女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

脳内リコカツ

現在放送中のドラマ「リコカツ」(TBS)を、毎週楽しく観ています。リコカツとは“離婚活動”の略。婚姻関係にある男女の両方、またはそのどちらか一方が、離婚に向けて諸々の準備を進める活動のことです。ドラマはフィクションだし、視聴者を3ヶ月間飽きさせない工夫が必要ですから、すったもんだ、二転三転いろいろございます。でも、時には現実のほうが興味深いというか、ある意味恐ろしかったりする…場合もある。音もなくじわじわ、けれど長い時間をかけて、着実&確実に準備を整える──。


20年来の友人・Aのケースが「もしやそうかな?」と思います。Aは、私と同じく現在アラフォー。彼女から、「熟年離婚する計画を水面下で立てている」と、少し前に打ち明けられました。


随分若い頃より、「人生における2大目標」を掲げていたA。一つが「税理士になること」、そしてもう一つが「2人以上子供を産むこと」だった。彼女は脇目も振らず勉強し続け、税理士試験に見事合格。その後はベテラン税理士のもとで実務経験を積み、やがて「自分の事務所を構える」という大きな夢を実現させました。そして、30歳で現夫とめでたく結婚。希望通り2人の子供に恵まれ、「忙しくも幸せな日々を送っているんだろうな」と思っていた。


でも、1年くらい前…すなわちコロナ禍となってから頻繁に連絡をもらうようになり、A家の内情を知りました。旦那さんとも面識があるけれど、私が(勝手に)描いていた人物像とはだいぶ隔たりがある模様。「家事を全くやらない」という話はそれまでにも聞いていましたが、実態はさらに深刻なようです。


①Aが風邪を引いたり、体調を崩したりして寝込んでいても、一切看病しない。それどころか、「いつまでダラダラしてるつもりなの? 俺のメシは?」と叩き起こす(用意してほしい食事はあくまで「俺の」であり、「子供たちの」ではないところもポイント)。

②Aのほうが高収入だとはいえ、住宅ローン以外のお金(生活費や教育費、突発的な出費等)を1円たりとも払わない。

③上手くいかないことがあると、すぐ「お前らのせいだ」と子供たちに八つ当たりする。

④Aに対して絶対に謝らない。家族に「ありがとう」と言ったことが一度もない。

⑤外面だけは、ものすっごくいい。


「いや、完全にモラハラ夫じゃん!」と思いましたが、A自身は「モラハラまでは行ってないけど、旦那の言動にいちいち左右されてたら私のメンタルがやられる。だから、旦那の機嫌が悪い時は基本無視することにしてる」と“やり過ごす術”を身につけている様子。であれば、私が口を出す必要はありません。じっと話を聞き、「どう思う?」と訊かれた時だけ意見を述べればよい。


仮に私が独身だったら、食い気味に「何でそんな人と暮らしてるの⁉︎    経済的余裕もあるんだし、今すぐ別れなよ。時間の無駄だよ」的なことを言ってしまったんじゃないかと予想します。けれど約1年半前に結婚し、自らも“人に言えない事情”を抱えている今は、Aの話に「うんうん」と頷き、「分かるよ」「大変だね」と共感することができる。一つ問題があるからといって、すぐさま別れる…とはならないし、“現時点での離婚”が最善の策とも限らない、と思うからです。


例えば。Aも旦那さんも都内に実家があるけれど、Aの家にはお兄さん夫妻と子供たちが住んでいます(ご両親と同居中)。プラス旦那さんの実家が割と近いため、週に何度か子供たち(小学生&幼稚園生)を預かってもらっているそう。「それは本当に助かるし、子供たちもじぃじとばぁばに懐いてるから、旦那の実家を失うのはマイナス」と考えている。そして、将来的に「中学受験をすると思う」ので、シングルマザーより両親が揃っていたほうが都合がいい。「だから今離婚するのは得策じゃない」と、Aは大変冷静に語っていました。


「それにね」とAが続けます。「旦那を放り出すのは、子供たちのことを除いても『何十年か後のほうがいいだろう』と思ってるんだ。旦那は私より6つ下だし、見た目もまだ保ってるから今だと再婚できちゃうかもしれない。でも、家事能力ゼロ、稼ぐ能力も低い50〜60代の男の面倒なんて誰も見ないでしょ? 私はそうなってから…つまり“一番ダメージが大きい状態”になってから旦那を捨てるつもり。まぁ、長期的な復讐計画だよね。そう考えると腹も立たないっていうか、むしろ楽しいよ。『家事できないと将来困るのに、給料全額趣味に注ぎ込んでたら将来困るのに。この人、自分で自分の復讐計画に加担してるw』と思って楽しくなるんだ〜♪」


な、なるほど…。スゴイというか怖いというか(笑)、ともかくエネルギッシュだなぁと感じました。子供たちへの影響(妻を看病しない夫、夫を無視する妻を見てどう育つのか)は多少気になりますが、A自身がそれでいいなら、私が言うことは何もない。


「結婚前は優しかった」という旦那さんが、どうして今みたいになってしまったのかは謎だけれど、「何度注意しても態度を改めないし、逆ギレする&大声出したりして面倒くさいからもう止めた」そうなので、既にいろいろと諦めているのでしょう。確かに、モラハラ気質の人は、いつまで経っても変わらないことが多いのかもしれません。私の父が、まさにそうだもの。何十年もずーっと偉そうだし、今も昔も“家の中でだけ”威張り散らしている。何も成し遂げていない人ほど、そういうものなのかもしれないなぁ…。自信がないからこそ、虚勢を張っていないと生きていけないのかな。可哀想に。


当初はお互いに好きで結婚したはずのAと旦那さん。それが、数年後には復讐計画を立てる側と立てられる側になろうとは…夫婦って、人生って、本当に分からないものです。「子供は一人では作れないから、その点は感謝してる」と言うので、Aは旦那さんのことを心底嫌いとか憎んでいるとかではないんだと思います。本当に熟年離婚するかどうかだって分からないというか、正直言って結構怪しい(笑)。でも、「ダメージ大のタイミングで旦那を捨ててやる!」と内心思うことでメンタルが保てるなら、“精神安定剤”を自ら投与するのは良いアイデアだなぁと思いました。なかなか上手い“逃げ道の作り方”じゃないでしょうか。私の場合はそれが女風だけれど、人にはそれぞれ、“その人なりの逃げ道”があるのかもしれません。そういうものがないとやってられない時って、誰にでもありますものね。


逃げ道や心の拠り所等、“息抜き可能な場”を作っておくのは、老若男女問わず、すごくすごく大事なことだと考えています。前にも書きましたが、逃げることが恥だとは全然思わない。私は断然、「逃げるが勝ち」派です!