ではなく、“ベルばら全体”として考えたら大成功だと思います。企画および制作、誠にありがとうございます。
それはそうと。映画化記念ということで、現在トムスさんの公式Youtubeチャンネルにて、テレビアニメ版「ベルサイユのばら」を期間限定無料配信してくれております(*配信は3/14の20時59分で終了予定)。当然の如く毎話視聴し、先日最終話を見終えたところなんですけれども、いや〜、もんのすごいです。初めて観た小学生の時も「すごい」と思いましたが、今観たらよりすごい。
私は「ベルばら」を観るまで“女性の主人公”に恋した経験がなかったけれど、オスカル様には秒で心を射抜かれまして(汗)、アラフォーとなった今でも恋焦がれています。当時は田島令子さんという女優さんを存じ上げず、単に「オスカルの人♡」だと思い、その“声”にもがっつり恋。私が低い声の女性声優さん(例/朴璐美さん、斎賀みつきさん、小林ゆうさん等々)ばかり推すようになったのは、田島さん演じる凛々しいオスカル様に恋したのが始まりなのでございます。嗚呼オスカル様、この責任をどう取ってくださるおつもりですか(笑)?
そして、忘れちゃいけない...いえ、生涯忘れないであろうテレビアニメ版「ベルばら」のオープニング映像。最初に観た時からもう何十年も経っているし、以降今日に至るまで数え切れないほどアニメを観てきてお気に入りだって相当増えたのに、あのOPほど心揺さぶられる作品には、いまだ出会ったことがありません。
ご存知の方も多いでしょうが、一応ご説明しますと、OPに登場するのはオスカルー人だけ。アンドレもアントワネットもフェルゼンも、チラリとだって出てこない。OP曲「薔薇は美しく散る」の出だし…ストリングスの音色が鳴り響くと同時に、茨に囚われたオスカルの姿、そして「ベルサイュのばら」(「ユ」のみ絶妙に小さいサイズ)のタイトルがドーン! 鈴木宏子さんの澄んだ&伸びやかな歌声、オスカルの心情や生き方をこれでもかと表した歌詞、壮大且つ悲劇的なメロディー、そして彼女の美しく気高い、だけど儚さと悲しさも同居したような姿が目と耳から全然、そりゃもう全っ然離れません。何十年経とうが、「ベルばら」の文字を見ると、あのオープニング映像が最初から最後まで脳内自動再生されます。それってものすごいことだと思います。

初回の配信を観て驚いたのですが、「薔薇は美しく散る」の歌詞も一言一句正確に覚えていました。漢字ではなく平仮名で歌詞テロップを出してくれていたにせよ、小学生の私が一文字も違わず記憶していたとは自分でも予想外。それくらいインパクトが強かったし、毎回真剣に観ていたということなのでありましょう。今観ても本当に素晴らしいOPで、その美しさと儚さに毎話見惚れてしまいます。カット数は決して多くないにもかかわらず、画面から訴えかけてくるもの、伝わってくるものが膨大すぎる。幾つになっても、いろんなことを感じさせてくれる&考えさせてくれる映像です。
あのOP映像を含め、全40話を再び観られましたこと、心から感謝申し上げます。関係者の皆さま、ありがとうございます。
「ベルばら」に限った話ではないけれど、昔観たり読んだり聴いたりした名作を、時を経てもう一度味わえるというのは実に幸せだし、面白いなぁと思います。当時と着眼点や感じ方が違ったり、“若い私”では気付けなかったことに気付けたりもしてそりゃあ楽しい。だから、昔の自分にお礼を言いたくなるんですよね。「観ていてくれて・読んでいてくれて・聴いていてくれてありがとう」と。だって、今との違いを実感すると、「二度楽しめてお得♡」な気分になれるんだもの♪
ゆえに、エンタメを楽しむ際は「多分これから先もそうなんだろうな」とうっすら思いつつ、観たり読んだり聴いたりしています。「10年後、20年後の私はどう感じるのか?」と想像するだけで嬉しくなってしまう。想像や妄想はいくらしようとタダでございますからして、自分のことながら安上がりでありがたいなぁと思う次第です、ハイ〜(笑)。
◇◇追記◇◇
OP曲「薔薇は美しく散る」の後半に、『バラは気高く咲いて 美しく散る』的な歌詞が登場します。当時既に“言葉への関心”を強く持っていた私は、「曲タイトルに『散る』のほうしか入ってないのはどうして? 『咲く』はどこ行っちゃったの?」と不思議に思っていました。合点がいったのは大人になってからだったけれど、その時はリアルに膝から崩れ落ちて「あぁ…」と涙。オスカルが実在しない人物だと知りながらも、「どうか天国では運命なんか背負わず、アンドレと幸せに暮らしていますように」と願わずにはいられませんでした。その思いは、今も全く変わっておりません。



