女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

ステルス機能

 “自分のことなのに、人から言われるまでちっとも気付いていなかった事実”って意外とありませんか? 例えば、ついつい出てしまう口癖とか、「キッチンでお皿洗う時、いつも謎の鼻歌うたってるよね〜」とか(笑・夫談)。

私の中で「そのうちの一つかな?」と思うのが、“無自覚に気配を消す能力がある”ということ。

 

これは学生時代からちょいちょい言われていたのですが、社会人になって、より頻繁に指摘されるようになりました。私自身は何も意識していないのに、声を掛けると「うわぁ! びっくりした‼︎ 驚かせないでよぅ」「気配消すのマジでやめて~」「今急に現れたよね⁉︎ どっから登場したの?」「足音全然しなかったよ!」等々、結構な頻度で言われる。

私は格闘技もやっていないし、スパイでも忍者でもごさいませんゆえ(笑)、“気配を消す特殊訓練”を受けた経験は皆無。にもかかわらず、かなりの人数に指摘されるということは、実際そう感じる人が多いのでありましょう。

面白いので、必要以上に驚かれた場合「セルフ迷彩発動!」とか言っていたのですが、ある先輩から「迷彩っていうよりステルスに近いんじゃない?」と助言いただいて以降、“ステルス”のほうを採用。驚かれる度に「お伝えしてませんでした? 私ってステルス機能搭載してるんですよ~♪笑」的なトークで場を和ませてもらっております。

 

そして。気配とは違うかもしれないけれど、昔から新しい職場、新しいコミュニティでも“素早く馴染む”のが得意です。周りからも、「馴染むの早くない?」「違和感なさすぎ」「随分前から居た感じする」等々言われてきました。それは、私の社交性や人見知りしない性格、誰にでも自分から挨拶する姿勢…そういう部分が影響しているのだろうと思っていた。でも最近、「これも一種のステルスなのかもしれないなぁ」と考えたりしています。

 

以前詳しく綴った通り、私は毒親のもとで育ちました。父が典型的なモラハラ男だったため、家族(母・私・妹)は日々、息を潜めて…いえ、息を殺して生活していたように思います。長年そうやって暮らしてきたせいで、いつの間にか「自然と気配が消える体質になったのでは?」と予想。気になって妹に確認してみたところ、「気配? 私すぐ察知されるよー」と返ってきたので、予想は大ハズレの可能性もありますけどね(汗)。

 

ただ、「仕事をする上では、ステルス機能があって良かったな」とも感じています。

私は前職で16年間、エンタメ系雑誌の記者をしていたのですが、その間“気配を消さないといけないシーン”が存外多かった。ライブであれ舞台であれ映画であれ、いずれの現場も“邪魔にならないこと”が非常に重要です。集中して仕事をしている演者さん、及び各スタッフさんの邪魔をせず、且つきちんと取材を遂行する必要がある。そういう意味では、「気配を感じさせない」というのは強力な武器になりました。

現場では、変に悪目立ちする記者より、「居るんだか居ないんだか分からないけども記事はちゃんと出来てる」記者のほうが、当然ながら重宝されます。不思議なもので、たとえ全身真っ黒い服を着ていても、目立つ記者というのは目立つし、バリバリに気配を感じてしまうんですよね。

その点、私は“自動ステルス搭載済”ですからして(笑)、「まぁ君ならOK」とすんなり取材許可を頂けることも珍しくなかった。それを羨んだ他誌の記者に、「どうやって気配消してるんですか? 方法教えてください!」と訊かれたことも数知れず。当時はよく分からなかったので、「いや、多分生まれつきだから方法とかは特にないです。お役に立てずすみません」と答えていたっけ。嗚呼、懐かしや。


そんなわけで、「何が武器に化けるかなんて分かんないもんだな」と強く実感しましたねぇ。思春期の頃、「私ってそこまで存在感薄いのか…」と凹んだことも何度かあるけれど、角度や視点を変えてみれば“大いなるアドバンテージ”になり得る。「気配を消せる=素晴らしい能力」と捉えられるようになったら、途端に輝いて見えるのだから現金なものですね(笑)。


でも本当に、物事は捉え方や感じ方、受け取り方次第だと思います。“前向き”が難しければ、“自分の都合の良きように”考えればそれでいいと思う。人生は一度きりだし、明るく生きていてもどんより生きていても同じように時は過ぎるのだから、能天気に暮らしたほうが断然おトク♡

一方の我が夫は、毎日いろんなことで悩んだり、深く考えたりしている様子。「大変そう」「疲れちゃいそう」とは思うけれど、今は「“深く考えられる”っていうのもある種の才能かもな〜」とあまり気にしなくなりました。

結婚して約3年。「私が心配したからといって、どうにかなるものでもない」ことも分かってきたし(笑)、相談されない限り、彼のことは基本、放置しています。夫も「過干渉されないのが気分的に楽」だと言うので、我が家は今後もこの方針で生活していく予定です。