女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

投げ銭ライブ

先日、前職でお世話になった方々とzoom会議を行いました。参加者は、ある制作会社の社長、ライブハウス経営者、某歌手のマネージャーさん、私。「少し前から始めた投げ銭ライブ(配信)を、この先もっと充実させていきたい」ということで話し合いの場が設けられ、私にもお呼びが掛かったのです。


ライブハウス経営者は場所提供(お客を入れてのライブ及びイベント開催は当分難しいため、「レンタル業にて生き残りをはかっている最中」だと言っていました)、制作会社社長はノウハウの提供や機材の貸し出し。そして私は元雑誌記者としての“腕”の提供…といえば聞こえはいいけれど(笑)、つまり“何でも屋”要員ですね。写真を撮ったり、メンバーのコメントを取って短い記事を書いたり、女性目線でちょこっとアドバイスをしたり(スタッフは皆男性なので)。


さてさて、某歌手は4人組(ちなみに若手のメンズ)です。既に数回投げ銭ライブを実施していて、ファンにも好評&ギリギリ黒字なんだとか。ただ、「回を重ねるごとにファンから増してきた要望が2つある」と。一つは「推しのアップ映像が見たい」、一つは「写真のクオリティを上げてほしい」。


高価な撮影機材を使っていても、それを扱うのはプロではなく事務所のスタッフさんです。まして4人組なので、基本は(全員が映るように)引きのカット。一人一人の細かい表情までは追えないだろうから、個々についているファンが「推しのアップ」を求める気持ちはよく分かります。されど、1人のメンバーにフォーカスし過ぎると、彼のファンは満足しても、他の3人のファンはその間退屈してしまう可能性がある。なるべく4人均等にしないと…なども考慮した場合、「それぞれのアップ映像は(現時点では)あまり現実的ではない」と結論付けたんだそう。


そして「写真のクオリティ」というのは、配信後にアップする“ライブで熱唱しているショット”や“トーク中の笑顔ショット”等に関して。過去のアーカイブをチェックしたところ、どれもスマホで撮ったものなのですが、正直申し上げて「今のスマホの性能で、逆によくこういう写真撮れますねぇ」というような低~いレベル(汗)。加えて女性ファンを意識した写真が撮れていないため、せっかく“若手メンズグループ”なのに、その特性を活かしきれていません。彼ら自身がSNS等で発信している自撮りショットは、カッコよかったりあざとカワイかったりするのだけれど、そことの差がだいぶ広い(笑)。本来は“ライブで一番輝きを放つ”のが歌手なのに、そのライブショットが自撮りショット(もちろんゴリッゴリに加工済みですけどね♡)に負けているようでは、この先厳しいやもしれない…。


「僕たちもそういう危機感はあるんだけど、いかんせんライブハウスでの撮影(←通常の人物撮影と比べて難易度高め。理由は光量が足りない、照明が次々変わる、マイクと顔がカブる等)に対応できる人間が身内にいないんだ。恥ずかしながら、今の収益ではプロカメラマンを雇う金銭的余裕もない…。だから君の力を貸してほしい。よろしく頼みます」


上記は、入社当時から16年間お世話になり続けた、制作会社社長の言葉です。彼の頼みを断る理由など一つもないし、大好きな音楽業界の役に立てるなら喜んで協力します。幸いにも、今私、すっごくヒマですし(笑)。いやはやしかし、“路上じゃない投げ銭ライブ”が手軽に出来るなんて、デジタルの進化というのは素晴らしい&ありがたいですね。


それはそうと、投げ銭ライブは良いことが多いけれど、お三方の話を伺い「課題もあるな」と感じました。リアルタイム配信するので、メンバーがファン(視聴者)のコメントを拾ったり、即座に反応できたりするのが魅力の一つですが、ファン同士の無用な争いというか、無駄な対抗心を生んだりもしてしまうんだそうです。お金が絡んでくると、何事も厄介…。


投げ銭の額が多い人のコメントは大きく表示されたりして目立つので、たとえそれをメンバーが拾わなくとも「あの人、また多額の投げ銭をした」というのは全視聴者に伝わります。すると「負けたくない」とか「私も」という感情が芽生える人も少なからずいるようで、本来の「彼らを応援したい」という気持ちとは違う方向へむかってしまったりもする。制作会社社長が言うには、「他は知らないから彼らに限っての話だけど、特に若い世代で顕著かもしれない。こちらとしてはたくさん投げ銭してくれるのはありがたいが、同時に心配にもなる。もしかして、バイト代を全部つぎ込んでるんじゃないか?とか、画面上で投げ銭することに慣れちゃって、お金に対する感覚が麻痺してしまわないか?とか」。


社長には19歳の娘さんがいるので、同年代の女性たちのことを案ずるのも当然でしょう。仮に月のバイト代が3万円だとして、その中から計1万円を投げ銭した場合──。20代の平均月収を25万円とすると、25万円(手取りはもっと少ないですが)稼いでいる社会人がする“1万円の投げ銭”と、バイト代3万円の学生がするそれとでは、意味合いが大きく異なります。投げ銭自体は何の問題もないけれど、やはり“身の丈に合った額”というのがあると思う。


今まで私が観てきた配信ライブは、決まった金額(例えば一律4,000円とか)のチケット料金を払って視聴するものがほとんどでした。なのでライブ中は本人の歌やトークに集中しており、他の視聴者のことなんて全く意識しなかった。けれど社長が「そういうライブとはまた性質が違うと思う」と言っていた通り、名称は同じ“配信ライブ”でも、根本的に別物と思ったほうがいいのかもしれません。嗚呼、実に興味深い。


撮影を依頼されたライブ当日までは、まだ少し時間があります。その日までに、“投げ銭ライブ”についてもっともっと勉強しておこうと思います。いや~、新しいことを知れる、経験させてもらえるって、やっぱり心がワクワクするなぁ♪