女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

ごあいさつ其ノ二

ご無沙汰しています、おかげさまで元気に暮らしております。皆さんはいかがでしょうか? どうかメンタル、フィジカルとも健康でありますように。

 

さて、やはりというか何というか、緊急事態宣言が延長されましたね。この戦いは長期戦になるでしょうが、私の周囲でも随所に変化が出てきています。

ほぼ影響がない方や、上手く方向転換して別の収入源を得ている方もいますが、仕事が立ち行かなくなった方、既に転職した方、一旦夢を諦める方が微増中です。私自身は出版社勤めですけれど、長年身を置いている(お世話になっている)のはエンタメ業界。劇場やライブ会場に足を運んで公演の模様をレポートしたり、演者さんにインタビュー取材をして、読者の方々へ生の声をお届けしたりするのが主たる仕事です。いえ、仕事「でした」。

 

現在は劇場やホール、ライブハウスが軒並み閉鎖している為、表に立つ人はもちろん、その関係者…照明さん、音響さん、出入りのお弁当屋さんやお花屋さん、ヘアメイクさん、スタイリストさん、カメラマンさん等々、裏方さん達の出番もなかなかありません。精神的にも経済的にも相当キツイとのお話を伺っておりますが、今は技術を磨いたり人脈を繋いだり新たなビジネススタイルを模索したり、それぞれが出来ることをやるしかないと感じています。

ただ、演劇や音楽などのエンタメは、文化としても“心の栄養”としても絶対に必要なものです(私の中では)。特に音楽は大好きで、小さい頃からいろんなジャンルの音楽とともに生きてきました。学生時代は演奏する側、社会人になってからは聴く側として、何度も励まされたり救われたり感動したりしてきたし、公私ともに今日までお世話になり続けています。この非常事態において、音楽や歌の優先順位が低いことは理解しつつも、自分に出来る協力やアイデア出しは損得抜きでどんどんしています。コロナ収束後に待っているのが音楽のない世界だったら悲しいし、才能溢れる方々が(望まないのに)別の道へ進んでしまうのをなるべく防ぎたいです。

 

さて、もう一つ気に掛かっているのは、これまで施術してもらったセラピストの皆さんのことです。

私は2ヵ月以上、女風の利用を控えていますが、最近になってセラピストさん達からのメールやLINEが増えてきました。今まで直接の連絡を頂いたことがない方からも、です。それは「予約をしてほしい」という内容ではなく、「苦境を一緒に乗り越えましょう」という励ましだったり「体調やメンタルは大丈夫ですか?」と気遣ってくれたりする文面。当然営業の意味合いが大きいでしょうが、誰かといたわり合えるというのは単純に嬉しいものです。一方で、「常連客じゃない私にも連絡するってことは、いろいろと厳しいのかな…。ちゃんとご飯食べれてるかな」等と想像をめぐらせてしまったりも。まぁ、大抵の方は副業としてセラピストの仕事をしておられるので過度に案じる必要はないと思いますが、中には女風が本業の方もいらっしゃいます。そういうセラピストさんのことは、やはり心配です。

 

確認を取った結果、私が利用したことのあるお店で、営業を停止しているところは一つもありませんでした(※5月6日調べ)。自身の判断により出勤を自粛されているセラピストさんも大勢おられますが、お店自体は通常運転しています。けれど、風俗は濃厚接触中の濃厚接触ですから、今時期「利用しよう」というユーザーはあまりいないはず。経営側もそれが分かっているので、新しい試みとして「電話でデート」的なサービス(非対面サービス)を開始するお店もチラホラ。私も売り上げに貢献したい気持ちはやまやまですが、今は金銭的な余裕がないし、本音を言ってしまえば…そこに使うお金があるなら、ギリギリのところで踏ん張っている歌手や演奏家、ライブハウスのほうに1円でも回したい気持ちが強いです。

 

「夫婦生活がゼロ」という現実の中、セラピストさん達には心身ともにたくさん癒やしてもらったし、今後も女風というサービスが存在し続けてほしいと願っています。でもその願いは、いわゆる“普通の暮らし”の上に成り立つものなんだと、緊急事態宣言発令(4月7日)以降、痛感しています。

 

“普通の暮らし”の概念自体、ここ一ヵ月で大きく変わりました。特に私は“生活必需品でないもの”を扱う仕事をしている為、ダイレクトに影響を受けています。今後の出版業界、エンタメ業界は、根幹から大きく変わっていくことでしょう。変わらない企業、もしくは変わる努力をしない企業は淘汰されていくだろうなとも思うし、私自身も諸々順応していく必要があります。記者という仕事は大変楽しく天職だと思っていますが、職を変えることも視野に入れ始めました。ただ、変化することは昔から好きなので、この機会を割とポジティブに捉えています。

 

私にはいくつか趣味があります。旅行、音楽鑑賞、映画鑑賞、読書、写真、ヨガ、マッサージ、お香、カフェめぐり等々。今までは「どれも大好き!」と思っていたけれど、自粛期間に入ってから、“好き”にも順位があることを自覚しました。出版社の人間が言うことではないかもしれませんが、本は毎日読まなくても支障がないけれど、無音で過ごすのはたとえ一日でも耐えがたい。外出しようとしまいと、音楽を聴かない日はないし、仮に「鼻歌禁止令」を出されたらストレスで発狂する自信があります。音楽のない世界なんて、想像しただけでも泣きそうになるし心底イヤだ。それに比べたら、お気に入りのカフェに行けないことや、異性との性的な交わりがないことは、寂しいけれども「耐えがたい」とまでは言えません。もちろん、美味しいコーヒーを飲んだり、誰かと触れ合いたい欲求はあります。でも、それらが第1位ではないことが、この状況に置かれてはっきりと分かりました。

 

コロナがある程度収束したとしても、この世界はもう“元通り”になることはないでしょう。働き方、考え方、価値観…少なくとも、私は実際、既に以前と同じ私ではなくなりました。この先、女風を利用できるのかどうか、そして風俗業界自体がどうなってしまうのか、皆目見当がつきません。何事もなかったかのように営業する、闇営業する、廃業する…こうして文字にしてみると、どれも現実的であり非現実的でもある気がします。とにかく今は、地球全体が混沌としていて、先行きが全くもって分からない。もともと“未来がどうなるか”なんて知らずに生きてきたはずなのに、これまでに感じたことのないこの気持ちは一体何だろう? 不安とも恐怖とも違う、得体の知れない未知の感情。人類全体に大きな課題が与えられているようにも思うし、広い宇宙から見れば大した出来事ではないようにも思う。あぁ、何を書いているのか、自分でもだんだん分からなくなってきました。やっぱりちょっと疲れてるのかな、もう寝よう(笑)。

 

私は家に居ることくらいしか出来ませんが、それが自分の、そして誰かの命を守ることに繋がるのなら、明日も喜んで家に居ます。私も夫も、おかげさまでとても元気です。ありがとうございます、おやすみなさい。