女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

マスコミのあり方、自分のあり方

昨日(7/18)は、近所のデパートに買い物へ。帰宅後、15時頃から「録画しといた番組観よう♪」と、テレビの前でゴロゴロ。あったかいお茶を飲みつつ、ミニドラマ「きょうの猫村さん」(テレビ東京)を観てほっこり。観終わってもテレビをつけっぱなしにしていると、画面上部に「ニュース速報」の白い文字が。「コロナ関連?」と思い注視していたら、「俳優・三浦春馬さんが死亡。自殺とみられる」と表示されました。「ん? 見間違いかな? 私、そんな間違いするほど疲れてないはずなんだけど…一応確認するか」とネットを開くと、残念なことに事実の模様。好きな俳優さんの一人だったので、「嘘でしょ⁉︎」「なんで⁉︎」という思いが駆け巡りました。でも、だんだん「亡くなった」という事実が重くのしかかってきた。すごくショックで、ただただ悲しく、気付いたら涙が止まらない状態でした。自分でもびっくりするほど動揺していたため、気持ちを落ち着かせるべくお風呂へ直行。無心で掃除をし、お湯をため、湯船に浸かって頭を整理。そうでもしないと、この速報を冷静に受け止められないと感じました。

 

お風呂から出ても、数時間は三浦さんのことを考えないようにしていました。けれど夫が帰ってきた時、伝えないわけにはいかなかったので、再び考えざるを得ない状況に。夫はドラマ「ブラッディ・マンデイ」(TBS)で三浦さんの演技に魅了されたそうで、以来彼の出演作は結構観ていたようです。昨年は映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」を一緒に観に行きました。映画館から出る際、「ジェシー(三浦さんの役名)めちゃくちゃカッコ良かったね~!」(私)、「うん。彼のスピンオフがあってもいいくらいだよね」(夫)という話もしたのに、その人がもうこの世にいないなんて…。

 

頑張って涙を止めて、一通りの報道を確認してみました。でも正直なところ、まだ三浦さんが自殺したとは信じられません。分かっているのは、自宅で首を吊ったということ、遺書らしきものが発見されたということ。この2点だけでは、自殺という断定は出来ないと思います。そして所属事務所(アミューズ)さんが「現在、事実を確認中」と発表している以上、確認作業が終わるのを待つしかないと思っています。今、憶測でものを言っても仕方がない。現時点ではっきりしている事実は、「彼が亡くなった」ということだけです。

 

一通りの記事に目を通して心底がっかりしたのは、多くのマスコミが三浦さんの自宅前に集まっていること、そして当然のように自宅の写真をアップしていること、憶測や予想で記事を書いていること。亡くなった人に鞭打つような行為を、なぜ平気で出来るのか。私もエンタメ系雑誌の記者ですから、大きく分ければ彼らと同じくマスコミの人間です。でも志は全く違うし、彼らの心情はちっとも理解出来ません。

 

この業界に入って驚いたことの一つに、“マスコミ内格差”があります。歌手や俳優、タレントなどを囲み取材する際、“暗黙のルール”的なものが存在するのです。

一番優遇されるのがテレビ(ワイドショー等)、次が新聞(スポーツ紙)&週刊誌、最後が一般誌(専門誌等)。私は専門誌の記者なので待遇は一番悪いですが、それに関しては悔しいけれど納得もしています。発行部数で負けている以上、“人の目に触れる数”が違うのだから冷遇されても文句は言えない。ただ、ワイドショーやスポーツ紙の方々が繰り出す質問の内容には、いつも辟易しています。

 

例えば、コンサート前の取材なのに、歌や演出のことはほとんど訊かず、「最近恋愛のほうはどうですか?」などとどうでもいい質問をする。或いは、時事ネタや“その時話題になっている別の著名人”についてコメントを求める。要するに、“面白く映りそうなこと”や“見出しになりそうな言葉”を引き出したいわけですね。「彼らは彼らの仕事をしているだけ」と言えばそれまでですが、私はこの時間が本当に嫌いだし「無駄だなぁ」と思っています。なので、先方のスケジュールが許す場合は「3分だけ下さい」と個別に時間を取ってもらうようにしています。こちらは専門誌ですから、読者が知りたいのはコンサートの中身や見どころについて。恋愛話は、ロングインタビューの際や、そういう内容の歌を発売した時にじっくり訊けばいい。歌手側だって、コンサート前に話したいのは“歌”のことでしょう。でも、歌について詳しく書くのは専門誌くらいで、電波に乗るのは大抵無関係な話。その“無関係な話”のほうがより多くの人へ届いてしまうため、何やら虚しく感じることもたまにあります。もちろん、「私たちはちゃんとお届けしなくちゃ‼︎」という使命感もありますけどね。

 

さて、三浦さんの自宅前で張っている方々へ。事務所さんからの正式発表があるまでの間、大人しく待っていることは出来ないでしょうか。もうそろそろ変わりませんか。そのスタンスでお仕事していて、本当に楽しいですか。私は書くことが大好きですが、もしも亡くなった人に鞭打つような記事を書けと言われたら、そんな職場はすぐ辞めます。自分が大好きな“書く”という行為を汚されたくないし、誰のことも汚したくない。たとえきれいごとだと言われても、「きれいごと上等!」と返します。

 

時にペンは剣より強くなり得るからこそ、細心の注意を払い、敬意を持って綴るべきだと思っています。文字の力は想像以上に強いので、良い方へも悪い方へも導くことが出来てしまう。記者…いえ、マスコミというのは、それくらい責任の重い職種だと考えています。

 

最後になりましたが、三浦春馬さん、素晴らしい作品の数々をありがとうございました。本音を言えば、今後ミュージカルや歌のステージを生で拝見できる日が来るのでは?と楽しみにしていました。すごく悲しいけれど、どうぞ安らかに──。