女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

夫の性&結婚のメリット

もしかすると、夫はアセクシャルなのかもしれないなぁ──。

今月10日より始まったドラマ「恋せぬふたり」(NHK/月曜22:45〜23:15。北京五輪中継による休止あり)を観ながら、ぼんやりそう思いました。「恋せぬふたり」は、共にアセクシャル(=他者に性的欲求を抱かないセクシュアリティ)の男女が、その名の通り“恋をしない”物語。今のところ、2人の周囲には「恋しない人間なんていない」という考えの人達しかおらず、彼らのセクシュアリティは理解も共感も得られていない様子です。


私自身は、「アセクシャル」という言葉及び意味はしっかりインプットされていたものの、“たとえアセクシャル同士でも、自分と全く同じタイプの人と出会うことはほとんどない”ことは知りませんでした。

調べたところ、実に細かく分類されているようです。ロマンティック・アセクシャル(恋愛感情は抱くが性的には惹かれない)、アロマンティック・アセクシャル(恋愛感情も性的欲求も抱かない)だけでなく、性的嫌悪がある人もいれば全然ない人もいるし、“心から信頼できる相手や絆を感じている相手とならセックス可能”という人もいるんだとか。当事者の皆さんが発信しているYoutubeSNSを多数見ましたが、「軽く触れられるのも嫌」「ハグは大丈夫」「恋愛感情は抱くけど、その人から同じ感情を向けられる(相思相愛になる)ことは望まない」等、本当に十人十色。知れば知るほど、めちゃくちゃ奥深そうな世界だな〜と思いました。


さて。プロフィールにも記載してある通り、私は夫と交わったことが一度もありません。付き合って数ヶ月後に「今は性行為が出来ない」こと、「いつ出来るようになるかは分からない」ことを告げられ、それを了承した上で結婚しました。最初は心底辛かったけれど、女風を利用するようになって、性欲が解消できたり、「夫との性生活がゼロ」という事実をセラピストさんに打ち明けたりしているうちに、メンタルが安定。現在は完全に割り切れているため、“夫の性”への関心そのものが薄れたといいますか、例えばEDであれゲイであれアセクシャルであれ、何でも構わないと思っています。性にまつわることで、彼が私に何か隠しているとしても、「全てを洗いざらい話してほしい」とも思いません。

私がそういう思考でいられるのは、「女風というサービスが存在するから」に他ならないけれど、大きな理由がもう一つ。日々、「結婚して良かった」と感じているからです。

 

私は「家庭を持ちたい」と思ったことはないし、今の生活も、純粋に「結婚したい」と願って得たものではありません。36歳で大失恋した直後、「自分を見失うほどの恋は、もうしなくていい。次は、穏やかで安定した関係性を築けるような相手を見つけよう」と決意。「それなら、『恋人募集中』より『結婚相手募集中』としたほうが、相応しい男性と出会える確率が上がるかもしれない」。そう考えて行動した結果、出会ったのが現在の夫でした。

 

幸いなことに、夫とは“思い描く暮らしのビジョン”がほぼ一致しています。子供をもうけないとか、家計&家事は折半とか、相手の生活リズムを崩さないとか。よって、この結婚による明らかなデメリットは私の改姓くらい(←私は夫婦別姓希望者なので)。あとは、お互い一人暮らしの時より安い料金で広い部屋に住めて、「家に誰かが居てくれる」という安心感もあって、諸々の控除もあって…つまりメリットしかないわけですね。そして、結婚してみて初めて、「この国のシステムは、独身者よりも既婚者のほうが生きやすいように出来ている」と感じました。

 

夫はバツイチ。34歳で離婚して以降、7年間独身だったのですが、「近々再婚します」と伝えた時、周りの方々(会社の同僚やお義兄さん等)からものすご~く祝福されたそうです。同時に「ホッとした」んだとか。「先輩方もそうだけど、特に後輩たちが気を遣ってくれてること分かってたから…。ランチの時とか、僕の前ではなるべく家族の話題を避けてたと思う。今は気兼ねなく話してくれて嬉しいし、『みんなに気を遣わせてる』っていう罪悪感もなくなって、雑談がしやすくなったよ」。

夫はこれ以上深い話はしなかったけれど、彼の勤務先はいわゆる大手なので、中小企業でしか働いたことのない私には分からないような「“見えざるプレッシャー”的なものが存在するのかもしれない」と思いました。アラフォー男性の場合、結婚指輪をしていたほうが信頼されやすかったり、安心感を与えやすかったり、もっと言えば昇進とも無関係ではなかったり。まぁ、直接確認したわけじゃないから想像の域を出ませんけどね(汗)。

 

一方私はと言いますと、彼との交際当時、出版社でエンタメ系雑誌の記者をしていたこともあり、周囲は独身だらけ。たまに「結婚しないの?」と訊かれても、「さぁどうでしょう?」とか「明日しまーす♡」とか「プライベートな質問は事務所を通してくださいね♪」とか、至極適当に(笑)答えて終わり。業界の性質上、真剣な返答を求めている人もそんなにいなかったので、気遣いとは無縁というか、“そのやり取り自体がコミュニケーション”みたいな感じでした。だから夫の話は新鮮だったし、興味深かった。そして、「私だけじゃなく、彼にもメリットがあって良かった」とも思いました。

 

夫は、これまで付き合ってきた殿方とはタイプが違うというか、はっきり言ってしまえば真逆です。明るくて社交的で、よく笑ってポジティブで、少し強引──歴代の彼氏たちは、みんな上記のような感じでした。そのうち2人とは、同棲も経験した(1人は約7年半、1人は約1年)のですが、どちらも毎日賑やかで、家に居る時は大抵イチャついたりキャッキャとお喋りしたりしていたため、夫と暮らし始めた時はだいぶ驚きましたねぇ。「ひょっとして、私は一人暮らしなのでありましょうか?」と錯覚してしまいそうなほど静かだし、イチャついたりはしゃいだりも皆無。もちろんそれなりに会話はあるけれど、“くだらない話とかどうでもいい話とかで大盛り上がり♪”みたいなことはナシ。長年、「会話はコミュニケーションの基本!」だと思って生きてきた私は若干戸惑いましたが、今は慣れたし、「平穏な結婚生活を長く送るためには、これくらいの距離感とテンションがちょうどいいのかもな〜」と思っています。

 

夫とは、同じ事柄に対しての捉え方や感じ方が全く違うことも多く、一緒にいて面白いです。“自分と異なる感覚の人”と暮らすと、思いもよらない発見があったり、視野が広がったりする。私にとっては、それこそが「結婚の最大のメリット」と言えるかもしれません。