女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

「マスクdeお見合い」ならぬ「マスクde名刺交換会」

本日、ものすごく久しぶりにお得意先へ行ってきました。その会社は、緊急事態宣言発令以降、「申し訳ありませんが訪問はご遠慮ください」という方針を発表していたため、直接伺うことが叶ったのは実に3ヶ月ぶりです。コロナ前までは受付嬢が笑顔で迎えてくれ、ゲストパスを手渡してくれるシステムでしたが、今は「アルコール消毒をお願い致します」の文字と、あらゆる除菌グッズがカウンターに置いてあるだけ。消毒後、自分の携帯で担当者に電話をし、ロビーまで迎えに来てもらいます。

 

エレベーターに乗って目的のフロアに着いたら、扉の前で再度消毒。中へ通されると、元々広かった応接兼打ち合わせスペースが更に広くなっていました。「椅子とテーブル、半分以下に減らしたんですよ。それでも数は全然足りてます。以前は場所の取り合いだったのに、こんなに余っちゃう日が来るなんてねぇ…」。この広大なスペースを利用している人は、私達の他にはたった一組しかおられません。人が少ないと余計広く感じるけれど、これはこれで素敵な空間でした。一瞬、“ココと同じくらい広い家に住んでいる自分”を妄想して楽しくなりましたが、「家が大きかったら、その分掃除も大変だろうな~」とすぐ現実に引き戻されました(笑)。

 

いくつかの用件が全て済み、「ではよろしくお願いします」と席を立つと、「あ! ちょっと待って。まだ時間大丈夫ですか?」と担当者。「紹介したい人がいる」そうで、このまま少し待つように言われました。高層階だったため、外の景色を眺めつつ待機していたら「すみません、お待たせしました」の声。振り返ると、見知らぬ方を3名、連れています。「今日、ちょうど出社日でして。今年入った新人です。ほら、みんな自己紹介して」。

 

聞けば、全員「出社するのは今日で数回目」だそう。そうか、4月入社ってことは、入って1週間で緊急事態宣言が出されたわけか…。なかなか特殊な例だよなぁ。うち1人は地方組で、「上京して以降、“いかにも東京っぽい場所”には一度も行っていません。親も大変心配していますが、憧れの会社だったので説得して故郷を出ました」とのこと。尋ねたところ、彼の出身は感染者の少ない県。親御さんからしたら、出来れば上京してほしくないのが本音でしょう。どちらの気持ちも理解できます。

 

それはそうと、ああいう名刺交換は生まれて初めてでした。お互いマスクをして、顔もよく分からないままに挨拶して会話を交わす。こちらは「新人だ」と聞いているから大体の年齢が分かるけれど、あちらは(私のことを)どうにも予想しにくかったろうと思います。だって、新人さん達のほうがよほどしっかりした服装をしているし、みんな上質で真新しい名刺入れも持っている。一方の私ときたら、「雨で裾が濡れるとイヤだから」とふくらはぎあたりで適当に絞ったサルエルパンツに、汚れてもいい安価なリュック…(泣)。担当者とは旧知の仲ということもあり、「今日は緩い服装でオッケー!」とこのスタイルにしてしまいましたが、突如名刺交換会が始まるケースもあるんですね。今後気を付けねば。

 

それにしても、シャイな方や、まだ名刺交換自体に慣れていない方の場合、マスク越しだと何やらモゴモゴしがちで声が拾いづらいですね~。正直、3名のうち2名は名前さえも聞き取りにくく、かと言ってむやみに近づくわけにもいかないので、コミュニケーションを図るのに苦労しました。お顔の全貌が分からないから、次回会っても判別できるかどうかの自信はありません。これならむしろ、オンラインでお互いの顔をしっかり見ながら話したほうが仲良くなれそうな気がします。

 

さて、突然の「マスクde名刺交換会」を終え、ふと思い出したものがあります。それは、少し前に話題となった「マスクdeお見合い」。

 

あれって向く人には向くんだろうし、需要があるからこそ誕生したサービスなんだろうけど、もし私が婚活するなら「やっぱり顔を見て話したいと思うだろうな」と感じました。なぜかと言うと、私にとっての「顔」は造形のみならず、表情や笑い方等いろんなことを含めた総合的な意味を持っているから。異性間でよく「内面重視」と言うけれど、そもそも外見がある程度好みじゃないと中身を知ろうとは思わないし、何だか二度手間な気がしてしまうのです。例えば、散々話して内面に魅力を感じ、見事カップルになったとしましょう。いざマスクを取った後で「あ…」と思ったらどうするんだろう? 正直に「お顔がタイプじゃないので」とか、「想像と違ったので」とかってお断りするのかしら。さすれば当然その逆もあるわけで、「中身は良かったけどルックスが…」と断られた場合、私なら結構な痛手を負うと思います。だったら、外見も内面も同時に見せ合ったほうが傷付きにくいし、効率だって良いんじゃなかろうか? それとも、自分が一切人見知りしないタイプの人間だからそう思うだけなのかな(笑)。

 

このご時世、男女ともにデフォルトでマスクをしているでしょうから、わざわざ銘打たずとも大抵“マスクde婚活”になると思いますが、皆さんどのタイミングでマスクを外すんだろう。そして私は、新人さん3名のお顔を、一体いつ拝めるのでありましょうか。仮に拝めたとしても、今日と同じ服装&髪型でいてくれないと気付けない可能性が…。もし「初めまして」と挨拶してしまったとしても、どうか寛容な心でお許しくださいませね。