女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

小父小母

平均月2回のペースで、某ネットスーパーさんに配達をお願いしている我が家。大抵土日のどちらかに届けてもらうのですが、先日、諸事情あって平日昼間に利用しました。

結構な量の品物を手際よく運んでくれたのは、初めましての若者です。ニッコニコの笑顔と落ち着いた話し方が好印象のメンズで、見た感じ20代半ばかな?といったところ。普段はベテランっぽい男性か、「パート主婦なんですよ〜」という女性が来てくれることがほとんどなので、彼は平日担当ってことなのかしらんと思いつつ、いつものように玄関先にて対応致しました。終始笑顔&適切な声掛け(「最初に冷凍ものです」「続いて常温商品になります」「こちら日用品です」等)で、実に気持ちのよい仕事ぶりです。

「“微笑みの国・タイ”を思い出しちゃうほど、相手に安心感を与える柔らかい笑顔だなぁ。私も見習おう」〈←心の声〉


大好きなタイの人々、及び風景を脳裏に浮かべながら、ミネラルウォーターの段ボールケース(600mlペットボトル×24本)を彼から手渡された…というか、それぞれが両端を持った次の瞬間。

実際はもう少し小さいサイズの段ボールでしたが、イメージとしてはこんな感じです(byいらすとやさん)


最初は2人の間で上手く保たれていたはずのパワーバランスが、室内に向かって(すなわち私が後方へ、彼が前方へ)一歩進んだ拍子に崩れてしまいました。危うくケースごと床に落としそうになったものの、お互い「あっ‼︎」とすぐさま腰を落としたため、地上30cmくらいの位置で無事キャッチ。そして彼は、2つの意味で「すみません!」と謝ります。


一つは「落としそうになってすみません」の意ですね。ただ、全くもって彼に非はなかった。というのも、「だいぶ重いですけど持てますか? よかったら中までお運びしますよ」と言ってくれたのに、私が「大丈夫です、ありがとうございます」とその申し出をお断りしたからです。飲料をケースで注文したのは人生初だったけれど、ペットボトル24本分ってすんごく重いんですねぇ…。「もしこういうことが再びあった場合は、ありがたく配達員さんのお言葉に甘えよう」と密かに誓った次第です、ハイ。


もう一つは、「見てしまってすみません」の意。

その日の私は、ノースリーブのロングワンピースに薄手の半袖カーディガンを羽織った“ザ・夏スタイル”。普段は丸首タイプを好んで着ているのですが、今夏はあまりの暑さに耐えきれず、VネックタイプのTシャツやらワンピやらを数点購入。日頃着慣れていないこともあり、「Vネック=屈むと胸元がチラ見えしてしまう恐れがある」という可能性を失念していたんですよね。

2人の間には飲料ケースだけ…という結構な近距離ゆえ、彼が私の胸元をがっつり見てしまった様子といいますか、視線の動きは丸分かり(笑)。ただし手を離したらケースがゴトンと落下してしまうので、お互い気まずいけれどもすぐにはその件に触れられません。2人で中腰のままゆっくり歩き、床にそ〜っとケースを置いた後、彼があらためて「すみませんでした!」と深く頭を下げます。


「いいんです、いいんです。重さを分かってなかった私が悪いんですから、そんなに謝らないでください。それに、お見苦しいものを…」

(食い気味に・笑)「見苦しくないです! あ…つまりしっかり見ちゃったってことなんですけど…申し訳ありません」

「本当に気にしなくて大丈夫です。相手がもっと若い子だったら良かったのに、何だかごめんなさいね」

「いやラッk…いえ、何でもないです‼︎ すみません!」

今「ラッキー」って言いかけたような気がしましたけれども(笑)、非常に正直でむしろ清々しいですね〜♪ だって、仮に逆の立場だったとして、マッチョ男性(*私は筋肉フェチです♡)の素晴らしい胸筋やら谷間やらが突如目の前に出現したら、ガン見はしないにせよ“1秒も見ない”というのは多分無理だろうと思います。条件反射ですから仕方ありません、お互いさまです。

 

 

ところで。私は自分のことを「おばさん」だと思ったことも自称したことも、面と向かって誰かにそう呼ばれたこともないけれど、この時初めて「今の、なかなかにおばさんっぽい言い回しだったなぁ」と感じました。

『もっと若い子だったら良かったのに、何だかごめんなさいね』

これは、己が若い頃には絶っっっ対出て来なかった台詞です。自虐ってわけでもないけれど、「20代男子は、できれば40代女性じゃなく同年代女子の谷間が見たいよねぇ」と素直に思います。私自身、20代の頃は同世代男子の、もしくは言うて30代までのメンズボディーが見たかったですもん(笑)。自分のバストをリアルに「見苦しい」とは微塵も思っていませんが、“微塵も思っていない言葉がすんなり出てきた事実”に若干驚きましたし、「私も少しは大人になったってことなのかしら」と感動すら覚えました。


