女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

作品が先か、演者が先か。

私には、アニメや映画を観ている最中、突如として“現実世界に引き戻される瞬間”が訪れることがあります。それは、プロの声優さんたちに混じって、俳優や著名人等が声をあてているシーン。せっかく作品の世界観に入り込んでいても、「ひょっとして…ふざけてます?」と疑いたくなるほど棒読みだったり、キャラクターよりも俳優・著名人本人が前に出ていたりするシーンに出くわすと、そこで強制的に現実世界へと戻される。あの瞬間が本当に嫌いだし、ガッカリ&悲しい気持ちになります。

「頼むからやめてくれ、普通に声優さんを起用してくれ。こっちは存分に没入したいんじゃ~!」

 

さて。2023年度の冬アニメを観ていて、それとは少し違うタイプの“心の叫び”をすることと相成りました。

 

その前に。私が今期視聴しているアニメは、合計6作品です。「アイドリッシュセブン」「虚構推理 Season2」「Buddy Daddies」「UniteUp!」「HIGH CARD」「コタローは1人暮らし」と推理ものやらバトルものやら多種多様なのですが、自分の中では珍しく、アイドルものが2つ。

アイドリッシュセブン」は言わずと知れた大人気コンテンツですけれども、もう一つのアイドルもの「UniteUp!」は何も知識がなく、「キャラデザが好みだから録画しておこう」くらいの気持ちでした。そして先日、「UniteUp!」の3話分を一気に観たところ、素直に出た感想が「え、何かの冗談? それとも大掛かりなプロトタイプとか…?」。

 

アイドルものゆえ、歌唱シーンやライブシーンもあるのですが、歌はまぁ聴けるレベルです(上からですみません・汗)。けれど台詞が…。滑舌、発音、アクセント、ブレス、諸々の強弱、感情の乗せ方、喜怒哀楽の表現等々、その拙さに驚きすぎて、都度都度巻き戻して確認してしまった。最近の若手声優さんは、新人であっても十分上手かったり器用だったりするので、これほど“及第点に達していない演者達”が次々登場する作品は初めて観たような気がします。

どうにも気になって詳しく調べたところ、メインキャラ13人のうち、声優さんが演じているのは4人だけでした。あとの9人は、俳優だったりシンガーソングライターだったりするそうで、声優初挑戦の方がたくさんおられる。なるほど、大いに納得。聞けば「ソニーミュージックグループによる多次元アイドルプロジェクト」内のアニメらしく、“二次元と三次元を同時に”的なコンセプトみたいです。はいはい、大体理解致しました。

 

 

“異質感”とでも言うのでしょうか。いつもは、“声優というプロフェッショナル達の中に、声のアマチュアが放り込まれている”けれど、この作品は真逆。“声のアマチュア達の中に、声優というプロフェッショナルが放り込まれている”状態です。特にプロとアマの掛け合い部分は、力量の差がありすぎてプチパニック(笑)! ちっとも内容に集中出来ず、ストーリーや各キャラの特徴等が頭に入ってこない…。確かにアニメを観ているはずなのに、実は観ていないような錯覚に陥るというか、何やら不思議な感覚でした。全く新しい体験だし、これはこれで面白いのかもしれません。

 

新しい体験と言えば、もう一つ。声優でない9人の歌声は、「普通の歌としては成立しているのかもしれないが、キャラソンとしては全然成立していない」と感じるものが非常に多かった。

どういうことかと申しますと、キャラではなく、ただ“中の人”が中の人のまま(=俳優のまま、シンガーソングライターのまま)歌っているようにしか聞こえないのです。映画『ONE PIECE FILM RED』のウタ役のように、「ボイスキャスト名塚佳織、歌キャスト:Ado」と最初から分かれているなら理解できるのですが、“同一人物が演じているにもかかわらず、台詞パートと歌パートの乖離がすごい”というのは、長年いろんなアニメを観てきて初めての経験でした。あ…音楽関連の話をしだすと、めちゃくちゃ長く&熱くなってしまうので(汗)、歌については後日あらためて書きますね。

 

さてさて。本編視聴とは別の日に「UniteUp!」の特番を視聴したところ、キャスト決定=2021年6月、声優レッスン開始=同9月、レコーディング開始=同10月、YouTubeチャンネル開設=同12月、アニメ本編アフレコ開始=2022年7月、というスケジュールだった模様です。約10ヶ月間レッスンを重ねてあの仕上がりなのだから、ちょこっとブースに入って数シーン録るだけの俳優や著名人が、違和感ありありのアフレコになってしまうのは当然なのかもしれないなぁ…。

 

このアニメのおかげで、「声優さんと俳優さんって、似てるようでやっぱり違うな」と再認識することが出来ました。中には、津田健次郎さん、宮野真守さん、神木隆之介さん等、“声優と俳優の行き来”をすんなりこなす方もいらっしゃるけれど、津田さんも宮野さんも元は俳優さんだし、神木さんは演技の天才&アニメへの愛に溢れまくった人だから、そもそも次元が違います。彼らは、いい意味で普通じゃないですからね(笑)。

 

誤解なきよう記しておきますれば、個人的にはソニーのプロジェクトには手放しで大賛成です。体力のある企業が、エンタメ界をあの手この手で盛り上げてくれるのは誠にありがたい。アニメ本編も、最後まで視聴するつもりでおります(キャストの皆さまが、これから劇的に成長する可能性だってあるし♪)。

ただ、いちアニメファンとして思うのは、「声優は、何をおいても演技力と表現力。歌唱力やビジュアル等はあくまで付加価値。まずはアニメに没入させてくれないと、“声の芝居”で魅了してくれないと、『円盤を買おう、お金を落とそう』という気にはならない」ということ。“中の人”が格好いいor可愛いから、そのアニメやコンテンツを推しているわけではないのです。キャラクターに、物語に、設定に、台詞に、作画に、音楽に惚れ込んでいるから、魅せられているから、「結果的に中の人ごと推す」のです。

もちろん、「声優さんありき」という方も大勢いらっしゃると思いますし、それに対してどうこう言う気もありません。でも、少なくとも私は「作品ありき」です。たとえ推しが声をあてていても、作品自体に興味や魅力がなければ、「観たい」という気など起きません。ドラマや映画も同じです。「内容には惹かれてないけど、好きな俳優が出るからとりあえず観よう」とは全然ならない。

 

だから、「推しの出演作は全部チェックする」という友人を、純粋にすごいなぁと思っています。彼女に「駄作に出てる推しの姿なんて、私は見たくないけどねぇ」と言ったら、「いやいや、“駄作でも全力で頑張ってる推し”は逆に貴重だよ! めっちゃ萌えるじゃ~ん♡♡♡」と返ってきて妙に納得(笑)。

私には応援している歌手・俳優・声優等が大勢いるため、“誰か1人を徹底的に推す”というのは未経験です。彼女はとある1グループを応援し続けているから、根本的にスタンスが違うのだけれど、「私ももっと数を絞ればそういう思考になるのかも」と想像して、かなり楽しい気持ちになりました。ファンクラブに入ったり、SNSを欠かさずチェックしたり、日頃から“推しのスケジュール”に合わせて行動したり。「将来的には、そういう毎日を送るのも素敵だなぁ♡」と思ったりしております、ハイ♪