女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

《小噺 十八. 誠実》

先日、お気に入りセラピストさんの一人が、とある報告をしてくれました。それは、「彼女が出来たからセラピ業を辞める」というもの。寂しい気持ちも少〜しあれど、素直に「良かったね♪」と祝福。だがしかし、次の瞬間「待てぇぇぇぇい!」と大声で叫びそうに(笑)。


「彼女とはこの先、結婚も視野に入れて付き合ってくつもり。誠実でいたいし、セラピとして働いてたこと正直に言おうと思って。なるべく早く話したほうがいいよね?」


一体全体、何を言っているんだ君は。〈心の声〉


セラピストさんは30代前半、彼女さんは20代後半。話を聞く限り、2人とも一般的な家庭で育った模様です(ちなみに彼は都内、彼女は地方出身)。私は「いやいや…彼女、割と保守的な県の出身じゃないか。しかもセラピはあくまで副業&現状バレてないわけで、自ら明かそうとする意味が全く分からん。言わんでよろし」と思ったけれど、ここはぐっと我慢(笑)。自分の意見を述べるというよりは、彼とじっくり話をして、「選択肢は他にもある」「“誠実=最良”とは限らないかも」と“考えの幅”を広げてもらえるよう誘導する作戦に出ました。


・もし逆の立場だったら…つまり、彼女が「実は風俗嬢をしていた」と突然伝えてきたら、あなたは丸ごと受け止める自信があるか?

・自分の親にさえ明かしていない秘密(←風俗店勤務の事実)を彼女と共有するってことは、言い方を変えれば「秘密を共に背負わせる」ってことになる。それを理解した上で「正直に話す」と言っているのか?

・嘘偽りなく何でも打ち明けることが、本当に“お互いの幸せ”につながると思うか?──etc.


私は彼女と会ったことがないため、人柄や性格等、詳しいことは知りません。仮に全てを打ち明けたとして、「隠さず話してくれて嬉しい」と感じるかもしれないし、「自分の胸にしまっておいてほしかった」と感じるかもしれない。それは彼女にしか分からないことであり、プラス、“その時感じた気持ち”は将来的に変わっていく可能性だって結構高い。だから、「何事もやってみなくちゃ始まらない」(セラピストさん談)ことは確かにその通りというか、どう転ぶかを頭で想像したって何にもなりません。

ただ、今回のケースは自分だけの問題ではなく、相手や周囲をも巻き込んでしまう事案です。こういう時、彼の「誠実こそ正義!」みたいな思考は若干危険というか、「それ一辺倒って…」感もあるんですよねぇ(汗)。もうちょっと柔軟性があったり、己の「誠実な言動」が周り、或いは“未来の自分”に与える影響を何パターンかイメージ出来たりすると、もっと上手く立ち回れるような気がします。


人に対して誠実だったり、正直だったり。それはもちろん良いことだし、紛れもなく長所だと思います。けれど、時にはその正直さが仇となり、意図せず誰かを傷付けてしまうとか苦しめてしまうとかも、少なからずある。その現実は、頭の隅に置いておいたほうがいいかな〜と感じました。

世の中には、交際相手が「キャバクラに行くのだって嫌だ。許せない」という女性も大勢います。彼女がそういうタイプじゃないとしても、「ごく普通のサラリーマンだと思っていた彼氏が、副業として風俗店で働き、不特定多数の女性とセックスに近い行為をしていた」という告白は、相当インパクトが強いと予想します。まして結婚を考えているなら、「そんなの全然気にしないよ」とは、なかなかならないんじゃないかなぁ…?


なお、[誠実]を辞書で引きますれば、「真心をもって人や物事に対すること。真面目で嘘や偽りがないこと」とあります。

真心をもって人に接するのは大賛成ですが、私は“優しい嘘”“相手を想っての嘘”なら状況次第でついてきたし、今後もついていくだろうと思います。ただし、自分は「優しい嘘」のつもりでも、万一事実が露呈した際、相手側は「悪質な嘘だ」「騙された」と捉える場合もあるでしょう。だからこそ、「嘘をつくなら墓場まで」なんですよね。私自身、「墓場まで持っていけば、嘘だったものが嘘ではなくなる」という考えです。

あ! でも私はお墓は要らない派なので、命が尽きても“墓場”というものは存在しないのか…。であれば、「墓場まで」じゃなく「屍となるまで」、ですね(笑)。