女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

心の距離

皆さまは、異性の友人と同性の友人、どちらのほうが多いでしょうか。私はと言いますと、現状6対4くらいの割合で異性かな?と思います。長らく出版業界で働いていたこともあって、“周囲は男性だらけ”というのが普通でしたからねぇ。


さてさて。異性の友人の中で一人だけ、「君が人妻になった以上、これまでとは(名前の)呼び方を変えたい」と言ってきた人がいました。

私は2019年秋に結婚したのですが、その時点で彼とは10年近いお付き合い。彼は取材対象者(*私は当時エンタメ系の雑誌記者をしておりました)で、万人に顔が知られているわけではないものの“表舞台に立つ人”です。独身時代は私のことをあだ名…私の仮名をヤマダ・アオイとするならば、「アオぷー」と勝手に(笑)呼んでいました。

「独身同士なら誰も気にしないだろうけどさ、他人様の奥さんつかまえて『アオぷー』っていうのは馴れ馴れしいかなと思って。それに、ファンの人が聞いたら嫌がるかもしれないし…」


私は内心、〈ファンの方々は、あなたが女性を下の名前、もとい親しみを込めたあだ名で呼ぶ姿なんて、相手が未婚であれ既婚であれ見たくないんじゃなかろうか?〉と思いつつ、「危機管理としては確かに正解」とも感じました。「これからは苗字呼びにするね」と言われ、よく呼ばれる「ヤマ」とか「ヤマちゃん」、或いは「ヤマぷー」という可能性も無くはないなぁと想像していたところ、結果はまさかの「ヤマダさん」。


えぇっ⁉︎  「アオぷー」からの「ヤマダさん」…落差がものすごいけれど、彼は友人である前に“仕事仲間”です。

仕事仲間、特に取材対象者に対しては、たとえ初対面で下の名前を呼び捨てされようと、奇妙奇天烈なあだ名を付けられようと、「どうぞお好きに呼んでください」という姿勢でおりました。大抵の場合、それは「より良い誌面作りのため、まずは目の前の記者と良い関係性を築こう」という気遣いから来る行動だし、私は外国人の友達も多いので、呼び捨てはもちろん、原形を全っ然とどめていないニックネーム(笑)を付けられることにも慣れています。裏を返せば、逆はあまり免疫がない。


友達から“苗字+さん付け”で呼ばれるなんて、恐らく学生時代以来です。現在いる友達の7割くらいが「アオイ」と呼ぶし、苗字で呼ぶ友達は「ヤマ」か「ヤマちゃん」、一番丁寧な人でも「ヤマさん」という感じ。

呼ばれてみて初めて分かったのですが、知人からの「ヤマダさん」呼びと、友達からの「ヤマダさん」呼びって、受ける印象が全く違うんですよね。しかも10年近く「アオぷー」と呼ばれ続けた後の「ヤマダさん」ですから、心の距離がどんどん開いていくといいますか、ひどく遠い存在になったような気がしました。


記者の仕事は2020年秋に辞めたのですが、その後も彼との交流は継続。コロナの影響で、ここ3年はイベントらしいイベントが出来ていなかった様子だけれど、先日「久々の単独ライブ開催が決まった」という嬉しい知らせを受け取りました。独身時代なら「アオぷー、絶対観に来てね〜♡」的な連絡だったろうけど、今回は「ヤマダさんも是非来てください」という、なかなかに他人行儀な文言。長い付き合いであっても硬い口調を崩さないタイプの相手であれば、同じ台詞を言われても「他人行儀だ」とは感じなかったことでしょう。でも、常にフランクで、最初からゼロ距離だった彼に言われたらすごく戸惑った…いえ、ひょっとすると“寂しさ”のような感情を抱いてしまったのかもしれません。  


どっちにしろ、現在は陥入爪の治療中でサンダルしか履けないため、ライブ参戦は不可能です。もしも今、混雑した会場内でむき出しのつま先を踏まれでもしたら…と思うとゾッと致しますねぇ。彼には治療中の旨を伝え、「そんなわけで、残念だけど、当分の間ライブ鑑賞は控えるつもり」と返信しました。けれど多分、陥入爪が完治しても、彼の誘いには乗らないような予感がしています。今の私の目には、彼は友人ではなく知人として映ってしまっているから──。名前の呼ばれ方一つで、これほどまでに気持ちが変わるとは驚きです。

 

そう考えると、外国人の友達や仕事上で知り合ったイケメン達が、出会ってすぐに(こちらの許可なく・笑)ファーストネームを呼んでくるのは、めちゃくちゃ理にかなっているのかもしれません。そして大概「僕のことも名前で呼んで」と気軽に言ってくれるため、名を呼び合うだけで一気に距離を縮められます。私は人見知りだった経験がございませんゆえ(笑)、この方法にあまり抵抗がなく、割とすんなり受け入れられるんですよね。中には「いきなりファーストネームっていうのはちょっと…」という方もいらっしゃると思いますが、試しに一度呼ばれたり呼んだりしてみるのも一興かと存じます。気恥ずかしかったらその場でやめればいいし、「案外何でもないな」だったらそのまま続ければいいだけですからね〜♪