中居正広氏と元フジテレビ女性アナウンサーの「トラブル」について、先月末日、第三者委員会による報告書が公表されました。調査結果は、端的に言うと「(両者の間に起きたことは)業務の延長線上における性暴力であったと認められる」という内容。下記に概要をまとめます。


◎調査担当=第三者委員会(構成員は、報告書のトップページに名が記されている弁護士3名。他に23名の弁護士が調査業務に従事)
◎調査実施期間=2025年1月23日(中居氏引退発表日)~同年3月30日
◎調査対象期間=2016年4月1日~2025年3月26日
◎関係者ヒアリング=合計222人(のべ294回)
そして。性暴力が起きた当日(2023年6月2日)は、以下のような流れで“中居氏と女性だけでの食事会”に至ったそうです。
◆12時11分、中居氏→女性へのメール「今晩、ご飯どうですか?」
◇女性→中居氏への返信内容:19時まで六本木で仕事、その後は空いている旨を伝える
◆中居氏→女性へのメール「はい。メンバーの声かけてます。また、連絡します」
◆17時46分、中居氏→女性へのメール「雨のせいか、メンバーが歯切れわるくいないです…飲みたいですけど、さすがに2人だけだとね。どうしましょ」、続けて「隠れ家的な、お店。自信はありませんが、探してみますね」
*なれど中居氏は、メンバー探しも店探しも実際には行っておらず、最初から“二人きりになること”が目的だったものと思われる。
◆19時14分、中居氏→女性へのメール「(仕事)終わりました。メンバー見つからずです〜。どうしよかね。2人だけじゃ気になるよね。せっかくだから飲みたいけど」
◇仕事を終えた女性が、上記のメールを確認。今晩は空いていると既に伝えていた手前、2人だけでは嫌だから今日はやめたいと立場上言えず、飲食店での食事だと思い2人でもよい旨の返信をした
◆中居氏→女性へのメール「お店のレパートリーが情けないですが乏しく…笑。どうしよかね」「◯◯(地名)で飲みますか!この間の。なら、安心かもです。どうでしょ」
*「この間の」というのは、2日前(5/31)に複数人でBBQを行った場所。自宅ではなく、中居氏が所有する都内マンションの一室を指す。
まぁ、要するに①相手側から「今夜は予定ありません」的な言葉を引き出す、②あたかも複数人での食事会であるかのように装う、③「メンツが集まらなかった」「店も見つからなかった」と後出しで伝える、④二人きりではあるものの、“前にも行ったことがある場所”での開催を提案して危機感を薄れさせる…という、言ってしまえばよくある手口です。ただ、立場上断りづらいことを分かった上で、“相手の逃げ道を一つひとつ塞いでいく汚いやり方”を使う人間は、残念ですが中居氏以外にも山ほどいます。よって、今回のように細かいやり取りを公開するのは大賛成。知っていれば防げることって、確実にありますから。
まだ“この世の悪”に出会っていない若者たちが、どこぞの誰かにおかしな誘い方をされた時「これってさ…あれに似てない? 元アイドルとフジテレビのやり口」と気付いて性暴力を回避できること、この先あるんじゃないかなと思います。ロマンス詐欺や闇バイト、未成年者へのグルーミング行為等も同様で、犯罪の手口や生々しいメッセージのやり取りを詳かにすることによって、毒牙にかけられる率が下がると個人的には考えています。ですから今後も積極的に公開してくれることを願っています。
さて。今回のことは、当たり前ですけれども中居氏が悪いです。全てにおいて手慣れた感じもあり、非常に卑劣で下衆。しかしながら、“「密室で二人きりになることを了承した=性的な接触を了承した」とみなす人間、或いは力技でそういう方向に持っていこうとする人間は男女問わず、そして年齢問わずいる”というのも、良い悪いはさておき現実としてあります。いろいろな経験値や知識量が、大人に比べて少ないであろう若者たちには、「どうかそのことを忘れないで」と声を大にしてお伝えしたいです。
私は16年間雑誌記者の仕事をしていたので、芸能界は割と身近な存在だったし、一部ではありますが光の面も闇の面も見てきました。立場的に“接待される側”だったこともあって、危ない目に遭うことは一度もなかったけれど、その手の話は多く耳にしていました。それゆえ、日頃から自分なりにできるだけ警戒。具体的には…。
・“隙がない印象”のファッションを心掛ける(常にパンツスタイルで、胸元の開いたトップスだったり、ボディラインが際立つような服だったりは着ない。威嚇も兼ねて、ネイルアートはなるべく攻撃的な色やデザインを選ぶ、等々)
・泊まりでの出張取材時等、主催者に「宴会への参加は浴衣姿で」的なことを言われたとしても断固拒否する
・たとえ恋人がいない時期でも、“「ガタイがいい+めちゃくちゃ嫉妬深い彼氏がいる」設定”を貫く
・仕事関係の男性とマンツーマンでの食事はするが、二次会には絶対行かない
…etc.
これらの努力を重ねていても、誘ってくる人は普通にいました。30歳近く上の作家さんから「よければ愛人にならない? 手当は月これくらい出せるよ」と会食中サラッと言われたり、だいぶ年下の俳優さんが、それこそ二人きりになる瞬間を待っていたのか突然狼に変身したり。こちらは全くもってそういう対象として見ていないわけなので、怒るより先に驚いてしまい、即座には対応できず一瞬固まってしまうんですよね…。「こんなに年上の人がor年下の人が、私を異性として見ることはないだろう」と思っていても、相手はそうじゃなかったりするから厄介です。
だからというわけではないけれど、私は「男女の友情はある」という考えですが、同時に「下心もある」と思っています。したがって、密室で二人きりになる異性は、A. パートナー、B. ゲイの友人(ただし、一度でも女性との交際経験がある人は除く)、C. 間違いが起きてもまぁいいかと思っている男性、の3タイプのみ。どんなに仲が良い相手でも、100%の信頼を寄せることは基本ありません。それくらいの警戒心を持っていて損はないと、諸々の経験上断言できます。
ちなみに。我が夫は外資系に勤務しているため、「会社はそのあたりに関してすごく厳しい」んだとか。コロナ前は「月イチで1on1があった」そうですが、その際「“ミーティングルームのドアは必ず開けておく”っていうのが決まり」。
「ウチの場合、相手が同性でも異性でも変わらないから楽でいいよ。同一ルールなら上司側もいちいち考える必要がないし、部下側も男女ともに安心できる。中には『信用されてない感じがして嫌』っていう人もいるけど、僕は双方メリットしかないなと感じてたから、このルールはこれからもずっとあってほしい。まぁ、在宅勤務の僕が言ったところで、大した意味はないかもしれないけどね(笑)」
何はなくともひとまず警戒する、自衛する──。
人間だって動物なわけですから、「周囲を警戒する」「誰であってもすぐには信用しない」というのはごく自然なことだと思います。もし自分自身が“警戒される側”の立場に置かれたとしても、それを忘れずにいられる人でありたいです。大体、20も30も年上の相手から性的な目で見られたら、若い女性でなくとも大抵の人が嫌悪を覚えるでしょう。若くあろうと努力するのは全然構いませんが、それは“何十年経っても「あの頃のまま」の感覚からアップデートできていない状態”とは違います。中居氏のケースは最早そういう問題ではないけれど、「私も気を付けなくちゃ」と思いました。人の振り見て我が振りを直せる、ある意味いい機会だと感じています。