何を隠そう、私はネガティブ思考の友人・知人が時折口にする、「もうおばさんだから」「俺なんてオッサン通り越してジジィだよ」的な発言を、あまり好ましく思っておりません。「イケオジを目指してる」とか「将来は可愛いおばあちゃんになりたい」とかなら全力で応援するけれど、「“もう”おばさん」「俺“なんて”」というフレーズがくっつけられた途端、言い訳がましく聞こえたり、予防線を張っているように見えたりして「残念だな…」とがっかりしてしまう。それは若作りせよとか美容クリニックに通えとか、そういうことでは勿論ないですよ。


「もうおばさんなんだし、昔ほど気合い入れてお洒落する必要ないと思う。洋服なんて、ちゃんと洗濯してあればそれで十分」

「下っ腹出てて当たり前だろ? オッサンだもん」


いやいやいやいや、それってちっとも年齢関係なくないですか? その証拠に、私の周りにいらっしゃる60〜80代の方々は、若い頃からずーっと素敵だし、できる範囲で今なお己を律しているケースが多いです。「おばさんだから」「おじさんだから」じゃなくて、あなたが諦めたから、努力をしなくなったから…の間違いじゃないでしょうか。


そりゃあ、加齢とともに気力や体力が低下したり、病気を患ったり、或いは自分のことより“家族ファースト”だったりで、若い時とは違う部分も沢山あることと思います。かく言う私も、昔、諸先輩方が説いてくれた「40代以降は『すこぶる体調がいい』っていう日がどんどん減ってくる。だから、そういう日は仕事でも遊びでも全力でやれ」という言葉が年々身に染みるようになってまいりました。でも、「おばさん」「おじさん」というワードを盾に自衛するのは違う気がするといいますか、いろんな意味で「勿体ないな〜」と感じます。


まぁ、かつて男前だった友人(←強豪校のサッカー部元主将。現在、当時と比べて体重25kg増。「学生時代から同じスポーツブランドの服が好きで今も着てるけど、自分でも笑っちゃうほど別次元の仕上がり」なんだとか)曰く、「若い時はモテすぎて大変だったけど、サッカー引退してからめっちゃ楽になった。『こんなに生きやすい世界があるとは!』ってびっくりした」とのことなので、積極的に“おじさん化”、ないし“おばさん化”していく人も、ひょっとしたら一定数いるのかもしれませんけどね。それはそれで尊重しますが、私自身は、いつまでも身なりに気を配ったり、お洒落を満喫したりする人生を送りたいなと思っています。だって、そっちのほうが断然楽しそうなんだもーん♪

 

《補足情報》

ちなみに。辞書にて「おじさん」「おばさん」を引きますと──

小父さん・小母さん/①よその年配の男性・女性を親しんでいう語。②親族関係にない中年の男性・女性。③子供に対して、大人の男性・女性が自分をさしていう語。

…とあります。「年配=中年以上の年ごろ」を表しますので、「中年」に的を絞ってみますれば、辞書によって相当バラつきがあることが判明。一部抜粋致します。

A. 40歳前後、或いは40歳代。

B. 40歳前後から50代にかけての年齢。

C. 40歳くらいから50歳代半ばくらいの年齢。

D. 青年と老年の間の年齢。40歳前後から50歳代後半くらいまで。

E. 50代半ばから60代前期にかけての年。

様々な辞書で調べるごとに、「いい意味で適当っていうか、思ったより自由度が高いんだなぁ」と感じました。

 

厚労省の発表によりますと、日本人の平均寿命は…

◎1955年/男性63.60歳、女性67.75歳

◎1990年/男性75.92歳、女性81.90歳

◎2019年/男性81.41歳、女性87.45歳

…だそうです。多くの方が60代で鬼籍に入られていた約70年前であれば、50代のうちから「おじいさん」「おばあさん」と呼ばれていた方も、もしや結構おられたのかもしれません。

一方、現代。体感としては、「おじいさん」「おばあさん」という雰囲気を纏い始めるのは、70歳を過ぎてからじゃなかろうかと思います。そして、稀に相手から「孫とおばあちゃんくらい(年が)離れてるわねぇ」と言われることはあっても、私のほうから「(あなたは)おばあちゃんorおじいちゃんくらいのご年齢です」なんて言わないし、そもそも心の中でも思っていません。だから、赤の他人に向かって「ババァ」「ジジィ」「オッサン」「オバハン」的な言葉を投げつける人の気持ちが全然分からない。あれは一体どういうつもりなんだろう。10代の少年・少女が、親に対して「クソババァ」「クソジジィ」と言ってしまうのは成長過程というか、“思春期あるある”だと思うけれど、世の中には思春期が延々終わらない人たちが存在して、そうなったら生涯「ババァ」だの「ジジィ」だの言い続ける結果になるのでしょうか…? う~ん、謎です。